アーカイブ: 12月 2007

2007/12/20

Permalink 02:20:01, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1388 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 著作権

私が最も感謝する創作者とは

そういえば、MIAUの「大感謝祭」キャンペーンというのがあった。すっかり忘れていた。

私が最も感謝する創作者といえば、大学時代からほぼ毎日使い続けているEmacsの作者であり、私の日常の計算機利用を支えるフリーソフトウェア、オープンソースソフトウェアの基盤となった GNU Projectの創始者である Richard Stallman だろう。実際には、今や巨大となったフリーソフトウェア、オープンソースソフトウェアの領域において、Stallmanの書いたコードの量、というのは、それほど多くないものになっているかもしれない。そして、それらのソフトウェアの全てが GNU Public Licenseを用いているわけではなく、自宅で好んで使っている FreeBSDはOS本体はBSD Licenseだし、Web サーバの Apache httpd は Apache License と、そこは多様だ。でも、Stallmanが フリーソフトウェアの運動を始めたからこそ、そういう精神がそれ以前のコミュニティに存在していたとしても彼がそれを運動として見出したからこそ、AT & T Unixから BSD を切り離して独立のOSとすることが現実化したとも思うし、他の種々のフリーソフトウェア、オープンソースソフトウェアも生まれてきたのだと思う。ありがとう、Richard Stallman。

2007/12/11

Permalink 02:03:53, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 2829 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 検閲

総務省のせいで「モバイルインターネット」はいったいどうなってしまうの?

昨日書いた件だが、正式発表があった。

これはひどいね。 新規契約者のみではなく、既存契約者についても「十分な周知を実施し、親権者から不要の申告があった場合を除き、フィルタリングサービスを設定する等の対応を行います」とある。この既存契約者には、現在のフィルタリングの有無を必ず選んでいるはずの契約者も含まれるように読める。

ちなみに、現状では、フィルタリングサービスの解約には、携帯電話三社は親権者の同意書が必要であり、NTTドコモの場合は、さらに親権者であることの証明として住民票等の原本を求めている(窓口手続きは出来ず、郵送のみ)。他社の場合にそこまで必要かどうか分からないが、もし必要となれば、その手間は少なくなく、「フィルターは要らない」と親子で思ったところで、そこまで手間をかけてまで、という障壁になることは間違いないだろう。これを既存の未成年契約者全てに課すのだろうか。

そして、繰り返しになるが、フィルタリングでブロックされるのは、典型的ないかにもな「有害サイト」ばかりではない。KDDIであえば「公式サイト」(の一部)以外全てがブロックされるし、NTTドコモやソフトバンクモバイル、ウィルコムの場合でも、「コミュニケーション」サイトが対象になっているのは、それが(一般論としては)「リスク」と捉えられているからであって、該当するサイトが「有害」だからではない。そして、該当するサイトは余りにも多い。オプションならまだしも、そして、加入時の選択ならまだしも、既存の未成年者契約全ての「原則」をこのようなフィルタ付きに倒し、それを望まない顧客には手間の時間とお金をかけさせる、というのは、消費者保護的にも疑問だ。契約者は契約時のサービスレベルを期待して契約したのではないか?

なるほど、こんな、ボトルネックたりうる通信事業者がコンテンツにやりたい放題できる環境は、過去いろんな人が言ってきたように、End to End を尊ぶインターネットではないね。そう割り切るのであれば、もう携帯電話のネットサービスの契約者数は、インターネット普及の統計からは除外するべきだね。とくに auの未成年契約者の大多数は、これでインターネットから切り離されるのだし。

2007/12/09

Permalink 04:04:56, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 10370 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 検閲

総務省のせいでモバゲータウンはいったいどうなってしまうの?

日経新聞によれば、「携帯有害サイト制限、未成年者は原則加入・総務省、各社に要請へ」とのことである。携帯各社とは話がついている、との報道。新規は「希望しない場合のみ申し出」をしないと自動的にアクセス制限が強制され、既加入者についても「加入を強く促す」という話。

「有害サイト」と言って思考停止が起きているとしか思えず、実のところKDDIのauであれば、これは公式サイト(の一部)以外は全てアクセスできなくなることを意味するし、NTTドコモにしても、ソフトバンクにしても、その幅は結構広い。ここでは、「コミュニケーション」が全面的に制限されていることに注目されたい。これは「ウェブチャット、掲示板、IT掲示板」となっている。この分類において、2ちゃんねるも高尚なブログも、一切の区別はない。なお、NTTドコモ、ソフトバンクの両社は、ネットスターのデータベースを用いていることを明記している。私のこのブログはマイナーなのでデータベースに登録されていないが、大手のブログ事業者サイトのブログは、全て該当しているし、個人のサーバで立てているブログでも、該当するものは結構ある。高木浩光さんの日記は「IT掲示板」と分類されている。コメント欄のある無しは関係ないようだ。トラックバックを受け付けているからだろうか?

さて、この「コミュニケーション」には、SNSも該当している。mixi も該当する。mixi はこのカテゴリに該当することをとうに把握していて、過去にユーザー向けには通知を出していた記憶がある。とはいえ、mixiは「18歳以上」を会員とするSNSだし、PCと携帯電話の両方でサービスをしているから、影響があるのは18,19歳の携帯電話のみのユーザーだろうから、影響は限定的だろう。ここで問題になりそうなのは、モバゲータウンだ。モバゲータウンは携帯電話専用のサービスで、運営会社DeNAの2007年5月のプレスリリースによれば、会員数は500万人を突破し、その53%が10代であるという。そう過半数が「未成年」であるということ。「携帯有害サイト制限、未成年者は原則加入」の影響を強く受ける可能性がある。そして、実際、モバゲータウンのサイトURLである http://mbga.jp/ は、ネットスターのデータベースでは「掲示板」とされている。多くの家庭の親が新規契約についてあえてフィルタリングをしないよう求め、また既加入者対象のフィルタリング加入要請をあえて無視し続けるのでなければ、事業への影響は避けられないだろうね。

注: 私はモバゲータウンのユーザーではなく、DeNAの株式も所有しておらず、過去に所有したこともない。

追記: DeNAの平成20年3月期 中間決算説明会資料によれば、2007年9月の会員数743万人の時点(あるいは9月末より前の700万人時点)での10代比率は47%とのこと。ただし、本エントリの大意には影響しないはず。

さらに追記: 公式発表があったので「総務省のせいで「モバイルインターネット」はいったいどうなってしまうの?」という新エントリ。

2007/12/06

Permalink 03:11:45, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 912 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 検閲, 児童ポルノ問題

「インターネット・ホットラインセンター」を別の立場から見てみる

インターネット上の、いわゆる「違法有害情報」の通報窓口であるインターネットホットラインセンターの活動について、最近、担当しているインターネット協会の国分副理事長がインタービューを受けた記事がマイコミジャーナルに掲載されていた。

基本的に私は、国分氏のネット規制推進の活動には批判的な立場ではあるのだが、通報を受け付けている立場からの率直な説明のうちいくつかについては、実のところ同様の認識を持っている。ただ、一罰百戒を狙って処罰範囲を拡大せよ、と、彼らの仕事も無限に拡大しそうな勢いについては、これは、ネット規制がいい悪いではなく、単に有効性がないまま萎縮効果を拡大させるものであり、違うんじゃないかと思っている。基本的に法執行が不十分であり、国際的な情報共有もなされていないことが最大のボトルネックだろう。もちろん、日本ローカルに「有害だけしからん」と言っているような話は国際的な取り組みたりえないのだが、直球の商業的児童ポルノについてさえ、現状の取り組みは機能していないように見える。

なんでこんなことを言っているかというと、私はホットラインセンターの取り組みにあまり信頼を置いていないので、時々、児童ポルノを検索で見つけて通報して様子を見る、という実験をやってきたからだ。詳しくはICPCという、議論オフレコのややクローズドな会合で喋るのに使ったプレゼン資料を公開しておく(自分の資料の公開はもちろん問題ない)ので、そちらをみてほしい(2006年11月分。後半はフィルタリングの話。2007年11月分。こちらはBOF用に即席で作成した資料なので、不備があると思う)。2006年と2007年の違いは、2007年は国際通報の枠組にホットラインセンターが組み込まれた、ということ。また、2007年は、商業的児童ポルノ1タイトルに直接の通報内容を絞ってみた。

各種の画像検索サイトの状況をみていると、児童ポルノサイトを組織的につぶしていく、という取組が、全くないとは言わないが、実効的には存在していないのではないかと思う。このような状況は、英単語で画像検索を行ってもその種のサイトがほとんどひっかからなくなった状況と比較すると、雲泥の差だ。英語圏では、シラミ潰しの取組が行われたが、日本語圏ではいまだ行われていないのだと思う。国分氏インタビューによれば、警察庁の予算での民間委託事業で、新たに「サイバーパトロール」が行われるようになるというが、「違法・有害情報」では、対象が広すぎて、ピンボケだろう。ところで、日本には、児童ポルノ被害からの児童の保護を問題にしている NGO がいくつもあるはずだが、彼らは民間のファンドをとってその種の事業を行っていないのだろうか?ファンドはとれると限らないとして、もし申請もしていないとしたら、それはなぜだろう?

また、通報後の状況をみると、日本国内については、「携帯裏サイトに中学生(らしき者)が自分の裸の写真を投稿しちゃいました」といったケースはともかく、直球の商業的児童ポルノサイトについては、ホスティングプロバイダへの通報なのか警察の強制捜査の結果なのかは個別には分からないが、削除処理は時間がかかるにしても行われているように見える。問題は海外のサーバで、自明な児童ポルノ画像サムネイルだけを非公開としているケースが増えている。端的にいえば、11歳と言っている画像は18歳未満が被害者だと画像だけで自明に言えるが、17歳と言っている画像の被写体の年齢が18歳未満かどうかは、画像だけでは自明ではない、ということ。日本での検挙や裁判の情報が海外の関係機関と共有されているのであれば、そういったものも通報することに意義が見出せるが、現状はおそらくそうではなく、実際にそれで商業的児童ポルノサイトが生き残っている状況がある。また、通報してもいつまでも「自明な児童ポルノ」が生き残っているケースもいくつかある。このように述べると、容易に予想されるのは東欧やアジアの法執行が全般に不十分な国だと思うが、実のところは、私が把握しているケースはアメリカ合衆国国内にアドレスを持つサーバーである。いったいこれはどういうことだろう?と思う。

国内国外ともに、この種のサイトがそれなりの数新設され続けている事実はあるが、しかし、何故か長い期間生き続けているサイトも多い。端的にいえば、MSN live searchの画像検索結果は、サイト数ではたかが知れており、一方でGoogle画像検索の結果は、微減程度で安定して多いということだ。こんな現状は「いたちごっこ」とすら言えないだろう。あれもこれもと広汎なネットの表現を抑圧したがる前に、深刻な被害があるものに対象を絞って徹底的に対処するべきじゃなかろうか。

崎山伸夫のBlog

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