アーカイブ: 12月 2007, 06

2007/12/06

Permalink 03:11:45, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 979 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 検閲, 児童ポルノ問題

「インターネット・ホットラインセンター」を別の立場から見てみる

インターネット上の、いわゆる「違法有害情報」の通報窓口であるインターネットホットラインセンターの活動について、最近、担当しているインターネット協会の国分副理事長がインタービューを受けた記事がマイコミジャーナルに掲載されていた。

基本的に私は、国分氏のネット規制推進の活動には批判的な立場ではあるのだが、通報を受け付けている立場からの率直な説明のうちいくつかについては、実のところ同様の認識を持っている。ただ、一罰百戒を狙って処罰範囲を拡大せよ、と、彼らの仕事も無限に拡大しそうな勢いについては、これは、ネット規制がいい悪いではなく、単に有効性がないまま萎縮効果を拡大させるものであり、違うんじゃないかと思っている。基本的に法執行が不十分であり、国際的な情報共有もなされていないことが最大のボトルネックだろう。もちろん、日本ローカルに「有害だけしからん」と言っているような話は国際的な取り組みたりえないのだが、直球の商業的児童ポルノについてさえ、現状の取り組みは機能していないように見える。

なんでこんなことを言っているかというと、私はホットラインセンターの取り組みにあまり信頼を置いていないので、時々、児童ポルノを検索で見つけて通報して様子を見る、という実験をやってきたからだ。詳しくはICPCという、議論オフレコのややクローズドな会合で喋るのに使ったプレゼン資料を公開しておく(自分の資料の公開はもちろん問題ない)ので、そちらをみてほしい(2006年11月分。後半はフィルタリングの話。2007年11月分。こちらはBOF用に即席で作成した資料なので、不備があると思う)。2006年と2007年の違いは、2007年は国際通報の枠組にホットラインセンターが組み込まれた、ということ。また、2007年は、商業的児童ポルノ1タイトルに直接の通報内容を絞ってみた。

各種の画像検索サイトの状況をみていると、児童ポルノサイトを組織的につぶしていく、という取組が、全くないとは言わないが、実効的には存在していないのではないかと思う。このような状況は、英単語で画像検索を行ってもその種のサイトがほとんどひっかからなくなった状況と比較すると、雲泥の差だ。英語圏では、シラミ潰しの取組が行われたが、日本語圏ではいまだ行われていないのだと思う。国分氏インタビューによれば、警察庁の予算での民間委託事業で、新たに「サイバーパトロール」が行われるようになるというが、「違法・有害情報」では、対象が広すぎて、ピンボケだろう。ところで、日本には、児童ポルノ被害からの児童の保護を問題にしている NGO がいくつもあるはずだが、彼らは民間のファンドをとってその種の事業を行っていないのだろうか?ファンドはとれると限らないとして、もし申請もしていないとしたら、それはなぜだろう?

また、通報後の状況をみると、日本国内については、「携帯裏サイトに中学生(らしき者)が自分の裸の写真を投稿しちゃいました」といったケースはともかく、直球の商業的児童ポルノサイトについては、ホスティングプロバイダへの通報なのか警察の強制捜査の結果なのかは個別には分からないが、削除処理は時間がかかるにしても行われているように見える。問題は海外のサーバで、自明な児童ポルノ画像サムネイルだけを非公開としているケースが増えている。端的にいえば、11歳と言っている画像は18歳未満が被害者だと画像だけで自明に言えるが、17歳と言っている画像の被写体の年齢が18歳未満かどうかは、画像だけでは自明ではない、ということ。日本での検挙や裁判の情報が海外の関係機関と共有されているのであれば、そういったものも通報することに意義が見出せるが、現状はおそらくそうではなく、実際にそれで商業的児童ポルノサイトが生き残っている状況がある。また、通報してもいつまでも「自明な児童ポルノ」が生き残っているケースもいくつかある。このように述べると、容易に予想されるのは東欧やアジアの法執行が全般に不十分な国だと思うが、実のところは、私が把握しているケースはアメリカ合衆国国内にアドレスを持つサーバーである。いったいこれはどういうことだろう?と思う。

国内国外ともに、この種のサイトがそれなりの数新設され続けている事実はあるが、しかし、何故か長い期間生き続けているサイトも多い。端的にいえば、MSN live searchの画像検索結果は、サイト数ではたかが知れており、一方でGoogle画像検索の結果は、微減程度で安定して多いということだ。こんな現状は「いたちごっこ」とすら言えないだろう。あれもこれもと広汎なネットの表現を抑圧したがる前に、深刻な被害があるものに対象を絞って徹底的に対処するべきじゃなかろうか。

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