冗談のようなタイトルだけど、これは本当に思っていることです。
インターネット協会は、さきごろ「インターネット上の有害コンテンツの多様化に対応した新たな格付け基準SafetyOnline3の策定」というプレスリリースを出しています。その中で、どのような項目をフィルタリングするかを表形式で発表していますが、次のような部分があります。
インターネット上の有害コンテンツの多様化に対応した新たな格付け基準SafetyOnline3の策定 2.(1)フィルタリング項目 から一部抜粋
区分 具体的内容 年齢区分 性行為 性交または性行為、SM・同性愛・獣姦・フェチ等の変態性欲に基づく性行為、乱交等の背徳的な性行為 18歳未満
利用制限性交または性行為を連想させる行為、不倫行為 官能小説
個人的には、18歳未満が性行為の描写を見たところで有害だとは思いませんが、とりあえずここの話は「フィルタリングの妥当性」をめぐる議論ではありません。表をよく読んで下さい。「SM・同性愛・獣姦・フェチ等の変態性欲」と書いてあります。「変態性欲」という言葉を使うのがpolitically correctかどうか、ということは置いておくとして、この項目は、「同性愛」という性的指向について、明確に「変態性欲」というカテゴリに入れて表現しています。これは、同性愛を異性愛と対等に扱うべきか、といった水準の議論ではなく、明確に同性愛を異常視、差別視した表現です。このような表現を日本でインターネット業界を代表する業界団体である財団法人のプレスリリースに堂々と掲げられてしまう、というのがはたして社会的に許容されてよいのだろうか、という問題です。
これは、「ちょっとしたミス」などではありません。この基準はインターネット協会が設置するレイティング/フィルタリング連絡協議会において、少なくとも2年以上検討されてきた内容の成果です。ここの研究会資料や議事録を読めば分かりますが、このフィルタリング基準は、全体としては個々の言葉遣いについて細かいチェックを行ってここまできています。例えば、「性暴力・性犯罪」の区分における「近親姦」という表現は、最終段階直前まで「近親相姦」であったものが指摘があって修正されています(それ自体は正しい修正でしょう)。そういう場において、同性愛を「変態性欲」とする記述は、2006年1月24日付の中間案の18ページに登場して以来,全く揺らいでいません。その回の議事録において、
○委員:ラベリング基準案の中の、「SM、同性愛、獣姦、フェチ等の変態性欲の性行為」はICRA ではどのように分類されているのか。
○事務局:ICRA ではおそらく、アブノーマルなものとノーマルのものとは分けずに一律に「明白な性行為」にいれるということで対応しているかと思う。
○委員:「セックス」という項目の中に含まれると思われるということか、実際に含まれているということか?
○事務局:「明白な性行為」のところか「明白ではないが性行為と思われる行為、または性行為を連想させる行為」のどちらかに該当するだろう。
2005 年度「レイティング/フィルタリング連絡協議会」第2 回研究会議事録
といった程度の議論があったのみです。ICRAが分けていないものを何故分けるのか、とか、分類の仕方は妥当なのか、といった議論があった形跡はありません。
これは、少なくとも同性愛者の方々や権利団体は抗議を申し入れるべき事態だと思うし、人権擁護活動をされてきた方々も動くべきではないかと思います。あと、インターネット協会内部で、こういったコンテンツ規制推進に関わっている部門は、他の部門とはかなり異質で、問題があると考えている方が少なからずいらっしゃると漏れ聞こえているのですが、やはり、組織ガバナンスの問題としてこういうおかしなことをしている部門をきちんとチェックしたほうがいいのではないかと思います。
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