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法制問題小委員会中間まとめに関する意見

2007/11/15

Permalink 03:17:11, by Nobuo Sakiyama Email , 21 words   Japanese (JP)
Categories: パブリックコメント, 著作権

法制問題小委員会中間まとめに関する意見

「法制問題小委員会中間まとめ」に対するパブリックコメントを以下に。MIAUとして意見集約する時間はとれなかったけど、私的録音録画小委員会ほどには差し迫ってない状況にみえるので、それはまあいいか、ということで個人で。自分で考えていたこと以外に小倉弁護士の書いたものも参考にした、というか、意味的にはほとんど同じ項目もあるけど、いちおうコピペではないです。


5-1
8ページ〜10ページ 第1節 「デジタルコンテンツ流通促進法制」について 4 コンテンツの二次利用に関する課題の具体化
6-1

TV番組についての具体的検討は、問題を深く掘り下げるという意味において検討対象としたことは妥当。しかし、共通する課題として抽出された、権利者が所在不明等を今後生じさせないようにするための方策や、過去の著作物のおいて権利者が所在不明等の場合の利用の円滑化の方策といったものは、TV番組に限定された課題ではなく、出版物や音楽等においても二次利用の障害となっているケースは多いと考えられる。今後の検討においては、TV番組に限定することなく、著作物一般についての利用円滑化の方策として検討するべきだと 考える。ただし、網羅的な検討をすることで検討作業が著しく遅延するような結果を求めているわけではない。

5-2
11ページ〜17ページ 第2節 海賊版の拡大防止のための措置について 1 海賊版の譲渡のための告知行為の防止策について
6-2

反対する。

本節における海賊版の定義は「著作権等の権利を侵害する物品」と、幅広いものとなっている。これには、典型的な海賊版であるような正規商品や原盤の無許諾複製品ばかりではなく、無許諾の二次創作物(複製権や翻案権の侵害にあたるもの)などが含まれると考えられる。

行為類型1,2,3,4においては、譲渡告知行為の時点で海賊版が存在しているが、行為類型5 においては、譲渡告知行為の時点では侵害品が存在していない(14ページ)。譲渡告知行為の時点で、例えば、特定の著作物の名称が記されていたとして、それがのちに創作される創作物が複製権や翻案権の侵害にあたるかどうかは、自明ではない。創作活動一般の多くの部分は過去の著作物の影響のもと成立している。過去の著作物からの影響を明らかにしつつ今後の創作予定を記述することで海賊版の譲渡告知行為と混同されることがあれば、それは創作活動を萎縮させることにつながる。

この点、16ページに慎重に検討すべき内容として「譲渡告知行為が行われた時点で海賊版か正規品を販売するか明確でないような譲渡告知行為まで権利侵害を追及することは、正規品の取引をも萎縮させてしまう効果を与える可能性があること」とあるが、これは素直に読めば取引において正規品を仕入れているのかデッドコピーの侵害品を作成して販売するのか明確でない、という意味にとれ、創作活動への萎縮効果についての検討が十分でないと考える。

本節の結論としては「情を知って」などの一定の要件の下で権利侵害行為とみなす、となっているが、創作活動への萎縮効果を考えると、少なくとも行為類型5については、海賊版の定義を限定的なものとする必要があると考える。

5-3
18ページ〜26ページ 第2節 海賊版の拡大防止のための措置について 2 親告罪の範囲の見直しについて
6-3

反対する。

法的に著作権侵害とみなされる範囲と実際に権利者が侵害として問題とする範囲が大きく食い違っているのが実状である。日本においては、英米法におけるフェアユースが法的には存在しないが、些細な侵害については権利者が権利行使しないことで、実質的に法的な権利制限を超えて社会的に妥当な著作物の利用が確保されている面が存在すると考える。非親告罪はそのような妥当なバランスを大きく崩すものになると考える。

大規模な海賊版の拡大防止を望む商業的著作物の権利者には、親告罪で告訴する手間をかけるだけのインセンティブが十分に存在すると考えられるため、あえて非親告罪化する必要はないと考える。

5-4
39ページ〜40ページ 第3節 権利制限の見直しについて 2 障害者福祉関係 (2) 検討結果 (3) 聴覚障害者関係についての対応方策  b. 複製を行う主体について d. その他の条件について
6-4

健常者へ渡らないようにする利用制限については、慎重であるべき。

本権利制限において、字幕付与は限られた関係団体の限定的な人的リソースのもと行われることが前提となっている。しかし、例えば、インターネット等を利用して多くのボランティアの、個々では少ないながらも集合的には大きいリソースを利用した字幕付与、といったことが、実際には可能ではないかと考えられる。そのような作業においては、個々の字幕は多くのボランティアのピアレビューによって改良されていくことが期待される。YouTube の動画に字幕をつけるサイトとして 字幕.in といったサイトが報道され著名となっており、システムとしてはすでに技術的に可能であると考えられる。

しかし、健常者へ渡らないようにする利用制限が厳密に付されている場合は、そのような作業環境は当然ながら権利制限のもとでは実現できないことになる。

健常者がボランティア参加を口実にして著作物を対価を払わずに享受できるという状況であれば問題だが、個々の著作物等の通常正規ルートでの視聴者や購入者がボランティアとして参加するという前提であれば、問題になるのは翻案としての字幕がボランティア登録をした健常者に渡ることであるが、それらの健常者がすでに正規ルートでの視聴や購入をしたものであると確認できるのであれば、それは著作権者の商業的利益を損ねることにはならないのではないかと考える。

5-5
45ページ〜61ページ 第4節 検索エンジンの法制上の課題について
6-5

新規立法による権利制限の範囲をロボット型の検索エンジンに限るのではなく、ディレクトリ型も含めることが適当であると考える。

ロボット型の検索エンジンにおいても、部分的にウェブサイト情報の収集を人手で行う場合は存在すると考えられ、また、事前の許諾を要するとすると、ウェブサイト運営者は意図する以上の許諾確認の電子メールなどを受け取ることになり、むしろ円滑なインターネットが阻害されるおそれがある。

また、近年利用が増えているソーシャルブックマーク(SBM)サービスは、ウェブサイト情報の登録や評価を人手で行ってはいるが、その人手はサービス運営者ではなくサービス利用者の集合という膨大な人手であり、しかもそれらは個人としてのブックマーク行為が結果としてディレクトリサービスに反映され、分類自体も個々のユーザが自主的に行うタグ付けに依存するといったものである。こうしたものが事前の許諾を要すると結論づけられることもまた現実的ではなく、著作者の利益を通常害するといえないものについて余計な制約を課すものだと考える。

スニペット等の公衆送信に着目して、そこで著作者の権利を保護することを考えれば十分であり、情報検索を支えるデータベース部分については、広く権利制限して問題ないと考える。

5-6
71ページ〜 第6節 いわゆる「間接侵害」に係る課題等について
6-6

検討されている間接侵害の範囲はなお広過ぎると考えられる。これは、著作物の利用形態の多様化をはかる新規商品・サービスの開発や提供の妨げになると考えられ、また、昨今のインターネット利用の高度化でサービス提供者となることが一般のネットユーザーにも容易になりつつあることを考えると、一般のネットユーザーの創意工夫やサービス創作の活動の妨げになると考えられる。例示ではなく、「専ら侵害の用に供される物等の提供」のみを間接侵害とするように絞り込む必要があると考える。