規制強化へ煽る前にやるべきことをやったらどうか

2006/08/27

Permalink 16:46:05, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 2339 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 検閲, 児童ポルノ問題

規制強化へ煽る前にやるべきことをやったらどうか

警察庁のバーチャル社会のもたらす弊害 から子どもを守る研究会がすでに数度の会合を重ねている。委員が表現の自由をはじめとする憲法規範を無視したような規制を渇望する意見を重ねて述べていたりすることは、委員の顔ぶれからはいわば想定内なのでそこはとりあえずおいておいて、事務局、つまりは警察庁の態度にあまりに頭を抱えてしまったので。

問題は、第4回会合。ここで、事務局からのネタふりで資料4 関西援交シリーズと称する児童ポルノ製造・販売・氾濫状況についてといったものが提供されている。これをふまえた議論は議事要旨の48ページ目以降、終わりまでに見られる(事務局説明というタイトルのみの項と、それに続く自由討議)。

資料では

「関西援交」と「DVD」で検索すると、118,000件のサイトがヒット」

という説明とともに、GoogleのWeb検索のスナップショットをぼかしたものが出ている。これについて、自由討議中の事務局説明では

【事務局】 この場合は、完全にこれは、刑法のわいせつ物公然陳列なり、児童ポルノ法の児童ポルノ公然陳列に当たります。これは捜査の対象になりますので、警察としてのアクションは捜査をやっていると。ただ、雨後の筍のようにどんどん出てくるので、それが追いついていないという状況です。

としている。なるほど、懸命にやっているけれどもおいつかない、というのは、さらに強力な規制を包括的に求めるには効果的な言い方だろう。しかし、実態はどうなのだろう?

ひとつは、GoogleのWeb検索ではなくて、イメージ検索の問題。文字列のみのWeb検索の場合と違って、イメージ検索の場合は、Googleがサムネイル画像を提供している。ここに違法なものがあれば、それ自体を問題にするべきだが、現状はそういう取組が積極的に行われているようには見えない。Googleのイメージ検索は、デフォルトではフィルタつきの検索だ。Googleの検索には SafeSearch と呼ぶフィルタリングがあり、strict filtering (文字と画像の両方を対象)と moderate filtering (画像のみを対象)、そして完全にフィルタをオフにする機能がある。Google.com ではこれらの設定を変更する機能が提供されているが、Google.co.jp では、moderate filtering のデフォルトから変更する UI は提供されていない。とはいえ、URLのなかに引数を指定してやれば、フィルタリングをオフにすることはできる。日本の警察の管轄内のみを考えるとして Google.com の状況を無視するにせよ、Google.co.jp でもフィルタをオフにした状況で問題を評価する必要があるだろう。こうして「関西援交」のみでイメージ検索を行うと、約1850件、という数が表示されることとなる。ただし、実際にはデフォルトで132件、同等結果のフィルタを外した全件表示で946件となる。現実には、これらの画像全てが「関西援交」と関係あるとはいえない。すでにその単語はその方面のSEOキーワード化しているだろうから、無関係と思われるサイトもひっかかっているようである。とはいえ、問題のものであるような画像もひっかかっている。サムネイル画像であっても、これはストレートに疑いなく児童ポルノ禁止法違反ではないのだろうか。

もうひとつは、「おいついていない」というのがどこまで事実なのだろうか、ということ。懸命にやっている、という事実があるのかどうか、ということだ。たしかに、上記のイメージ検索の結果からたどろうとして、すでにサイトが存在していないケースも多い。だから、「何もやっていない」というつもりはないし、また、新規サイトが存在するのも事実だろう。しかし、検索結果のサイトのひとつをWay Back Machineでチェックしてみると、遅くとも2004年には存在していて、その当時から問題の作品群を扱っていたことがわかる(そして、サンプル画像も当時から現在に至るまで存在している)。こういうのをもれなく摘発してサイト閉鎖に至らせることを徹底して、はじめて「おいつかない」ほどに児童ポルノを扱うサイトが増加しているか否かを論じうる状況になるのではないだろうか?

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コメント: NAK [訪問者]
SafeSearch ですが、表示言語の設定を英語にすることで google.co.jp でも設定変更が可能です。
Permalink永続的リンク 2006/08/30 @ 05:11

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