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2008/07/24

Permalink 01:33:59, by Nobuo Sakiyama Email , 28 words   Japanese (JP)
Categories: セキュリティ, プライバシー

端末製造番号とクレジットカード番号が紐付けられる提案がされている

前回のエントリは、あまりにポジティブすぎる気もしたので、高木さんの懸念を補強するようなネガティブな話も。

総務省、というか、テレコム業界用語的な意味での「通信プラットフォーム」という言葉には、インターネットが基本でものごとを考えてきた身には極めて独特なニュアンスがあって、その言葉で差されているのは、端末やサービスサイトのサーバーといった end の中のアプリ層までのプロトコルスタックも含むが、中心となるのはネットワーク側の機能で、そこの「高度化」を前提に、それを「オープン化」すべきというのが最近の論調。endだけが賢くて、ネットワークは何もしない前提、というのとは、全然違う世界がそこにはある。具体的なネットワークは固定系では NGN、携帯電話は現行の3G から将来の 3.9G、4Gといったあたりまで見すえた議論となっている。総務省の通信プラットフォーム研究会では、そういう前提で、いかに、ユーザーに物理的にアクセスするネットワーク事業者だからこそ持ちうる情報やサービスを、「オープン化」して、サービス事業者のビジネスを盛んにしていくか、というのが主要な議題になっている。もちろん、セキュリティやプライバシーのことは問題になるので、それらとどう調和してやっていくか、というのは、一貫した課題となっている。

この研究会ではオブザーバーとしてさまざまな通信事業者、サービス事業者を呼んでプレゼンテーションをしてもらい、それをネタに議論をしている。「IDポータビリティー」についても盛んに議論されているが、IDポータビリティという言葉が差す内容は非常に広く、必ずしも全てが「固有IDの問題」というわけではない。例えば、携帯キャリアを移るときに現状では公式コンテンツサービスやメールアドレスを引き継げないがこれを引き継げるようにしたい、という議論も「IDポータビリティー」の議論として行われる一方、シングルサインオン(固有IDをクロスドメインで使うという制約はとくにない)によるサービス連携も「IDポータビリティー」の一実現方法として語られたりする。IDと結びつく個人情報の深さについては、IDポータビリティはLife Logポータビリティだという感じのインデックスのプレゼンもあり、なかなか興味深い(議事録も参考のこと。インデックスの興味はライフログのオープン化にあり、それはセキュアである必要があるという認識はあり、固有IDに必ずしもこだわってはいない)。

ざっとみて、一番気になったのは、6月に行われたJCBのプレゼン。携帯電話公式サイトの課金モデルは制限があるので、「端末機体番号と暗証番号の組」をクレジットカード番号と紐付けた認証・決済プラットフォームをクレジットカード会社が構築する、という提案だ。さらにこれを公式サイトのみではなく、非公式サイトにも提供するというストーリーになっている。認証・決済プラットフォームが端末機体番号を使うからといって、これを認証・決済のユーザーとなるコンテンツプロバイダで必要とするかは自明ではない(ID連携を前提とすれば必須とはいえない)が、直近の7月の研究会での構成員からの追加質問への回答(JCBに関しては5ページから)には

2.携帯端末について、現在の端末製造番号が送出される仕様を今後とも維持していただくことが必要になります。また、自社だけでなくクレジットカード会社等も端末機体番号を用いることになりますので、仕様変更や不具合等の情報について必要な連携をしていただく必要があります。

(ジェーシービー)プレゼンテーションについての追加質問に対する回答

とある(なお、6月の回の議事録では、必ずしも肯定的な反応というわけではない)。NTTドコモの場合、iモードID以前からのユーザーに都度確認を求める形での端末製造番号通知機能があるので「現在の仕様」がどちらを差すかは自明ではないが、auやソフトバンク、そしてイー・モバイルのサービスについてはサブスクライバIDであることはほぼ自明だろう。ところで、これらのIDってSSLでは送れないものもあった気がするのだが、まさか平文なのだろうか?日本のケータイサイト開発者の技術力が後退していくどころの話ではないかもしれない。認証・決済プラットフォームについでだけ端末機体番号を使うのであって、対コンテンツプロバイダではそんなことしないよ、当然ID連携だよ、というのが言葉足らずなだけと思いたい。

2008/07/23

Permalink 02:47:57, by Nobuo Sakiyama Email , 41 words   Japanese (JP)
Categories: セキュリティ, プライバシー

むしろ「ケータイ」を変えようよ

大変な反響を呼んだ高木さんの「日本のインターネットが終了する日」への応答として。日本のネットを終わらせないためには、ケータイビジネスのほうに変化を促す必要があり、そして、そのチャンスは今ちょうど現れている。そして、多分、なるべく早く変化を促すべく仕掛けていったほうがいいのではないかと思う。

高木さんの「ガラパゴス携帯」への問題意識は、もともと契約者固有IDの問題に留まっていない。今回は技術的に別件だからか言及していないけれども、ブラウザーにアドレスバーが存在しない問題にも繰り返し言及している( アドレスバーのない携帯電話はPhishing詐欺に耐えられるか(2004年4月24日)太古の昔、アドレスバーが入力欄でなかったのを知ってるかい?(2004年4月26日)ケータイWebはそろそろ危険(2007年6月24日)アドレスバー百景 その1(2007年7月01日)アドレスバー百景 その2 「iPod Touch」的UIの活用を考える(2007年10月20日)EZwebブラウザの「お気に入り登録」は偽サイトを見分ける手段にならない(2007年12月08日))。

また、高木さんはPhishing対策ツールバーなんていらない! 元々あるIEの機能を使う(2005年12月24日)というエントリで次のように述べていた。

もうひとつの道は、高額料金で「認証」するのではなしに、主観的基準によって、販売先を選ぶという方向性である。これは、携帯電話会社の「公式サイト」のモデルに似ている。しかしそれは、「インターネット的」でない代物だ。

インターネットが旧来の電話会社がやってきたことと根本的に異なっていたのは、常に自由と平等が尊重され、独占を避けるよう技術が設計されてきたことだ。だからこそこれまでのような発展があったはずだ。

(略)

携帯電話上のサービスは所詮、電話会社の恣意的なコントロールの下に置かれたものであり、自由がない代わりに一定の安全が安易に得られている。

インターネットを電話のようにしてしまえという発想をする人もいる。通信路だけでなく、ユーザ認証やコンテンツまで通信会社がコントロールすることで、「インターネットの危険をなくせ」という発想だ。自由を削がれたそれは、もうインターネットとは似て非なるものである。

Phishing対策ツールバーなんていらない! 元々あるIEの機能を使う - 高木浩光@自宅の日記

高木さんがここで述べているように、そもそも、「ケータイWeb」の世界は、公式サイトモデルで作られ、それが(限られた表示領域の中で)閲覧サイトのURLの常時表示がなく、あまつさえ、おそらくはコンテンツ保護的な意識で確実なURL確認すら不可能にした端末のみを許可し供給するキャリアがある、という状況で発展してきた。ついでにいえば、Webサイトの文字列のコピペとか、view source とかもできないキャリア、端末も少なくない。サイトは信頼されていて、ユーザーは信頼されていない前提でもある。

そして、約一年前の「ケータイWebはそろそろ危険」では、「数件程度のブックマークから直接サイトにアクセスして利用している」という前提が、検索サービスの普及で崩れてきたとしてフィッシング詐欺の現実化を憂慮している。ここで高木さんが例示していないけれどももうひとつ問題にしないといけないのが、「青少年ネット規制」で問題にされた子どもが多いコミュニケショーン系CGMでの問題。あえて実際のサービスをひとつ挙げると前略プロフィール(ここはケータイ専用ではない)では、登録ユーザーはプロフィール中に「My リンク」として自由にURLを書くことが出来る。ページに表示されるのはユーザーがリンク先タイトルとして置いた文字列であって、URLそのものは表示されない。他のCGMサービスではケータイでは外部リンクはケータイからは辿れなくしたり、リンクを辿るのに外部サイトへの遷移のための中間ページを置いてURLを見せる配慮をしているものが多いけれども、前略プロフではリンク先へのダイレクトなアクセスが基本となる。標準の足跡帳(ゲストブック)ではリンクは URL が自動的にリンク化されるスタイルをとっているので事前確認ができるけれども、ゲストブックで前略プロフ内に作った「釣りプロフ」に誘導した上で、そこから悪意のサイト(フィッシングに限らず、ワンクリック詐欺とか、単にアクセスするであろうユーザーの意図とは異なるアダルトサイトとかも含む)に誘導することは可能だ。実際、そういう「釣りプロフ」は以前はいくらでも見られたが、青少年ネット規制の論議の高まりの中で運営会社が方針転換して、出会い系サイトへの誘導などは(他の問題があるものと一緒に)消去するようになったようだ。

「釣りプロフ」程度であれば、実のところ内容がおかしかったりするものも少なくないので、技術的な手当てではなく、プロフとしての個々のコンテンツを判断するリテラシーがあればそうそう引っかかる人は多くないかもしれず、むしろ釣られているのは「エッチな女子高生けしからん」といってる一部の大人じゃないのか説もありそうだが(荻上チキ「ネットいじめ」P.190ではその可能性に言及している)、より高度な偽装もありうるだろうし、コンテンツ判断リテラシーの個人差も考えれば問題ないとはいえない。

そもそも、公式サイトを前提としたケータイ文化隆盛を前提として、ニッチとしての勝手サイトビジネスが生まれ、そこがいつのまにか十分な発言力を持つに至り、さらにはPCサイトで発達したサービスがさらなる市場をケータイに求め、そこで楠さんが述べるように公式サイト・勝手サイト間の競争条件の公平化という文脈でさらに歪んでしまった、というのが現状だろう。検索サービス然り、CGM系サービスの公式サイト化然り。歪んでしまったとはいえ、多くの実ユーザーがいるサービスだから、ケータイからインターネットにアクセスできる機能を止めろとか、子どもはケータイ禁止とか、(表現の自由とかアクセスの自由とか以前に)まったくもって現実的ではない。それは多くの人々のコミュニケーションを奪うことになるし、多大な経済的な損失をもたらす。

ゲートウェイ改修というのは個体識別番号に特化した解決法で、とりあえず急いで提案されるべき話だとは思うが、それはそれとして、中・長期的には、そもそもの公式サイト前提のケータイWebアクセスサービスとそれに特化した端末、そしてそれを前提としたケータイコンテンツサービスといった総体を変えていかないといけないと思う。そして、今はそのチャンスなのかもしれないと思う。

Web屋のネタ帳のiPhoneと携帯契約者固有IDと複アカと青少年ネット規制によるケータイ闇ナベ狂想曲がそれを示唆する。「ケータイ文化」と切れている携帯電話端末は、決してiPhoneが最初ではない。先行して、いくつものスマートフォンが出ている。基本的にアドレスバーの問題はないはずだし、「ケータイ文化」向けのゲートウェイを使うのでなければ、個体識別番号送信の問題はないはずだ。ただ、これまでのスマートフォンはニッチだったし、ネットアクセスという意味ではあまりにもPC然としていたから、ケータイコンテンツサービス的には無視できる存在だっただろう。これが、iPhoneとなると、単一機種が大量に出回り、あるいは出回ることが予想される状況で、話題性も含めてコンテンツプロバイダーとしても無視できないだけのボリュームがある。iPhoneはyomoyomoさんがFSFの批判を紹介しているように決して自由な端末ではないが、日本のケータイ文化の文脈とは縛るところが明らかに異なる端末であって、そうした多様性が日本のケータイ文化を市場を通して揺るがし、コンテンツプロバイダーとキャリアの態度を変えさせることに私は期待している。iPhoneの影響で多くのケータイコンテンツプロバイダーがPC的アクセスを許し、あるいは代替物を提供するようになれば、スマートフォンというジャンル全体がニッチから抜け出ることができるかもしれない。そうやって、日本の「ガラパゴス携帯」が5年から10年ぐらいのスパンでまっとうなネット携帯化していけばいいのではないかと思う。

2008/07/18

Permalink 03:13:37, by Nobuo Sakiyama Email , 3 words   Japanese (JP)
Categories: 監視社会, 言論・表現の自由

「犯行予告」してしまった皆さんへ

「犯行予告」してしまった皆さん、今や、ネット上で「犯行予告」っぽい書き込みを目立つところでしてしまうと、それは必ずといっていいほどに通報されてしまいます。文から読み取れる現実的な危険性の程度は関係なくなってきています。

犯行予告を集めて通報する予告.inというコミュニティサイトでは、すでに、秋葉原の大量殺人事件のようなことが繰り返されないように、という当初のコンセプトを越えて、ネット上のコミュニティサイトによくある偏向・先鋭化(サイバーカスケードと言ったりします)の兆候があり、なにより、予告.in管理人自らがその傾向を助長しているようにもみえます()。

このような、過剰とも言える通報による「犯行予告」の見える化によって、「犯行予告」っぽい書き込みをした皆さんのリスクは確実に高まっています。「コウナゴを焼き殺す」で逮捕されてしまった人の件も、予告.inでの通報が要因のひとつのようです。いったん通報されてしまうと、それによって、警察や予告場所の人達が警戒するなどの「迷惑」がかかる場合があります。これで、警察は逮捕理由ができたと判断することがあります。どの場合に警察が動いて、どの場合に動かないか、ということは普通の人には判断できません。必ず動くだろう、というのは分かっても、どういうのが動かないかは、もはや分かりません。

「犯行予告」っぽい書き込みをすることは、現実的におすすめできない状況ですが、しかし、してしまった皆さんがどうすればいいか、ということはあります。放置はよくありません、事態はどんどん悪化します。ネット上での釈明も効きません。「コウナゴ」で逮捕された人は、懸命に釈明の書き込みをしていましたが、「犯行予告狩り」をしている人達にとっては、それは楽しみのスパイスにはなっても、通報をやめる理由にはなっていません。

こういう場合、通報から個人情報の特定に至る動きに先んじて警察に申し出て、危険性がないことを示すのがひとつの手です。警察や予告場所の現地の人々の手を患わせてしまうと、そこで「業務妨害」が発生してしまっていることになります。それに先んじることです。先んじるのが無理でも、「業務妨害」の程度が客観的に軽ければ軽いほどいいのは間違いありません。こうすることで、逮捕を逃れることができるかもしれません。一度逮捕されると、それは日常生活にとっては破壊的なダメージです。

といって、いきなり警察に行って「自首」してしまうのも、実はおすすめできません。普通の人が、警察官といきなり話をして、自分の権利を守ってきちんとした話ができるとはいえません。あなたは動揺しているでしょうし、警察官は秩序の味方であってあなたの味方ではありません。時間に余裕がありそうなら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士の知り合いがいない人も多いでしょうから日弁連のガイドを紹介しておきます。弁護士なら、依頼すれば依頼人の味方となって、内容によって、きちんと不利にならないように書類を整えて自首の段取りをするとか、あるいは「書き込んだのは認めるが犯罪予告ではない」という申し開きの書類を作って警察に提出するとか、あなたの意向をふまえつつ適切に対処してくれるでしょう(多分)。もっとも、誰が見ても重大な犯行予告書き込みだな、という内容の書き込みをしてしまった場合、通報から捜査までのスピードも速く、弁護士に相談する時間がないかもしれません。そう思ったら、とりあえずは自首してしまうのも仕方がないかもしれません(自首する前に当番弁護士に連絡して対応してもらえるかもしれません。ここはよく知らないのであとで修正)。

努力むなしく、あるいは予想外に逮捕されてしまったら、まずはおちついて、「当番弁護士を頼みたい」と言いましょう(事前に弁護士に相談していたら当番弁護士ではなくてその人)。そして、面会に来てくれた弁護士とよく相談してから、取調べをどう受けるかを決めたほうがいいでしょう。慌てて弁解してもしょうがないのです。動揺して余計なことや間違ったことを言ってしまうほうがまずいことは多々あるでしょう。警察官に対しては、自白するでもなく、否認するでもなく、まずは「気持ちを整理したい」とでも言ってあとは黙って弁護士との面会を待てばいいでしょう。


一部未完成だけど、転載自由ということで。

2008/07/14

Permalink 01:51:50, by Nobuo Sakiyama Email , 3 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 言論・表現の自由

新司法試験にネット規制の問題のリアリティ

楠さんが挙げている新司法試験で出題されたネット規制の問題の話で、

死刑反対のNPOがWebサイトが公開する処刑などの写真が概ね有害情報に指定され、対抗してフィルタリングに穴をあけるソフトを提供したところ起訴されたという設定

新司法試験にネット規制の出題 - 雑種路線でいこう

という部分について。かなり驚いているはてブ民がいるので書いておくと、この設定自体は問題のような法案が成立した場合には驚くに値しないほどにリアリティがある。前にもふれたことがあるのだけれども、ベトナム戦争のころ、ベトナムでの被害状況の写真を、日本の税関は「風俗を害する物品」のうち、「極端に残虐性を持っているもの」として関税定率法上の輸入禁制品として通関させなかったことがある。

古いことでネット上に資料は乏しいのだけれども、第55回国会 予算委員会第二分科会 第3号 昭和四十二年五月二十四日(水曜日)の最後のところで、須藤五郎議員の質問で登場し、政府委員も事実関係を認めた上で税関の判断が正当だとする答弁をしている。その後、異議申し立てがあり輸入映画等審議会(現在の関税等不服審査会輸入映画部会に相当)を経て判断がくつがえっていて、それを受けて第56回国会 大蔵委員会 第1号 昭和四十二年十月十三日(金曜日)で、フォローアップの質疑が行われている。

40年以上前とはいえ、今につながる法体系の中で起きたことなんだよね。法学系の人は知ってる可能性が高い話だし、既存大手メディアの人もリアルタイムでなくても座学的にきっちり把握してる人が多そうな話なんだけど、ネットでみる感じ一般にはそれほど有名じゃないし、国会議事録に載っているのをみつけたのでエントリにしてみた。

2008/07/09

Permalink 23:55:08, by Nobuo Sakiyama Email , 11 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 言論・表現の自由

日本でのフィルタリングと思想・信条の自由の関係

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が成立し、議論がこれから先に進むであろう、ということで、実際に現状どうなっているのか、ということで。というか、サミット反対デモがものすごい扱いを受けていた件から書きたくなった。

この青少年ネット規制法成立に先行して、広島市で青少年と電子メディアとの健全な関係づくりに関する条例が成立している。罰則などがあるわけではないようだが、審議会でフィルリング基準を定めるといったあたりは、成立した法律に比べると表現内容に行政が踏み込む度合が強くなっている。審議会会長は広島大学の越智貢教授。応用倫理学、とくに情報倫理については著書も多い第一人者といえる。かつてのFINEプロジェクトのコアメンバーであり、問題には精通しているといえる。それゆえ、家庭レベルのカスタマイズができる将来に期待しつつといいつつ示された暫定基準の広範さには軽い失望を抱いた。

とりあえずここで問題にしたいのは、この基準にある「軍事・テロ・過激派」という分類だ。これは、いくら「青少年対象」といえども、表現の自由、思想・信条の自由との関係を気にせざるをえない。カテゴリの文言からすると、18歳未満の青少年対象に規制するのは当たり前ではないか、という印象をもつ人も多いかもしれない。現在の携帯電話フィルタリングでも全キャリアがフィルタリング対象としている領域だ。でも、キャリアの18歳未満へのデフォルト適用の話と、行政が基準として示す話はまったく別のレベルであるし、そもそも、このカテゴリがどの程度の範囲のものを指しているのか、という問題もある。ちなみに、インターネット協会のSafetyOnline3の検討では、千葉学芸高校の高橋邦夫校長が『反社会的な集団やカルト集団のサイト」というキーワードを追加してはどうか?』と提案し、思想信条、宗教に関わるような内容は扱わない(暴力やテロ活動は犯罪行為として既存カテゴリで対処)と一度却下されたが、さらに粘って脅迫活動も違法行為として例示することで対処するというところまで行った(詳細は2006年度第2回研究会資料3第3回研究会資料3を参照。ともにPDF)。ここで高橋氏が「示威活動」をフィルタリング対象に明示的に加えたいとする意思をしつこく表明していたこと自体興味深いのだが、それだけは発表された基準でも避けられている。

さて、ここで、現状の携帯フィルタリングで使われているネットスターの分類について、公開されているWebプロフィール確認ツールで調べたら、実に興味深かった。まず、メジャーな街頭宣伝活動を行うような右翼団体は、大抵、「軍事・テロ・過激派」に分類されるようだ。日本青年社、大日本愛国党(ここはWebは青年隊のみ)、大行社といったあたりも分類されているが、一水会もここに分類されている。新左翼団体では、中核派、日本革命的共産主義者同盟(JRCL、通称かけはし)といったところはここに分類されている。不思議なのは、革マル派は「主張一般」カテゴリにしかなっていないということだろうか。現状の携帯フィルタリングではこれはブロック対象だが、広島市条例ではカテゴリとしては対象でないようだ。なお、(新左翼党派とは別の)反グローバリゼーション団体で、「軍事・テロ・過激派」扱いされている団体はいまのところまだ見つけていない。

個人的な考えとしては、個別のテロ活動などの暴力への誘引や勧誘と、各組織の政治信条の表現に対する扱いは峻別される必要があり、後者を公的な形でフィルタリング対象とするのは極めてまずいのではないかと思う。また、どこまでが表現の自由であり、どこからが逸脱かという問題もある。前記のインターネット協会のSafetyOnline3では「その他法律、条例その他の法規で禁止された行為の手口に関する記述」というものが入ってくる。これを18歳未満閲覧制限としている。前述の高橋氏のように「示威活動」を最大限、閲覧させたくない立場からすれば、ジグザグデモ、フランスデモ、サウンドデモなどを称揚するコンテンツは検挙事例の存在を理由に閲覧制限する方向の内部基準をフィルタリング会社に設けるように申し入れるといったこともおこりうるのかもしれない。さらに、集合住宅ポストへの政治ビラ投函についての正当性主張の言論もここに入れようとする動きもありうるかもしれない。

一水会の創設者の鈴木邦男氏は、最近、右翼が暴力に訴えがちであったことや街宣車を使ってきたことについて、表現の場を持たなかった(排除されてきた)ことが要因のひとつとしてあるということを繰り返し述べている。今やフラットなWebの空間で右翼団体も左翼団体も自由に表現活動ができるようになってきている(中核派の前進社がブログをMovable Typeを使って構築し、YouTube に公式チャネルを持ってるっていうのは、思想信条と手段の関係でどうなのよ、と思わなくもないが)のだが、「違法・有害情報対策」は、こういう場も変えていこうとするのだろうかと、心配になりつつある。

2008/07/08

Permalink 02:27:51, by Nobuo Sakiyama Email , 10 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

「有害情報」の起源

有害情報という言葉はもう10年以上使われている。「2002年の青少年有害社会環境対策基本法案をみたが有害情報という言葉はなかった」というのは、あの法案がメディア独立なより大きなフレームワークだったというだけなのではないかと思う。

国会では、国会会議録検索システムによれば、参議院文教委員会の平成9年05月22日が初出となる。これは1997年。現在は衆議院議員の馳浩氏の参議院議員としての国会質問となる。馳議員は、携帯フィルタリング義務化についても法案以前から積極的に動いていた議員の一人で、フィルタリング問題については長く取り組んできていると言える。

○馳浩君 最後の質問をさせていただきます。

 ホームページに私なども自分の馳浩という名前で情報を載せておるわけですが、匿名で有害情報、これは最近問題になっておりますけれども、わいせつな映像などを載せて、あるいは写真などを載せてしまうということで、これはもしかして大変子供たちに対する悪影響を及ぼすのではないか。

 というのは、このインターネットということで考えますと、オン・ディマンド、見たいときにいつでも見ることができるということでありますから、この辺の規制というものは、これはやはり児童生徒への影響ということを考えましたときに文部省としても考えなきゃいけないんじゃないかな。ちょっと資料を私も見ましたら、郵政省の方は法的規制は当面見送りといったようなことを言っておって、いわば自主規制をしなきゃいかぬなということだそうでありますが、最後にお聞きいたしますけれども、文部省としてはこの点どうお考えになっているのでしょうか。

参議院文教委員会 平成9年05月22日

これより前について、少なくともWeb上では、100校プロジェクト東金女子高等学校(当時)の平成8年度実施状況レポートの中でネットニュースを導入しなかった理由のひとつとして言及されている。レポートは1997年2月10日付で、「東金女子高等学校 総務部長 高橋邦夫」によるもの。高橋氏は、その後、東金女子高等学校が共学化した千葉学芸高校の学校長となっている。フィルタリングの文脈では、インターネット協会の「レイティング/フィルタリング連絡協議会」委員をやってきている(少なくとも2006年まで。SafetyOnline4 の委員に入っているかどうかは知らない)。なお、前年の平成7年度実施状況では、次年度の構想として「そのほか、有害なWWWコンテンツを排除する仕組み(w3.orgのPICSなど)が開発されるらしいので、これを含めた学校教育で生徒が安心して利用できるシステム構築技術の研究も継続していきたい。」と述べられるにとどまっていて「有害情報」という言葉にはまだなっていない。当時を思い出してみると、1995年度の時点では、この領域での高橋氏の関心は、ネチケットガイドラインの翻訳にあり、その次のステップとして有害情報という話をはじめたので、1996年からということになるだろう。

と、さすがにこれだけじゃないだろうなぁ、と思ったら、当時の郵政省で電気通信における利用環境整備に関する研究会が1996年9月から開催されていて、報告書が12月末には出ていた。3ヵ月ほどで急いで出したということになる。ここで「違法又は有害な情報」といった表現が出てくる。 また、平成8年警察白書には、「パソコンを通じて少年が有害な情報に接する機会が増加しており」と、前年度のこととして記述されている。

単に言葉ということではなくて実質面をとるならもう少し遡ることができて、一部で密かに、ということではなくて日本で世間が盛大に騒ぎ出したのはあきらかにアメリカのTIME Magazine のCYBERPORN特集(1995年7月3日)からで、これが1996年1月末のベッコアメ事件の強制捜査、そして2月のアメリカでの通信品位法成立とにつながっていった。そんな感じだったように思う。

ただ、おそらく最も古いのは児童の権利条約で、1994年に批准しているからそれまでには訳されている。外務省訳では、第17条(e)項は「児童の福祉に有害な情報及び資料」という言葉を使っている。

2008/07/07

Permalink 01:55:39, by Nobuo Sakiyama Email , 13 words   Japanese (JP)
Categories: 政治, 言論・表現の自由

日本の「公安」ってソフト・パワーの観点でやばくね?

世の中、G8北海道洞爺湖サミットということで大騒ぎなこのごろ。

個人的には、サミットってそんなに関心ない、というのは、各国政府首脳も思いつきでトンでもないことをいきなり約束できたりはしないし、何か決まることがあれば、事前にさまざまなな折衝がなされるわけで、そりゃその場で首相とか大統領とかが集まって何か出せば重みはあるし、ギリギリのところの政治決断がそこで行われるのかもしれないが、だからといって予測不能なほど派手なことは起こりようがない。「非公式かつ自由闊達な意見交換を通じてコンセンサスを形成し、トップダウンで物事を決定します」と言ったところで、独裁国の集まりじゃないわけで。地球環境問題が最大のテーマということは、裏返せば差し迫った大テーマはないってことだろうしね。過去のサミット(1999年まで2000年以降)では、熱かった時もあるだろうけれども、今、G8で外交問題で熱い話題でその場の組み合わせで劇的な展開がありそうな話題ってないんじゃなかろうか。派手なことがないからどうでもいいというつもりはないけど。

そんなわけで、個人的にサミットに関心が薄いので、それにわざわざ反対するのって、奇特な人達だなぁ、と、率直には思う。まぁ、実際には、彼らもサミットというイベント数日それ自体というよりは、G8諸国が日々積み上げている外交や政策の中身全般に不満があり、それへの反対運動を、カウンターイベントとして並行実施して盛り上げる、というのが、そういう人達のやりたいことで、それはそれで戦略的な宣伝活動なわけです。当たり前だけど。個人的には、そういった主張の数々について是々非々で賛否や無関心、ものによっては積極的なコミットを考えることが出来るかもしれない(表現の自由や国家の市民一般の活動への監視からの自由、といった領域は関心事だし)が、まとまったパッケージとなった「オルタナティブ」「反グローバリズム」には、相当に疑問というか、それで貧しくなく平和な世界が出来れば誰も苦労しないわけで、リアリティを感じて時間と人生を割く気にはなれず。というか、もうちょっとぶっちゃけると、巨大なオフ会やって楽しんでますね、あいにく私の趣味じゃないです、ぐらいの気分。もちろん、個々の人にはそれぞれの抱える現実や人生があるので、そこで訴えることに意義があるテーマを抱える人もいるのでしょう。

といった立ち位置表明をあらかじめしておいて本題なんだけど、札幌のデモで逮捕者が出ているわけです(参加者報告それを受けた参加してない人の記事報道紹介参加者一部に問題あったんじゃね?という参加者側記事)。逮捕者の一人は理由はどうあれロイター通信のジャーナリスト。デモ参加者の逮捕については、警官がデモ参加のトラックの窓を叩き割って引きずりだしているところとか、海外のテレビのクルーが撮影して中継放映されたようです。たまたま見たサンデースクランブルで現場でモニター画面を見せてもらうところを放映とかやっていたので日本のお茶の間にも流れてますが。あれ、映像として、警察が当たり前に違法行為を取り締まったように見る人っているんですかね。事実はどうあれ、どうみてもあの映像はデモ弾圧にしか見えません。

それ以前に、外国からの反G8サミット会合参加者について、入国拒否とか入国手続きでものすごく待たせるとか、イベントのパネリストだって分かった上でそのイベントに参加できない出国期限をつけちゃうとか、活動家だけじゃなくてジャーナリスト相手にやってると騒がれていると。

背景としては、公安警察が「サミット成功」を掲げた猛烈なシフトをひいていることは首都圏の駅のゴミ箱封鎖をみてもわかるように自明だけど、テロや暴動の警戒をするのはいいんだけど、反対運動潰し方向に行きすぎてるように見えちゃうのって、「国益」を考えてもそまずいんじゃないのと思うんだ。ソフト・パワーっていう概念があって、「その国の有する文化や政治的価値観、政策の魅力などに対する支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得し得る力」ということなんだけれども、これには、例えば、市民的自由が尊重されている国、といったことも含まれてくる。政権とそれ以外の非国家勢力の関係では、インターネットが普及したことでさまざまなプレイヤーが情報発信をして影響力を行使しうる状況にあるといったことも考慮する必要がある。こういう条件のもと、日本の公安警察は、反グローバル勢力と一般市民の「分断」(って分断しなきゃいけないほど反グローバル勢力がそもそも一般市民から魅力ある存在と見られているかという問題はある)に熱心なあまり、日本のソフト・パワーを損ねる事態になってるんじゃないだろうか。今回の件は普通に国際的に見たまんま報道されているし、反グローバル勢力の国際的なネットワークを通しても伝えられているし、各種Web2.0系メディアで大量の画像・映像や文字でのレポートが文字通り世界に向けて送り出されている。

こういう事態って、今回のサミットの少し前からあって、グリーンピースジャパン(GPJ)の職員が調査捕鯨の鯨肉の横領疑惑だといって運送会社から荷物を持ち出して届けた件で窃盗容疑で逮捕されて勾留延長になって今なお釈放・保釈されず、一方で告発した疑惑のほうは素早く幕引きになった件もそう。西欧各国の報道をGoogle Newsでざっくり見た感じでは、どうみても政治犯的な扱いが多いし、そもそも報道のたびにGPJ職員の非よりもGPJの告発内容や「日本は鯨を殺し続けてます」的な解説のほうがスペースが大きいわけですよ。反捕鯨運動が強いオーストラリアだけじゃなくて、アメリカでもそういうトーンの報道は少なくなかった。日本国内には「グリーンピースざまぁ。警察GJ」的なブログが圧倒的に目立ったけれども、鯨肉は機会があればおいしく頂くがぶっちゃけ捕鯨問題の先行き自体には関心が薄い身としては、こんな形で日本のイメージが悪くなるほうが困るわけで。問題の事案が窃盗罪かどうか微妙という話はグリーンピース側でない第三者的な弁護士からも出ていたと思うが、だからといって捜査しない方向はありえないとして、それでも、この内容で勾留決定と勾留延長とあわせて20日の勾留(このノリだと起訴後保釈も異議を出して蹴っ飛ばす方向が十分ありうる)とか、GPJ事務所の家宅捜索で総ざらい的な押収とか、グリーンピースの国際的な情報発信力で世界中に状況は伝えられているわけで、GPJにダメージを食らわすことは公安的にはやりたかったことかもしれないが、トータルで日本の国益にかなったことなのかどうか、かなり疑問。マイルドに騒がれないようにやる手はあったはずなんだけどね。

公安警察の中のひとは、昔通りの手法を今に適用しているだけなのだろうけど、冷戦が終わって伝統的な左翼勢力が退潮しても仮想敵の大きさを維持してこんなことになってるんだろう。警察って捜査機関っていう性質上、外部からの適切なコントロールが難しいのだろうけど、実際問題、日本のイメージを悪くしているんだから、もうちょっと政治がなんとかしてほしいね。

2008/06/18

Permalink 03:02:07, by Nobuo Sakiyama Email , 16 words   Japanese (JP)
Categories: セキュリティ, プライバシー, 監視社会

予告.in の問題について真面目に考えてみるよ

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