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2008/01/11

Permalink 04:00:00, by Nobuo Sakiyama Email , 13 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 言論・表現の自由, 児童ポルノ問題

いわゆる「違法・有害サイト規制」について(1)

昨年から急速に「違法・有害」にからんだネット規制の議論が高まっていて、今年はまさに実質的な法規制への動きがありそうな勢いになっている。個別の「規制への動き」の話題を追っていくのも必要なのだが、もうちょっと俯瞰的な視点から全体を捉え直していかないといけないと思っている。南方司氏の述べている「平場での議論が煮え切らない」状態を、少し変えていかないといけない、ということだ。この問題、ともすると、単純に規制賛成と規制反対のポジショントークで議論が深まらない、という状況もあるので。

この議論、しばしば「違法・有害」というふうに並べて議論されているのだが、もちろん、「違法」と「有害」は、全く異なる概念だし、さらに、ひとくちに「違法」と言ったところで、その内容もさまざまだ。そして、現実に起きている事象も複雑で、それらを個別に捉えつつ、全体として考えていかないと、議論がおかしくなる。というわけで、そういう話を平場でできれば、ということで、いくつかの話をしていきたいと思う(ブログのエントリひとつで到底終わらないんだ)。

まず、「違法」と「有害」どちらの話から始めたらいいか、というと、比較的曖昧さのない、「違法」のほうからだろう。ということで、こちらから。南方氏は

違法・有害サイトと一括りにされるが、違法サイトを削除するための法律は既に整備されている。いわゆる「プロバイダ責任制限法」だ。

有害サイト規制の前に議論すべきこと - 雑種路線でいこう

と、簡単に済ませているが、そんなに簡単な話ではない。プロバイダ責任制限法は、プロバイダの民事責任を制限するに過ぎない。簡単に言って、著作権侵害とか、名誉毀損・プライバシー侵害とか、そういう民事の問題について、知らなきゃ責任無い(監視義務もない)し、申立てに基づいて「送信防止」するさいも、内容がそれらしくてデュー・プロセスで処理されていれば、情報発信者の利益を損なう部分について責任無いよ、というだけだ。厳密な話とか、業界ガイドラインとかは、プロバイダ責任制限法対応事業者協議会によるサイトを参照のこと。刑法的な問題は、プロバイダ責任制限法ではカバーされていない。

刑法的な部分でどういうものが問題になりうるかは、インターネット・ホットラインセンターの運用ガイドラインにおける違法情報が、一応の参考にはなるだろう(が、これで網羅されている、とも言い難い気はする)。このガイドラインの大分類には問題があるが、とりあえず個別にみていくと、児童ポルノ、わいせつ物公然陳列、売春防止法違反、出会い系サイト規制法違反、規制薬物の濫用の煽り、規制薬物の広告、預貯金通帳等の譲渡の誘引、携帯電話の匿名貸与業等の誘引、といったものが並んでいる。児童ポルノのように個人的法益の侵害の大きいものもあるが、大半は社会的法益の侵害としての犯罪とされるものだ。表現の自由との関係では、児童ポルノ(定義の境界線的な問題はとりあえず措く)は児童に重大な人権侵害であり規制が許容されるとされてきた。わいせつ物規制の社会的法益は個人的には疑問だが、とりあえず規制は許容されてきた。薬物濫用の煽り、というのも、例えば第三書館のマリファナ・ナウ、マリファナ・ハイといったマリファナシリーズの書籍が違法だとされたという話はまだないので、もっと直接的な煽りで、その規制は薬物濫用問題の重大さからすると容認される、のだろう。売春広告や規制薬物の広告や通帳譲渡や携帯電話匿名貸与の誘引、というのは、営利的表現として一般の表現の規制に比べて規制根拠がより緩やかであっても容認される、といったことになるのだろう。なお、出会い系サイト規制法違反だけは、他のものは違って、ネット固有の規制になっている。これは、どちらかといえば有害サイト規制の文脈で先行的に法規制がかかったといっていい部分なので、改正の動きと合わせて、「有害」のほうの文脈で考えたほうがいい。

こういった情報と疑われるものについて、プロバイダが「送信防止」したから、といって、情報発信者の権利を侵害するとして問題になることは、あまりない。そもそも、多くの場合は、プロバイダは契約者との間で結ぶ規約で、そういったことが問題になることを防ぐ規定を入れている。具体的な議論は、2006年のインターネット協会主催セミナーにおける森亮二 弁護士の発表などがネット上にある(森弁護士は、学会で論文なども発表していたと思うが私はそこまでチェックしていない)。とはいえ、これは「削除は安全だ」という話であり、放置したからといって、プロバイダが直ちに刑事罰に問われる、という話ではない。各犯罪の幇助(や状況により正犯)に問われているケースでは、もう少し積極的な関与があったり、あるいは状況を認容していたり、といった状況があるようだ(これも森弁護士の前記発表を参照のこと)。実際、インターネット・ホットラインセンターへの通報で国内サイトについての通報で違法情報と判断されたもの全てが、削除されているわけではない。ホットラインセンターが違法と判断したものはすべて警察庁に通報されているが、警察は「違法」なものを処理するために動くとなれば、捜査をして被疑者を特定し、送検し、処分を確定する、といったことを前提に動くわけで、そこまでのものではないとなれば動かない。そして、警察より後に通報されたサイトなりプロバイダなりが放置すればそれまで、ということになる。

私が知っている範囲では、「児童ポルノ」でも、商業的なものはともかくとして、携帯電話向け無料レンタル掲示板の類に児童(女児も男児も)が純粋に自発的に自分の裸体や性器の写真を撮って投稿しているようなケース(こういったことの是非はとりあえず後回しにする)では、必ずしも警察が動くわけではない、という状況がある。また、「規制薬物の広告、預貯金通帳等の譲渡の誘引、携帯電話の匿名貸与業等の誘引」といった類にしても、こういうものを自前のWebサイトを立ち上げて堂々とやるような愚かな人、というのは世の中あまりいないわけで、実際には、こういったものの圧倒的多数は、掲示板spamが放置されているものだと思われる。インターネット・ホットラインセンター開設の前になるが、警視庁が「サイバーパトロール」で得たデータをフィルタリングソフト各社に提供、といった動きが2005年当時にあり、情報公開請求で一覧が全面開示されたこともあったが、その大半は掲示板spamが放置されているうちに、特定の傾向のspamで掲示板が埋め尽くされ、それが違法な宣伝だった、というものだった(直後のICPCでの発表資料からリンクを貼ったspamに埋め尽くされた掲示板は、今なお掲示板spamに埋め尽くされていている)。そもそも、捜査対象となるようなサイトのリストは開示されるわけがなく、捜査しないことを前提として大量のサイトのリストが民間に提供されたからではあるのだが。

とりあえずここまで見てきたように、インターネット上での「違法情報」といったものは、さまざまな種類があり、数の上ではその多くが具体的存在を認知されつつも放置されている、というのが、実際のところだ。警察も、ある意味「どうでもいい違法情報」まで強制捜査をして潰しているほど暇ではないし、プロバイダも、通信の秘密や表現の自由の保護を前提とすると、情報発信の抑止には慎重になるし、あるいは、そもそもが「チープ革命」で無料や極めて安価のホスティングやレンタル掲示板(無料のものは個人情報登録不要のものも少なくない)があふれる中、自覚なく「プロバイダ」になっていたり、あるいは自分の開設したサイトを放置したり存在そのものを忘れたり、という状況で情報発信の抑止に慎重になる以前に、その意識もないとか、あるいは通報を受け付ける体制もない、とった零細法人や個人も少なくないだろう。しかし、そのような場合にだからといって、掲示板開設者からレンタル掲示板提供者へ、さらにホスティング業者へ、といった具合に上位のプロバイダに通報して潰していけるか、というと、利用者の権利を考えると、そう簡単でもないのだろう。インターネット・ホットラインセンターのスキームでは、現状ではそのようなエスカレーションは行われていない。

そういう意味では、「違法サイト規制」の枠組には、穴があいている部分がはっきりとあるといっていいだろう。そのような穴は、ある程度は、憲法の定める基本的人権があえて作り出すものではある。通信の秘密だけではなく、人身の自由も関係する。そういったものが国家の法執行を適切に制限することで、私たちは、社会正義に著しく反するようなことでもなければ、軽微な違法性はスルーして、あまりギスギスとしない社会をつくってきていた。

ただ、「ネット以前」の社会と、ネットの普及した社会とでは、情報の拡散という部分で、(CODEでLessigが述べた意味での)アーキテクチャが全く異なる状況がある。そうなると、愚直に従来ながらの憲法的な権利を維持しようとすると、秩序の面で「底が抜けている」ような状況が現れてしまう。CODEでいうと、Sovereignty(主権)という章で、Lessigが昔のベトナム旅行を回想しつつ、ベトナムの人々は、法的にはともかく実質的には、政府の無力さゆえにアメリカの人々よりも「自由」だった、という話をしているところの議論だ。裏を返せば、既存の秩序からみれば、ネットが「無法地帯」に見える、という話になる。これが、広範な規制(「何を」規制するかの範囲の拡大)を待望する議論をもたらしている部分がある。

しかし、実際に必要なのは、規制の実効性の強化だ。これとて、やりすぎれば基本的人権を不当に侵害することになるから、慎重に、少しバランスをいじるぐらいの話だ。この文脈では、民主党がやろうとしているという違法サイトの削除義務付け(「有害」の部分は別途、より厳しく論ずる必要があると思う)は、あきらかに「やりすぎ」であって、総務省の総合的法体系研究会の最終報告書における「違法な情報」対策程度に止めるのが妥当だと個人的には考えている。違法情報のプロバイダ等への通知を無視しにくくするとか、送信防止措置についての免責を整備するとか、そういうことを中心にするべきじゃないかと思う。それでもネットの性質を踏まえると、自由に対する萎縮効果はそれなりに大きいはずで、そこで自由を守るのは、規制の実効性を不完全な方向にすることではなく、規制範囲の縮小だと思う。実のところどうでもいいもの、といった部分は、規制するべきではないし、ネットや社会のグローバル化で意味がなくなっている、個人法益侵害を伴わないようなものも、もはや「違法」の領域から外すべきだろうと思う。

なんかすでに長いので続きはまた今度。

2007/12/20

Permalink 02:20:01, by Nobuo Sakiyama Email , 28 words   Japanese (JP)
Categories: 著作権

私が最も感謝する創作者とは

そういえば、MIAUの「大感謝祭」キャンペーンというのがあった。すっかり忘れていた。

私が最も感謝する創作者といえば、大学時代からほぼ毎日使い続けているEmacsの作者であり、私の日常の計算機利用を支えるフリーソフトウェア、オープンソースソフトウェアの基盤となった GNU Projectの創始者である Richard Stallman だろう。実際には、今や巨大となったフリーソフトウェア、オープンソースソフトウェアの領域において、Stallmanの書いたコードの量、というのは、それほど多くないものになっているかもしれない。そして、それらのソフトウェアの全てが GNU Public Licenseを用いているわけではなく、自宅で好んで使っている FreeBSDはOS本体はBSD Licenseだし、Web サーバの Apache httpd は Apache License と、そこは多様だ。でも、Stallmanが フリーソフトウェアの運動を始めたからこそ、そういう精神がそれ以前のコミュニティに存在していたとしても彼がそれを運動として見出したからこそ、AT & T Unixから BSD を切り離して独立のOSとすることが現実化したとも思うし、他の種々のフリーソフトウェア、オープンソースソフトウェアも生まれてきたのだと思う。ありがとう、Richard Stallman。

2007/12/11

Permalink 02:03:53, by Nobuo Sakiyama Email , 9 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

総務省のせいで「モバイルインターネット」はいったいどうなってしまうの?

昨日書いた件だが、正式発表があった。

これはひどいね。 新規契約者のみではなく、既存契約者についても「十分な周知を実施し、親権者から不要の申告があった場合を除き、フィルタリングサービスを設定する等の対応を行います」とある。この既存契約者には、現在のフィルタリングの有無を必ず選んでいるはずの契約者も含まれるように読める。

ちなみに、現状では、フィルタリングサービスの解約には、携帯電話三社は親権者の同意書が必要であり、NTTドコモの場合は、さらに親権者であることの証明として住民票等の原本を求めている(窓口手続きは出来ず、郵送のみ)。他社の場合にそこまで必要かどうか分からないが、もし必要となれば、その手間は少なくなく、「フィルターは要らない」と親子で思ったところで、そこまで手間をかけてまで、という障壁になることは間違いないだろう。これを既存の未成年契約者全てに課すのだろうか。

そして、繰り返しになるが、フィルタリングでブロックされるのは、典型的ないかにもな「有害サイト」ばかりではない。KDDIであえば「公式サイト」(の一部)以外全てがブロックされるし、NTTドコモやソフトバンクモバイル、ウィルコムの場合でも、「コミュニケーション」サイトが対象になっているのは、それが(一般論としては)「リスク」と捉えられているからであって、該当するサイトが「有害」だからではない。そして、該当するサイトは余りにも多い。オプションならまだしも、そして、加入時の選択ならまだしも、既存の未成年者契約全ての「原則」をこのようなフィルタ付きに倒し、それを望まない顧客には手間の時間とお金をかけさせる、というのは、消費者保護的にも疑問だ。契約者は契約時のサービスレベルを期待して契約したのではないか?

なるほど、こんな、ボトルネックたりうる通信事業者がコンテンツにやりたい放題できる環境は、過去いろんな人が言ってきたように、End to End を尊ぶインターネットではないね。そう割り切るのであれば、もう携帯電話のネットサービスの契約者数は、インターネット普及の統計からは除外するべきだね。とくに auの未成年契約者の大多数は、これでインターネットから切り離されるのだし。

2007/12/09

Permalink 04:04:56, by Nobuo Sakiyama Email , 19 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

総務省のせいでモバゲータウンはいったいどうなってしまうの?

日経新聞によれば、「携帯有害サイト制限、未成年者は原則加入・総務省、各社に要請へ」とのことである。携帯各社とは話がついている、との報道。新規は「希望しない場合のみ申し出」をしないと自動的にアクセス制限が強制され、既加入者についても「加入を強く促す」という話。

「有害サイト」と言って思考停止が起きているとしか思えず、実のところKDDIのauであれば、これは公式サイト(の一部)以外は全てアクセスできなくなることを意味するし、NTTドコモにしても、ソフトバンクにしても、その幅は結構広い。ここでは、「コミュニケーション」が全面的に制限されていることに注目されたい。これは「ウェブチャット、掲示板、IT掲示板」となっている。この分類において、2ちゃんねるも高尚なブログも、一切の区別はない。なお、NTTドコモ、ソフトバンクの両社は、ネットスターのデータベースを用いていることを明記している。私のこのブログはマイナーなのでデータベースに登録されていないが、大手のブログ事業者サイトのブログは、全て該当しているし、個人のサーバで立てているブログでも、該当するものは結構ある。高木浩光さんの日記は「IT掲示板」と分類されている。コメント欄のある無しは関係ないようだ。トラックバックを受け付けているからだろうか?

さて、この「コミュニケーション」には、SNSも該当している。mixi も該当する。mixi はこのカテゴリに該当することをとうに把握していて、過去にユーザー向けには通知を出していた記憶がある。とはいえ、mixiは「18歳以上」を会員とするSNSだし、PCと携帯電話の両方でサービスをしているから、影響があるのは18,19歳の携帯電話のみのユーザーだろうから、影響は限定的だろう。ここで問題になりそうなのは、モバゲータウンだ。モバゲータウンは携帯電話専用のサービスで、運営会社DeNAの2007年5月のプレスリリースによれば、会員数は500万人を突破し、その53%が10代であるという。そう過半数が「未成年」であるということ。「携帯有害サイト制限、未成年者は原則加入」の影響を強く受ける可能性がある。そして、実際、モバゲータウンのサイトURLである http://mbga.jp/ は、ネットスターのデータベースでは「掲示板」とされている。多くの家庭の親が新規契約についてあえてフィルタリングをしないよう求め、また既加入者対象のフィルタリング加入要請をあえて無視し続けるのでなければ、事業への影響は避けられないだろうね。

注: 私はモバゲータウンのユーザーではなく、DeNAの株式も所有しておらず、過去に所有したこともない。

追記: DeNAの平成20年3月期 中間決算説明会資料によれば、2007年9月の会員数743万人の時点(あるいは9月末より前の700万人時点)での10代比率は47%とのこと。ただし、本エントリの大意には影響しないはず。

さらに追記: 公式発表があったので「総務省のせいで「モバイルインターネット」はいったいどうなってしまうの?」という新エントリ。

2007/12/06

Permalink 03:11:45, by Nobuo Sakiyama Email , 7 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 児童ポルノ問題

「インターネット・ホットラインセンター」を別の立場から見てみる

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2007/11/17

Permalink 01:10:09, by Nobuo Sakiyama Email , 5 words   Japanese (JP)
Categories: パブリックコメント, 著作権

私的録音録画小委員会中間整理に関する意見

私的録音録画小委員会中間整理に関する意見は、改めて書いてはみたものの、本質的にMIAUパブコメ最終案のサブセットにしかなってないので掲載は省略。ていいうか、基本的に書きたいことはMIAUでの議論に反映させて、ずいぶん書いちゃったから、もう別の案書くとか無理!って感じで。補償はちょっと違う表現をしたけれども。

MIAUのパブコメは、読めば自明なように、私的複製の範囲縮小について反対、というのが中心になっている。補償問題では、著作権団体とJEITAの間の大きな対立があるけれども、そこにはあえてあまり踏み込んでいない。金の問題は、そこはどうにでも考えられる問題で、個人的には、むしろ、補償問題とDRM問題がリンクするのが問題だと思っている。

2007/11/15

Permalink 03:17:11, by Nobuo Sakiyama Email , 21 words   Japanese (JP)
Categories: パブリックコメント, 著作権

法制問題小委員会中間まとめに関する意見

「法制問題小委員会中間まとめ」に対するパブリックコメントを以下に。MIAUとして意見集約する時間はとれなかったけど、私的録音録画小委員会ほどには差し迫ってない状況にみえるので、それはまあいいか、ということで個人で。自分で考えていたこと以外に小倉弁護士の書いたものも参考にした、というか、意味的にはほとんど同じ項目もあるけど、いちおうコピペではないです。


5-1
8ページ〜10ページ 第1節 「デジタルコンテンツ流通促進法制」について 4 コンテンツの二次利用に関する課題の具体化
6-1

TV番組についての具体的検討は、問題を深く掘り下げるという意味において検討対象としたことは妥当。しかし、共通する課題として抽出された、権利者が所在不明等を今後生じさせないようにするための方策や、過去の著作物のおいて権利者が所在不明等の場合の利用の円滑化の方策といったものは、TV番組に限定された課題ではなく、出版物や音楽等においても二次利用の障害となっているケースは多いと考えられる。今後の検討においては、TV番組に限定することなく、著作物一般についての利用円滑化の方策として検討するべきだと 考える。ただし、網羅的な検討をすることで検討作業が著しく遅延するような結果を求めているわけではない。

5-2
11ページ〜17ページ 第2節 海賊版の拡大防止のための措置について 1 海賊版の譲渡のための告知行為の防止策について
6-2

反対する。

本節における海賊版の定義は「著作権等の権利を侵害する物品」と、幅広いものとなっている。これには、典型的な海賊版であるような正規商品や原盤の無許諾複製品ばかりではなく、無許諾の二次創作物(複製権や翻案権の侵害にあたるもの)などが含まれると考えられる。

行為類型1,2,3,4においては、譲渡告知行為の時点で海賊版が存在しているが、行為類型5 においては、譲渡告知行為の時点では侵害品が存在していない(14ページ)。譲渡告知行為の時点で、例えば、特定の著作物の名称が記されていたとして、それがのちに創作される創作物が複製権や翻案権の侵害にあたるかどうかは、自明ではない。創作活動一般の多くの部分は過去の著作物の影響のもと成立している。過去の著作物からの影響を明らかにしつつ今後の創作予定を記述することで海賊版の譲渡告知行為と混同されることがあれば、それは創作活動を萎縮させることにつながる。

この点、16ページに慎重に検討すべき内容として「譲渡告知行為が行われた時点で海賊版か正規品を販売するか明確でないような譲渡告知行為まで権利侵害を追及することは、正規品の取引をも萎縮させてしまう効果を与える可能性があること」とあるが、これは素直に読めば取引において正規品を仕入れているのかデッドコピーの侵害品を作成して販売するのか明確でない、という意味にとれ、創作活動への萎縮効果についての検討が十分でないと考える。

本節の結論としては「情を知って」などの一定の要件の下で権利侵害行為とみなす、となっているが、創作活動への萎縮効果を考えると、少なくとも行為類型5については、海賊版の定義を限定的なものとする必要があると考える。

5-3
18ページ〜26ページ 第2節 海賊版の拡大防止のための措置について 2 親告罪の範囲の見直しについて
6-3

反対する。

法的に著作権侵害とみなされる範囲と実際に権利者が侵害として問題とする範囲が大きく食い違っているのが実状である。日本においては、英米法におけるフェアユースが法的には存在しないが、些細な侵害については権利者が権利行使しないことで、実質的に法的な権利制限を超えて社会的に妥当な著作物の利用が確保されている面が存在すると考える。非親告罪はそのような妥当なバランスを大きく崩すものになると考える。

大規模な海賊版の拡大防止を望む商業的著作物の権利者には、親告罪で告訴する手間をかけるだけのインセンティブが十分に存在すると考えられるため、あえて非親告罪化する必要はないと考える。

5-4
39ページ〜40ページ 第3節 権利制限の見直しについて 2 障害者福祉関係 (2) 検討結果 (3) 聴覚障害者関係についての対応方策  b. 複製を行う主体について d. その他の条件について
6-4

健常者へ渡らないようにする利用制限については、慎重であるべき。

本権利制限において、字幕付与は限られた関係団体の限定的な人的リソースのもと行われることが前提となっている。しかし、例えば、インターネット等を利用して多くのボランティアの、個々では少ないながらも集合的には大きいリソースを利用した字幕付与、といったことが、実際には可能ではないかと考えられる。そのような作業においては、個々の字幕は多くのボランティアのピアレビューによって改良されていくことが期待される。YouTube の動画に字幕をつけるサイトとして 字幕.in といったサイトが報道され著名となっており、システムとしてはすでに技術的に可能であると考えられる。

しかし、健常者へ渡らないようにする利用制限が厳密に付されている場合は、そのような作業環境は当然ながら権利制限のもとでは実現できないことになる。

健常者がボランティア参加を口実にして著作物を対価を払わずに享受できるという状況であれば問題だが、個々の著作物等の通常正規ルートでの視聴者や購入者がボランティアとして参加するという前提であれば、問題になるのは翻案としての字幕がボランティア登録をした健常者に渡ることであるが、それらの健常者がすでに正規ルートでの視聴や購入をしたものであると確認できるのであれば、それは著作権者の商業的利益を損ねることにはならないのではないかと考える。

5-5
45ページ〜61ページ 第4節 検索エンジンの法制上の課題について
6-5

新規立法による権利制限の範囲をロボット型の検索エンジンに限るのではなく、ディレクトリ型も含めることが適当であると考える。

ロボット型の検索エンジンにおいても、部分的にウェブサイト情報の収集を人手で行う場合は存在すると考えられ、また、事前の許諾を要するとすると、ウェブサイト運営者は意図する以上の許諾確認の電子メールなどを受け取ることになり、むしろ円滑なインターネットが阻害されるおそれがある。

また、近年利用が増えているソーシャルブックマーク(SBM)サービスは、ウェブサイト情報の登録や評価を人手で行ってはいるが、その人手はサービス運営者ではなくサービス利用者の集合という膨大な人手であり、しかもそれらは個人としてのブックマーク行為が結果としてディレクトリサービスに反映され、分類自体も個々のユーザが自主的に行うタグ付けに依存するといったものである。こうしたものが事前の許諾を要すると結論づけられることもまた現実的ではなく、著作者の利益を通常害するといえないものについて余計な制約を課すものだと考える。

スニペット等の公衆送信に着目して、そこで著作者の権利を保護することを考えれば十分であり、情報検索を支えるデータベース部分については、広く権利制限して問題ないと考える。

5-6
71ページ〜 第6節 いわゆる「間接侵害」に係る課題等について
6-6

検討されている間接侵害の範囲はなお広過ぎると考えられる。これは、著作物の利用形態の多様化をはかる新規商品・サービスの開発や提供の妨げになると考えられ、また、昨今のインターネット利用の高度化でサービス提供者となることが一般のネットユーザーにも容易になりつつあることを考えると、一般のネットユーザーの創意工夫やサービス創作の活動の妨げになると考えられる。例示ではなく、「専ら侵害の用に供される物等の提供」のみを間接侵害とするように絞り込む必要があると考える。

2007/10/18

MIAU設立: インターネットを(未来の)みんなのものにするために

インターネット先進ユーザーの会(Movements for Internet Active Users : MIAU)が設立の運びとなりました。たいした仕事はしていないのですが、発起人の一人となっています。基本的な事項や詳しい話は、公式サイトやはてブのエントリを見て頂くとして、個人的な考えを。

名称について評判いまいちですが、ぶっちゃけこういうものを作るのは勢いが大事です。で、勢いで略称が先に提案されてみゃうみゃう萌えながら中身の議論していたところで、この英語名称を私が提案してこうなりました。 Movements for Active Internet Usersではという意見が発表後に出てきていますが、それではまいう〜になってしまいます。それはさておき。

「先進」/Active というキーワードについて、このあたりは御批判がありそうなところで、実際はてブでも微妙なコメントがついているので、少しその思いを述べてみます。

インターネットの理念について書いた文書で有名なものに、RFC 3271: Internet for Everyoneというのがあります。2002年に発行されたもので、著者は Vint Cerfです(石附陽子さんの訳と、宇夫陽次朗さんの訳があります。前者がおすすめ)。ここでは、「インターネットはみんなのもの」です。この文書に書かれた理念に、私もまだまだ共感するところがあります。ではなぜ "Active Users" と、一見、対象を絞ってしまうような名称を提案したか、です。2002年当時と現在とでは、インターネットアクセスの普及状況は全く異なります。少なくとも日本についていえば、その中身を問わなければ「インターネットアクセスはみんなのもの」にかなり近い状態になってきています。これを限りなく100%近くまで引き上げていくことは、まさに「国策」として、今後も推進されていくことでしょう。

問題はその中身です。Internet for Everyone にあるような理念は、現実の問題としては全ての人々に共有されているわけではありませんし、また、Internet for Everyone は包摂的であるため、肯定的に打ち出されつつ相互に衝突しあう価値間の調停については何も述べていません。後者の代表的なものが、著作権など知的財産権の保護と表現の自由や通信の秘密の衝突です。MIAUがまず扱う問題はこちらに属します。一方、前者が「安全・安心」を前面に打ち出した、ネット規制の動きだと私は考えています。もちろん、「インターネットがみんなもの」であるためには、インフラとしてのインターネットが正常に機能する必要があり、その意味での安全性がある程度必要なことは事実です。が、「安全・安心」の動きの中には、パターナリスティックに私たちの自由とプライバシーを制限しようとするものが少なからず含まれていることも事実です。こうした、私たちの自由を奪っていくさまざまな動きに対して、声を上げてバランスを取り戻す必要を感じています。

しかし、インターネットアクセスの普及率が十分に高い今、理念としてはともかく直近の現実の話として、「インターネット利用者」全体が特定の利害をもつものとしてそれを集約することは困難ですし、その意見が上記の理念を反映しているともいえません。そこで、ネット的価値という理念に寄り添うことが利益になる存在として、"Active Users"という言葉を選びました。そして、直近ではそれは大きな存在ではないかもしれませんが、未来のEveryoneになりうると、私は信じています。

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