« 危機と好機は同時に訪れているのかもしれないNTTドコモからの回答 »

中国のネット検閲問題と、ある日本企業の関係

2006/11/02

Permalink 03:44:58, by Nobuo Sakiyama Email , 93 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

中国のネット検閲問題と、ある日本企業の関係

ギリシャで開かれているインターネットガバナンスフォーラムに関して、「協力企業に国連サミットで批判相次ぐ」といった記事が出ています。で、各社非難されているところです。ただ、これら各社は中国の人にとってのネットの価値を増やすサービスを提供するがために、その種の検閲に対応しなければならない状況になっている、とも言えるわけで、各社の反論もそこのところにあるように思われます。

ところで、こういった議論でおそらくほとんど言及されていないのですが、中国のネット検閲には、ある日本の企業も関係があります。それも、堂々と発表されているのですが、まだ特に批判されていないようです。むしろ、称賛さえされているようにも見受けられますね。

次のような報道があります。

海外でも、中国向けに文化や習慣を考慮したURLフィルタリングソフト(法輪功、反共産党の規制などを追加)『InterSafe(中国版)』が中国公安の販売許可を日本企業で初めて獲得し、中国の教育基幹ネットワーク“CERNET(サーネット)”に採用されるなど、実績を挙げているという。

ASCII24 2006年6月1日: ALSI、ウェブフィルタリングソフトの最新版『InterSafe ver.5.0』を7月3日に発売

ということで、ALSIのリリースを見ると次のようなリリースが出ています。

アルプス システム インテグレーション株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役社長:大喜多晃、以下ALSI〔アルシー〕)は、北京先進数通信息技術有限公司(本社:中国北京市海淀区、以下ADTEC)を通じ、中国国家教育基幹ネットワーク「中国教育和科研計算机网(CERNET)」の事業運営会社、賽尓寛帯网絡有限公司(CERNET BROADBAND CORPORATION)の家庭向けISPサービスとして、日本市場シェアNo.1※フィルタリングソフト「InterSafe(インターセーフ)」が採用されたことを発表いたします。

ALSI News Release 平成17年12月22日: 中国教育基幹ネットワーク「CERNET(サーネット)」の家庭向けISPサービスとして、ALSIのURLフィルタリングソフト「InterSafe」が採用

海外においても、ADTECとの業務提携により、インターネット利用規制の動きが強まっている中国市場にて、安全で快適にインターネットを利用していただくために「InterSafe」の販売を強化、グローバル展開を進めております。

ALSI News Release 平成17年12月22日: 中国教育基幹ネットワーク「CERNET(サーネット)」の家庭向けISPサービスとして、ALSIのURLフィルタリングソフト「InterSafe」が採用

アルプス システム インテグレーション株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役社長:大喜多晃、以下ALSI〔アルシー〕)は、2005年に中国公安部の製品安全認可を取得し、中国におけるフィルタリングソフトの販売認可を受けている唯一の日本企業として、日本での市場シェアNo.1(※)Webフィルタリングソフト「InterSafe」の販売活動を行っております。

ALSI News Release 2006年7月27日: ALSI Webフィルタリングソフト「InterSafe」 NTTCom Asia Limited(香港)マネージドサービスに採用 −中国の法律や文化に合わせたデータベースにより、 安全なインターネット環境を実現−

ALSIは2000年より日本国内でWebフィルタリングソフト「InterSafe」の販売を開始し、学校、企業、官公庁、自治体、家庭などを中心に販売を行っておりますが、インターネット利用規制の動きが強まっている中国市場に早くから注目し、2005年6月には中国公安部の製品安全認可を得て、販売活動を行っております。

ALSI News Release 2006年7月27日: ALSI Webフィルタリングソフト「InterSafe」 NTTCom Asia Limited(香港)マネージドサービスに採用 −中国の法律や文化に合わせたデータベースにより、 安全なインターネット環境を実現−

当サービスを利用する企業は、中国国内で規制すべきサイトと、日本企業として規制したいサイトへのアクセスを同時に制限することができ、安全にインターネットを利用する環境が整います。

ALSI News Release 2006年7月27日: ALSI Webフィルタリングソフト「InterSafe」 NTTCom Asia Limited(香港)マネージドサービスに採用 −中国の法律や文化に合わせたデータベースにより、 安全なインターネット環境を実現−

中国向けに提供している「InterSafe」では、中国での利用を考慮し、管理画面等全面的に中国語化しております。規制カテゴリも中国文化、法律等を反映した独自の規制カテゴリを提供しています。

ALSI News Release 2006年7月27日: ALSI Webフィルタリングソフト「InterSafe」 NTTCom Asia Limited(香港)マネージドサービスに採用 −中国の法律や文化に合わせたデータベースにより、 安全なインターネット環境を実現−

ところで、InterSafeという最終製品はALSIの製品ですが、このフィルタリングソフトのエンジンと更新されつづけるURLデータベースはネットスターという別会社になっています。ここは、ALSIとトレンドマイクロが半分ずつ出資した会社で、もとはALSIでやっていた事業を外に出したものです。

このブログのちょっと前のエントリーをみれば分かりますが、ネットスターはNTTドコモとボーダフォン(そして現在はソフトバンクモバイル)のフィルタリングサービスのフィルタ提供会社、ということで、日本では極めてメジャーな存在です。かくして、警察庁の「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」の第5回でもゲストスピーカーとして呼ばれて話をしています。

私ども国内では、この手の企業では最大規模ということで、東京と宮城県の仙台市にこのリサーチセンターを設けておりまして、合計で35名の専任のリサーチャーというものを持っております。パソコンのサイトを見るチーム、それから最近、携帯電話のサイト、携帯電話にデザインされたサイトを見る専門のチーム、それから一部パートナー様の方で、中国マーケット向けにフィルタリングソフトを輸出というか販売を始めているところがございますので、そういったところ向けということで中国語のネイティブの方をスタッフとして迎えて、中国語のサイトを見る専門のチームみたいなものに分かれて活動をしているということになります。

バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会 第5回 議事要旨

つまり、中国で法輪功サイトや反中国共産党サイトの閲覧を阻止するためのデータベース化作業は、日本企業によって日本国内で行われています。

さて、ここで、最初に紹介したCNET記事から、Ciscoの幹部の反論を引用しておきましょう。

しかしCiscoのある幹部は、同社のルータは特定のインターネットアドレスを遮断するように設定することも可能だが、同社が中国政府のために同社製ルータをカスタマイズしたことはないと語った。Ciscoの戦略的技術ポリシー担当シニアディレクターのArt Reilly氏は、「これは、われわれが販売活動を行っている世界の国々で販売しているルータと同じものだ」とし、さらに「何の違いもない」と付け加えた。

CNET: 中国ネット検閲問題:協力企業に国連サミットで批判相次ぐ--グーグルの対策も明らかに