私としては新ネタが無かったのでふれていなかった共謀罪審議の動向ですが、いよいよ今週、衆議院法務委員会でまずいことになりそうな状況。日弁連の法務省への反論にもあるように、与党修正案では、結局のところ団体について限定をかけることができていないということで、私がこのblogで過去に提示してみた具体例は、すべて、ほぼそのまま有効です。企業活動への影響について、大企業全体を該当する団体とすることは難しくなっても、新規事業のために設立された部門等は、まさに共謀罪の団体要件を満たしてしまうでしょう。ある事業を行おうとして部門を設立し、その事業が共謀罪の対象になる違法性を帯びていることが事業開始の前に判明して止めた、とすると、その部門はまさに「当該犯罪を実行する目的のために」設立されているわけですから。企業内組織だけではなくて、例えば具体的なアイデアをもとに起業しようとしてベンチャー企業を設立したりしても同じですね。
さて、世の中のほとんどは共謀罪の攻防と考えているわけですが、これは一括の大きな法案の一部に共謀罪がある形で、じつはサイバー犯罪条約がらみの刑法・刑事訴訟法の改正法案でもあるわけです。で、そのなかのひとつ、不正指令電磁的記録作成罪の問題について高木さんが以前から言及していることについて、これが問題であるという点については私も全くそのとおりで、説得力ある具体例を使った説明に、とりたてて付け加えることはないのだけれども、やはり、こういう水準の議論が国会で行われないまま法案が可決されていくというのは、非常に拙速なのではないかと思う。
ぶっちゃけてしまうと、「作成罪」部分を法案から削ったところで、また、さらに「供用罪」部分をも削ったところで、サイバー犯罪条約は留保つきで批准可能だ。留保できない部分は、すでに不正アクセス禁止法で担保されている。「不正指令電磁的記録」に関する問題は全く議論が足りてないから、いっそいったん全部削除し、十分な議論を行った上で別途法案化するむねの付帯決議をつける方向にするべき、といったぐらいのことを野党は言い出してほしい。
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