直前の記事についてはいろいろと前提について補足すべきことがあるのだけど、追記しすぎるのもなんなので改めて。
Wikipedia の Lapsiporno.info の項目に出典付きで書いてあるのだけれども、問題のフィルタリングを根拠づける法律にはフィンランド国内の大学の法学部から違憲の疑いがあるという声明が出ていた(が、可決され施行された)。加えて、Lapsiporno.info はそもそもフィンランド国内にサーバーを置くサイトなので、本来、法的には「国外の児童ポルノを置くサイト」を対象にしたはずのフィルタリングが、国内の「リンクをはっているだけのサイト」に適用されていることについて、緑の党所属の国会議員から疑問の声があがり、議会オンブスマンや最高司法官に苦情申立てが行われる事態になっている、ということだ。その一方で警察がLapsiporno.infoを運営するMatti Nikkiに対しての児童ポルノ配布幇助の容疑での強制捜査を検討しているという報道があり、Nikkiは Lapsiporno.info の内容を Creative Commons ライセンスをつけてミラーを呼びかけ、それにフィンランド内外から応ずるサイトが現れる、という緊張した状況になっている。運営の透明性を唱って作られた法律のもとに実際の運用は法執行機関が秘密のベールで覆ってきたものを覆されて面子を潰されて怒って強硬姿勢に出ようとしている、という状況がある。
なお、2004年の「衆議院 EU憲法及びスウェーデン・フィンランド憲法調査議員団報告書」(PDF)によれば、2000年施行の現行フィンランド憲法では、通信の秘密は憲法10条で明示的に既定されていて、同条文内で犯罪捜査目的の例外規定を定めるほかは厳密に保護されている。従って、「日本以外の先進国で通信の秘密を義務付けている国はないので」という楠さんの推測は当たらない、憲法との矛盾にも関わらず法律を作ってしまう、というのは、日本でもアメリカでも、どこでもよくあることだとは思うし。もっとも、フィンランドの場合、Wikipediaによれば、裁判所が具体的な事件の審理において憲法を優先して扱うことができるものの、違憲立法審査権がない、という問題があるそうだ。
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