アーカイブ: 3月 2008

2008/03/25

Permalink 06:57:24, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1394 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 監視社会, 言論・表現の自由, 児童ポルノ問題

「親告罪」児童ポルノはスジが悪い

もうひとつ、楠さんの児童ポルノ禁止法改正についての意見について。まず、「親告罪」というのは、処罰感情への対応になっていないし、そのわりに幅広い範囲を違法化しようという意見なので、スジが悪すぎるように思う。日本の援交ビデオはともかく、世界的にみれば、被害児童は「親告罪」で訴え出ることができない場合が多いだろう。遠い日本に訴えるすべがない場合もあるだろうし、殺されている場合もあるだろう。アメリカで児童ポルノ通報窓口を運営しているNCMECの正式名称が National Center for Missing and Exploited Children であることを思い出そう。「行方不明児童」が親告することなどできない。その一方で、「創作でモデルにすること」にまで広げるのは、児童ポルノの定義として広げすぎだ。実在人物をモデルにすることは、それ自体は非難に値するが、それは「モデルにする行為」を刑法の名誉毀損罪などに問えばいいだけではないのか。リアルでない絵柄、あるいは文章の創作物をみて、それに実在モデルかいるかどうかなど普通は分からないわけで。

「実写をレタッチで創作であるかのように加工することもできる」という問題であれば、以前言及したイギリスで審議中の法案のように「実在児童児童ポルノに由来するもの」を定義に入れるという方向はありうる。これと、「区別できないもの」や「擬似」を定義に入れるかどうかは、独立の問題だと考えられる。「由来するもの」は、「区別できないもの」や「擬似」よりも、むしろ保護法益にマッチするようにも思う。「区別できないもの」や「擬似」を定義に入れるべきかどうかは、思弁的な問題ではなく、「実在児童ではない」抗弁を考慮して立証コストが高すぎる事態に陥っているという立法事実があるかどうかが問題で、もし日本の司法上問題になっていない(被告が争わないとか、運用として立証のハードルが高くないとか)なら、とくに急ぐ理由はないように思われる。

なお、単純所持については、単純所持全体を処罰化するのか、特定の類型に限るのか、そもそも全部反対するのか、大きくわけて3つ、さらに特定の類型といってもそのバリエーションもあるわけだが、私は「全体を処罰化」するのには反対だが、長期的なビジョンとしては、それ以上は絞れていない。ただ、現状は実在児童について「先進国」内においてさえも国際的な定義の不一致問題があるわけで、それがもうちょっとまともに解決されないと、萎縮効果が大きすぎると考えている。また、先に述べた「由来するもの」を違法化する場合には、一目見れば分かるものではない場合、単純所持や単なる複製や配布などを処罰対象とするのは、問題があるように思う。「単なる複製や配布など」でも、情を知って、みたいなセーフガードがあったほうがいいような気がする。

Permalink 05:19:28, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1144 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: プライバシー, 検閲, 監視社会, 言論・表現の自由

楠私案についてそろそろひとこと言っておくか

楠さんの「ネットで子どもの安全を守る包括的な政策パッケージ私案」について、コメント。

「保護法益と政策目標を明確化して政策評価の枠組みを構築する」、というのには、なるほど、とは思った。モラルパニックを防ぐには持続的な評価や調査は不可欠だろう。ただ、そもそもが因果関係すら微妙な部分も少なくないのだから、そういう部分の基礎的な調査研究の枠組が必要だろう。

「有害コンテンツを廃止して違法コンテンツの範囲拡大を図る」というのは、やや疑問。まず、「有害コンテンツ」という言葉の定義の不確かさから、これはインターネットホットラインセンターでいう「公序良俗に反する情報」だと判断して話をすすめるが、基本的にこの種のものを「コンテンツとして」違法化するのは、表現の自由の観点から問題だと考える。インターネットホットラインセンターの分類は、「児童ポルノ判定を下し切れなかったもの」(これを違法化するという議論は児童ポルノの定義の議論に帰着すべき)を除くと、表現それ自体が問題だというよりは「違法行為を直接的かつ明示的に請負・仲介・誘引等」しているという、表現よりは行動としての面が問題になるので、「コンテンツ」だけで判断できるようなものではなく、極めて文脈依存なのであったりする(現状の「違法情報」でも、このようなものはあるが)。そんなものを一般に違法化しようとするのは無理があるだろう。インターネットホットラインセンターの統計では「公序良俗に反する情報」については大分類しか示されておらず細かい分類との対応が分からないのだが、そもそも一覧に「爆弾の製造法」とかあるのは、センセーショナルな「インタネットは有害だ報道」への対応という気がしなくもなく、実際に意味があるかというと微妙すぎるだろう。いずれにせよ、「明白かつ現在の危険」がありそうな情報については警察が個別の違法行為についての容疑(予備罪なども含む)で動かざるをえないだろうし、そうでもないものはどうでもいいだろう。幇助云々は、構成としては事業者に負わせる義務が重すぎるのではないか。現状、プロバイダ等への違法通報に対する対応義務が存在していない点を改善すれば足りる。

「サイバー犯罪の窓口機関を機能強化して民間事業者の参入を推進する」というが、とりあえずインターネットホットラインセンターは違法情報を含めた民間通報の受付窓口をやっているのだから、前提が少し間違っている。現状のインターネットホットラインセンターも、法律に基づいて設置されたわけではないから第三者参入を妨げるものではないが、どちらかというと窓口の乱立による混乱を防ぐ意識のほうが現状は先にあるのではないかとは思う。ただ、ポータルサイトやISPが総合ワンストップサービスを提供する意義はそれとは独立にあるとは思うが。とりあえず、インターネットホットラインの通報窓口の使いにくさはなんともいえないものがあるので、そういう部分は改善されるだろうし。ただ、違法判定部分について、違法情報の蓄積をしていかないと効率が上がらないだろうから、警察からの情報提供を可能にするという方向と、一定のセキュリティレベルを確保し反社会的な人間が運営に関与しないように縛りをかけるという方向と、両方の意味で法的に担保していくアプローチはあるだろう。出会い系サイト規制法の改正案に、「出会い系サイト」という限定領域での試みがある(天下り先増殖法に見える問題はあるが)。

「違法コンテンツへのアクセスに届出制を導入する」というのは、普通に考えて通信の秘密の侵害でアウト。たとえ情報発信が違法とされる内容でも、その全般へのアクセスや受信を原則違法化するのはダメだろう。「届出の行われた正当な業務目的」という縛りでは、その検閲への自由な検証は確保されえない。児童ポルノの単純所持違法化の議論も現在あるわけだが、仮に児童ポルノへの原則アクセス禁止を正当化できたとしても、それを「違法コンテンツ」全般に拡張するのは、無理があるだろう。

「ネット安全利用技術の評価手法を確立し有効な技術を推奨する」とのことだが、そもそもフィルタリング技術やゾーニング技術の「実現すべき機能や品質検証」の、どの程度までが価値中立なもので、どこから先が価値観に踏み込んだ領域なのか、という問題がある。前者の有効性は否定しないが、楠さんの以前の書き方をみていると、価値観部分に踏み込んでいるように思う。

「本人確認サービスを制度化し年齢属性証明の普及を図る」という部分は、事業者のビジネスを促す部分まではいいが、利用しないことに管理責任を問うというのは、やり過ぎだろう。年齢属性証明のない従来からの一般のコミュニティサイト(普通のブログも含むよ)を、そのままならつぶせといっているようなものだもの。管理責任を問うというのは、現実的な水準での対処ではなくて、大きな萎縮効果をもたらしうるだろうから。仮にSNSのようなユーザーコミュニケーションに重点のあるものをうまく定義づけるとしても、それはどうだろうというか。児童を中心とする若いユーザーが集まるコミュニティサイトに安心できる機能として加えていくという話であれば、それこそゾーニングとして、基準を満たしたサイトですよというラベルがついていればいいという話ではないのか。

全体として、「高めのボール」といっても高すぎるのではないか。そして、高くしようとして高くしたものの、それが効果的に高いというよりは、無駄に高いボールになっているような。

2008/03/21

Permalink 21:22:00, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 5712 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 言論・表現の自由, 児童ポルノ問題

ECPATはいかにしてユニセフをたらし込んだか

今回の児童ポルノ禁止法改正への動きの中で、なんとも不思議なのは、日本ユニセフ協会自身の発表などの中で、じゃぁいったいどうやって単純所持処罰や「子どもポルノマンガ・アニメ」の禁止がEUと言わずより国際的な枠組の中で基礎づけられうるか、ということが、ぼんやりとしか述べられていないことだ。

ということで調べてみた。まず、直近には、昨年12月に国連総会で "Rights of the child" という決議が採択されている。決議本文総会議事録がPDFで取得できる(親ページからリンクをたどらないとアクセス拒否されるかもしれない)。このによれば、投票が行われて、賛成183、反対1(U.S.)、棄権0(他欠席がある模様)となっている。審議が行われたのは総会の第三委員会というところで、そこでの総会に上げるための議決では、賛成176、反対1(U.S.)、棄権0(欠席あり)となっている。委員会のプレスリリースによれば、アメリカの反対は、趣旨ごもっともだが親子の権利バランスなどについて国内法と整合性がとれない、要らんことを書きすぎてるのでそういうことになったよ、というものであった。日本は賛成しているが、起訴便宜主義について、決議が法執行を強めることを求めていることに矛盾するものではないよ、という断りのコメントを残している。具体的には、決議で

Elimination of violence against children

57. Urges all States:

(a) To take effective and appropriate legislative and other measures or, where they exist, strengthen legislation to prohibit and eliminate all forms of violence against children;

Rights of Children: United Nations General Assembly ARES/62/141/

と言っているが、これは全部を例外なく起訴しろという意味じゃないよ、と確認している (諸外国の法制度では、特定の犯罪で起訴しないことを認めなかったり、 法定の下限を下回る量刑を下すあらゆる情状酌量を裁判官が行うことを認めなかったりする条文が存在する場合があり、児童ポルノはじめ児童がらみの性犯罪が対象とされる場合があるが、それは日本ではやってないが決議には反しない、ということ)。前に言及した、日本ユニセフ協会要望書の(4)での処罰強化要求は、日本の司法における、こうしたスタンスへの圧力だと考えられる。

決議全体は、児童の権利や、児童に対する暴力全般についてのものでかなり広い内容だが、児童ポルノについては 以下のように、児童ポルノだけではなく、児童買春やその他もろもろについて、そういったことを目的としたインターネットやその他の情報通信技術の利用についても犯罪化を求めているし、「顧客」を罰するように求めている。 国際的な情報通信企業の責任について言及する項目もある。

Prevention and eradication of the sale of children, child prostitution and child pornography

38. Calls upon all States:

(a) To criminalize and penalize effectively all forms of sexual exploitation and sexual abuse of children, including all acts of paedophilia, including within the family or for commercial purposes, child pornography and child prostitution, child sex tourism, trafficking in children, the sale of children and the use of the Internet and other information and communications technologies for these purposes, and to take effective measures against the criminalization of children who are victims of exploitation;

(f) To combat the existence of a market that encourages such criminal practices against children, including through the adoption, effective application and enforcement of preventive, rehabilitative and punitive measures targeting customers or individuals who sexually exploit or sexually abuse children, as well as by ensuring public awareness;

(g) To give priority to the identification of norms and standards on the responsibilities of transnational corporations and other business enterprises, particularly those involved in information and communications technologies, related to respect for the rights of children, including the right to be protected from sexual abuse and exploitation, particularly in the virtual realm, as prohibited by the relevant legal instruments, and to outline basic measures to be taken for implementation;

Rights of Children: United Nations General Assembly ARES/62/141/

一方、「子どもポルノマンガ・アニメ」だが、この水準の決議文では、そもそも"child pornography"が具体的に何か、という中身について明示的に言及されることはない。「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」を参照しているが、そこではあくまで「現実」か「擬似」であって、マンガ・アニメは(普通に読めば)含まれない。上記(g)では、"virtual realm"での児童の保護もうたっているが、普通に読めばこれはネット上の仮想空間で活動する現実の児童を性的に誘い出したりすることの問題(child groomingとよく呼ばれる)であって、マンガやアニメを問題にしているとは読めない。もっとも、上記引用の84(f)での「市場の存在と闘う」ために、という単純所持処罰につながりうる条項を拡大解釈して、「マンガ・アニメ」も児童ポルノ市場の存在の撲滅のためには叩かなければならない、というふうに、読みたい人は読むのだろう。

この決議が今回、日本ユニセフ協会から紹介されないのは、まぁ、アメリカが反対した決議であり、キャンペーンがアメリカと組んでいるという事情かな、ととりあえず推測しておく。ちなみに、同様の決議は、2006年度の国連総会でもA/RES/61/146として可決されていて(こういうのは年を追って膨れ上がっていくのが相場で、例えば上記に引用した(g)の項目に該当するものは入っていない)、やはりアメリカだけが反対していることが2006年度の決議一覧をみていくと確認できる。もっとも、細かい内容はともかく、決議は毎年やっているようで、とりたてて言うほどのことでもない、という可能性もある。

さて、実はここまでは本題ではない。こうした決議が積み重ねられていくにあたって、国連は気まぐれでやっているわけではない。こういった決議は各種の調査研究事業と結びついていて、決議の中でも具体的に言及される。今問題にしている領域では、昨年の決議では、Promotion and protection of the rights of children (A/62/209)という事務総長覚書に言及している。これは、2005年まで行われていて2006年に国連総会で報告された、The United Nations Secretary General’s Study on Violence against Childrenという調査報告のフォローアップがその内容で、2006年の決議では、調査報告それ自体に言及している。

この調査事業は、Paulo Sérgio Pinheiroという人物を独立専門家としてトップに据えて行われたもので、UNICEF本体もサポート団体のひとつとなっている。こういう事業には、多くのNGOが積極的に参加して報告や提案を上げていくものなのだが、ECPATはこの調査事業における、主要なNGOの一つだ。こうした活動を通して、ECPAT/ストップ子ども買春の会が、マンガ・アニメ叩きの方向性で、日本ユニセフ協会が組織として乗っかれるだけの筋を通す働きかけをしたのではないか、と私は踏んでいる(日本ユニセフ協会自体をアレとする向きもあるけれども、一応ユニセフの看板を背負った公益団体としては、組織論理としての筋の通らないことはできないはずだし、広告塔であるアグネス・チャンの個人的意向でこうなっているわけでもないと判断するべきだろう)。

まず、調査報告について、調査報告書本体から見ていくと、そこでの中心は途上国の深刻な児童へのさまざまな暴力が話題の中心であり、日本とかマンガ・アニメとかは、そもそも存在の余地もない。また、より詳細な報告となるWorld Report on Violence against Childrenでも、マンガへの言及はない。しかし、話はこれでは終わらない。

この調査事業にあたっては、各国政府に質問表を送ったり、世界各地でさまざまな会議を開いたり、Public Submissionといってペーパーを受け付けたり、といったさまざまな形でのインプットが行われた(これ自体は、この種の調査報告としては普通)。そのひとつ、東アジア・太平洋地域会議がここでの話題に関係する。調査事業本体としての会合は、2005年6月14日から16日にかけてタイのバンコクで行われている。子どもとユースのフォーラムが11日と12日。そして、これらに挟まれる形で、Violence against Children in Cyberspaceという、ECPAT International主催のテーマ会合が持たれている。バンコクは、ECPATの本拠地ということで、全体としてECPATの仕切りで会合が行われたわけだ。

地域会合の結果報告の45ページをみると、次のような内容がある。Violence against Children in the Cyberspace and Online Environment というセッションの報告になるが、Dr. Ethel Quale のプレゼンとして、

Dr. Quayle’s presentation focused on sexual violence against children in and via virtual settings, with particular reference to depictions of child sexual abuse (child pornography). She noted that the criminal justice system’s general response has been to focus on the offender rather than the victim. Meanwhile, agreement is lacking within and between communities on definitions, laws and perceptions of what is appropriate, such as when children are sexualised within mainstream media or where abuse images remain legal, as in the case of some manga products in Japan.

Report on The East Asia and Pacific Regional Consultation on Violence Against Children

と、日本のマンガに焦点をあてている。さらに続くセッションの議論をまとめた文章では

The group noted that child pornography includes the recorded abuse of a real child, for example, through photographs, as well as digitally altered images and illustrations such as Japanese manga.

Report on The East Asia and Pacific Regional Consultation on Violence Against Children

と、この認識を共有しあう形となっている。これを問題とする論調は、サマリーレポートの18ページにもある。このセッション自体は、ECPAT/ストップ子ども買春の会のメンバーはそもそも出席していない。しかし、既に述べたように、直前にECPAT主催のテーマ会合がくっついていて、参加者も重なっている。そこで、ECPAT仕切りの「サイバースペース」テーマの会合がどんなだったか、ということになる。

サイバースペースのテーマ会合には、ECPAT/ストップ子ども買春の会のサイトによれば、宮本潤子共同代表とともに、綱野合亜人氏(当時18歳)が参加している。このテーマ会合のECPATが開催にあたって設置したページにある、Concept PaperやKey Issuesといった、事前に用意されたマテリアルには、「マンガ」という言葉は一切出てこない。それが出てくるのは、報告書のほうになる。この報告書も、上で述べてきた国連調査事業のPublic Submissionに提出されている。

さて、このECPAT報告書でマンガがどう扱われているかだが、非常に興味深い、というかアレである。32ページに次のように書かれている。

In some countries, material known as ‘virtual pornography’ is legal and big business. In Japan, for example, a report analysing developments in the country’s computer contents market (including software and publications such as comics) gives an indication of the business value of child abuse illustrations and cartoons in some anime or manga materials. The analysis estimates the market for moe products (books, images and games), which are related to anime and manga, was worth 88.8 billion yen (US$800 million) in 2003. The term moe is used in a neutral sense for economic analysis. But taken literally it refers to a fetishist sexual attraction that some fans of computer games, anime and manga have for female child characters, who may be depicted in pornographic and erotic contexts within games, animations and illustrations. Moe web pages sometimes link to other pages containing images, stories and chats in which very young characters are the objects of sexual violence, abuse and fantasy. A proportion of the moe market may therefore be regarded as related to child sex abuse images. The report expected the market for moe products to expand.

Violence against Children in Cyberspace

ここで参照されている「萌え」レポートは、浜銀総合研究所 信濃伸一氏による2005年4月1日発表の「少子化などにより伸び悩むなか新しい動きがみられるコンテンツ市場」−2003年のコンテンツ市場における「萌え」関連は888億円というレポートだ。このレポートを、ECPATは、まるでそれが、児童を性的に虐待することから日本が莫大な経済的利益を得ようとしているかのような印象を与えるべく紹介している(印象を与えようとしているだけでそう言っているわけではないが)。ここでの攻撃は「子どもポルノマンガ・アニメ」といった枠ですらなく、「萌え」というコンセプト自体に向けられている。こうした論調が、地域会合での「マンガ」言及につながっている。

この論調は、地域会合後のフォローアップ事業として立ち上げられたViolence Against Children East Asia and the Pacificというサイトのオンラインニューズレターでも同様である。これの第4号がECPAT責任編集のサイバースペース問題となっているが、これの4ページに、20歳となった綱野合亜人氏が登場して、意見を述べているが、ここではメイド喫茶、オタク文化といったものが児童の性的虐待を促すものとして否定的に紹介されている。

このように、ECPAT/ストップ子ども買春の会のマンガ・アニメ叩きが国際的なNGOやユニセフのメンバーからなる対児童暴力防止運動の流れの中で一定の賛同を得て、今回の日本ユニセフ協会のキャンペーンでの「準児童ポルノ」違法化の要望へとつなげた流れが、(宗教保守的なブッシュ政権下のアメリカからの流れとは別に)ある、のだと私は考える。とにもかくにも、彼らは極めて熱心に日本のマンガ・アニメカルチャー、にとどまらず、萌え・オタクといった文化領域に、継続的な攻撃を仕掛けてきていたのだ。

Permalink 01:14:34, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 109 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: Blogすること, 児童ポルノ問題

お知らせ: 「児童ポルノ問題」カテゴリを作りました

児童ポルノ禁止法改正がらみの話でのエントリが増えたので、専用カテゴリを作って過去の記事で該当しそうなものは入れておきました。どこぞのwikiとかでここにリンクをはっているケースはこちらが従来カテゴリより便利だと思うのでご活用ください。

2008/03/20

Permalink 22:36:20, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 898 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 監視社会, 児童ポルノ問題

日本ユニセフ協会の要望は子どもの権利を考えているのか?

このところこのブログで話題にし続けている日本ユニセフ協会の「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンだが、その要望が「子どもを守る」ことについて、ベストな方向性を目指しているのか、やや疑問に思うところがあるので、具体的に述べてみたい。要望書では

(4)検察・裁判所はじめ全ての法曹・司法関係者に対し、子どもポルノが子どもの人権ならびに福祉に対する重大な侵害行為であるとの基本認識の下、児童買春・児童ポルノ等禁止法事犯に対し厳格に同法を適用し、刑を科すよう求めます。

子どもポルノ問題に関する緊急要望書

と述べている。これは一見、ごく当たり前のことを述べているように見える。しかし、実は重大な問題がここにはある。

商業的児童ポルノ販売業者や、児童買春のさいに写真を撮っている人達、子どもを脅したり騙したりして児童ポルノを作成している、あるいは作らせている人達をターゲットとして、こういうことを要求するというのは、それは問題ない。しかし、「児童ポルノ等禁止法事犯に対し厳格に同法を適用」すると、それでは終わらない。

「携帯裏サイト」についてずいぶんと話題となり、そういう場所での18歳未満の児童のあけすけなコミュニケーションにも光が当てられ、それが携帯フィルタリングパニックとなったわけだけれども、そうした中で、携帯電話付属のデジカメで、自身のヌードを自発的に撮影し、掲示板に投稿してしまったり、あるいはメールで交換したり、という児童が、数の問題はともかくとしてそれなりにいることは知れ渡っている。児童ポルノ犯罪の裁判に広くかかわってきたことで知られる奥村徹弁護士のブログでも、「強要する場合もあれば、売買の場合もあれば、自己紹介程度で送ってくることもあるので」といった状況が語られている。「児童買春・児童ポルノ等禁止法事犯に対し厳格に同法を適用し、刑を科す」ということは、そうした児童を児童ポルノ製造罪の正犯としてきっちり刑を科すよう求める、ということにつながる。それは、「子どものため」になるのだろうか?

極めて興味深い話がある。今回の動きには、EUでの動きも関係していることは、規制推進サイドも自ら語るところであったと思う。そのヨーロッパでの動きだ。

ドイツは、前に書いたように、実在か否かという面では厳格な法律になっているが、その一方で、年齢の線引きは「14歳未満」だ。要は、小児性愛は取り締まるが、思春期の子どもの性的関心や行動をむやみに妨げるものではない、という状況になっている。といって、14歳以上がいきなり大人の世界に放り出されているわけではなく、性的自己決定について、14歳から16歳未満、16歳以上で扱いが異なる(一部、18歳が線引きのものもあるようだ)。ちなみに、ドイツで創刊50年以上になる代表的なティーンエイジャー向け雑誌BRAVO(発行部数40万部以上)では、長らく Dr. Sommer(バーチャル人格で、中では複数の専門家が書き継いできた)による性教育コーナーがあり、多くの読者の質問に答えるとともに、14歳以上(大半は16歳以上)20歳ぐらいまでの男女のヌードと彼らへの性生活についてのインタビューを一緒に掲載する、ということが続いている。雑誌全体は、10代向けの音楽やアイドルについての記事が多く、いわゆる「エロ雑誌」ではない。Spiegel国際版の2006年記事(英語)を読むと、雰囲気がわかるのではないかと思う。記事には、BRAVOのDr. Sommerコーナーの写真もついている(Spiegelの国外読者向けに、胸や陰部は大きく塗りつぶしてある)。ドイツ国内では、BRAVOのあり方を非難する声はあまり大きくなく、なによりも多くの成人がそういうBRAVOを読んで育った、という状況のようだ。

そういうドイツの議会で、EUのガイドライン並に規制を強化する法案が、昨年提出された。EUのガイドラインは、「子どもを守る」ためのものだから、児童ポルノの問題だけではなくて、性交同意年齢の引き上げなども含む内容になっていた。これが、10代同士の普通の性関係を大きく阻害するものだ、という強い批判を専門家から浴び、12月に法案が一度撤回された(Spiegel国際版記事Deutsche Welle記事。ともに英語)。アメリカのピッツバーグの15歳の少女が自分のヌード写真を撮ってチャット上での知り合いに送ったら逮捕された、という事例が、「こうなるのはいかがなものか」という文脈で専門家から紹介されたという。結果、法案は見直されるようだ。

ここで言いたいのは、日本もドイツと同じ形に、ということではない。EU加盟国のドイツですら、(アメリカのピューリタン的な)「モラルの植民地化」に素直に従うことはないよ、というのが、強い声として上がっているということだ。日本は日本の状況を調べ、日本の子どもや、経済的な面も含めた社会全体の利益、そしてもちろん個人の基本的人権といったことについて、よく検討した上で、実際に規制をどのような範囲とするべきか、というのを決めていくべきだ、ということだ。

Permalink 03:30:00, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1088 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 監視社会, 児童ポルノ問題

単純所持問題はいったいどう考えたらいいだろね?

日本ユニセフ協会が言い出した「準児童ポルノ」問題に、細かく突っ込むのは前回ぐらいで終わりにしておく。いい具合にアクセスとブクマを集めて、彼らが言うほどに「多くの先進国」の足並みが揃っているわけでもなく、個々の憲法や法的伝統という前提条件も異なり、「よその国もそうならうちも」という問題ではない、というネタの入り口を作れたかなというところで。厳密な話をしようとすれば、それぞれの国の法制度と判例をそれなりの専門性を持った人間が分析・比較しなければならない。私がやけに詳しそうにみえたら、それは Google を使った上げ底に過ぎないので念のため。とある専門家からツッコミが入り始めているので以上断っておく。Googleをどう使えばいいかは、梅田望夫さんとか佐々木俊向さんとか勝間和代さんとかがいくらでも本やネット上で書いていると思うのでそういうのを見るといいと思う。

と、それでもあちこちの国の児童ポルノ禁止法制を読み比べつつ、悩んでしまったのは、(実在児童を前提とした)単純所持処罰の問題。この部分について、懸念が上がっているのは承知であり、私自身も単純に考えるところでは、単純所持処罰は、強制捜索と通信の秘密の制限を止めどなく拡大していくという点において反対ではある。すでに単純所持規制のある国では、児童ポルノが重大な犯罪だということから、通信傍受の対象となっている場合もあり、あるいは予備・共謀罪の対象の場合もある。しかし、まず、抽象的な懸念だけで、この動きを食い止められるのか、というのがひとつ。もうひとつ、具体的ケースに落として懸念を述べている人たちも多いのだが、それが防波堤になるかというと、結構微妙だと思わざるをえないという問題がある。「単純所持処罰」は、いわば劇薬なので、例外規定を設けている国も多い。よく見たのは、普通の人には全く関係ないが、一律禁止にしたら警察も困ったらしい、ということで、捜査・司法関係者など(検挙以降裁判終了に至るまでの弁護人も含むようだ)の正当事由による所持やアクセスを許可する改正を後からやった場合があるようだ。また、被害児童のカウンセラーが被害を把握するために、というのもあったと思う。これ以外でも、「個数が一定以下で適切な方法で削除して通報すればいい」とか、「意図してやった場合に限る」とか、いろいろ限定のつけようはあるようだ。また、自分(子ども)自身や、(片方あるいは両方が年齢上該当で)合法的な合意のカップルや夫婦の私的な範囲での所持を許す場合もある。「単純所持を処罰する改正を行う」という動きが揺るがないとなれば、各国法制を参考にいろいろな例外規定を求めるのに意味はあるが、一方で、各国でそのような例外規定を定めてやりくりしているということは、その手のケースにかかるような事例をもとに単純所持処罰に反対する、というのが、どれだけ意味や効果があるか、というのは、疑問を持たざるをえない。また、厳密に憲法上の問題に落とし込んで、というのも専門家がやる価値があるとは思うけれども、通用するかどうかは微妙なものがあると思う。

そんなわけで、あんまり明るい見通しがないのだが、個人的に「イマココ」の問題として、単純所持処罰がどう困る問題になるか、というと、やっぱり単純所持処罰があるとネットに安心してアクセスできなくなるのが困る。あえて非常にぶっちゃけた話をするのだが、英語圏はイギリスのInternet Watch Foundationあたりがものすごい勢いで通報処理をこなしたからか、とりあえず、GoogleとかマイクロソフトLiveとかの検索で、そう簡単に児童ポルノ画像に行き当たることはない。でも、日本語圏は、まだまだ通報機関がそんなに仕事をこなしておらず、警察もかなり強制捜査対象を厳選しているらしく、あまりに容易に検索経由でアクセスできてしまう。Googleやマイクロソフトのサーバーから児童ポルノのサムネイル画像が多数ブラウザーに読み込まれる、という状況がある。過去数十件の通報をしたけれども、処理に数ヶ月かかり、アメリカへの国際通報ですら明らかに放置されていて処理されないケースもあり、そうこうしているうちに、商業的児童ポルノ業者が、法制度がもっと不十分な国へとサーバーを移しつつある。ユニセフ協賛のヤフーサイトで「警察庁は「児童ポルノ画像自動検索システム」を各都道府県警で稼動させている。…02年の運用開始以降、立件されたのは1件しかない。」とか言っているが、警察庁や各地方警察の限られた予算でクローラーをやってどうするんだ。そんなものは、GoogleとかマイクロソフトLiveとか百度とかの画像検索にマッシュアップで乗っかれば、桁違いの数をこなせるはずだと本気で思うのだ。現状の延長で下手にアクセスを含めて単純所持処罰ということになると、道路がウンコだらけでうっかり踏んづけたら逮捕っていう、そういう状況になりそうで困る。せめてもうちょっとまじめに片付けてからにしてほしいね。

2008/03/19

Permalink 04:07:11, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1342 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 検閲, 言論・表現の自由, 児童ポルノ問題

日本ユニセフ協会の言い分に突っ込んでみよう

日本ユニセフ協会の2008年3月17日の言い分の事実関係のひとつにしつこく論理的に突っ込んでみよう。

少なくともスウェーデン、カナダ、米国(連邦法)が、法律でこうした「子どもポルノ」を禁じています。…また、カナダでは2005年、米国でも2006年に、日本製の子どもポルノマンガ・アニメの所持に対する有罪判決が出ています。

子どもたちの権利を守るために、皆様のご理解とご協力をお願いします 【2008年3月17日 東京発】(財)日本ユニセフ協会

前に書いた内容でスウェーデンについてふれなかったが、ざっくり簡単にいうと、スウェーデンは不文憲法の国で、基本法は4つあって、うち2つが言論・表現の自由に関するもの(紙メディア対象の出版自由法と、それ以外のものに適用される言論自由法とに分かれている)。とても長い文章で表現の自由をうたっているから「素晴らしい」と思いきや、この領域ではどちらかといえば「ニュースピーク」だといっていい状況。長い基本法で改正が比較的容易という状況で、いろいろと表現の自由に制約をはめやすくなっている。表現の自由の制約を基本法に全て列挙してあるとも言えるのだが、その分、幅広い。スウェーデンでは公的な映画の事前検閲制度があり、これも言論自由法に基づく。これらの規制に違反した場合の訴追手続きは、結構慎重な手続きが両基本法に定められているのだが、架空のものを含めた児童ポルノについては、そもそも両基本法の適用外にする条項が両基本法の基礎的な部分に書かれている(出版自由法の場合言論自由法の場合)。さすがに政体法という最も基本となる基本法の基本的人権の他の条項の適用までは吹っ飛ばされないが。児童ポルノの基本法適用除外が実施されたのが1998年。罰則規定は正確なところはよくわからないが、前述の映画検閲機関のサイトに載っている関連条文には、頒布と頒布目的製造しか載っておらず、単純所持はない。別の条文かもしれないが。

こうしたスウェーデンの状況全体をひっぱってきてみれば分かるが、そもそもが表現に関する規制そのものの枠組が全く異なる国の話をもってきて、手本にしろと言われたところで、それは困るのだ。

カナダの件は、前に書いた芸術的価値(判決文によればartistic merit)による適用除外に触れないのは問題だ。

アメリカの件は、立法レベルと適用レベルでそれぞれに問題がある。日本ユニセフ協会は「子どもポルノ」と述べているが、実際にマンガやアニメに適用されうるのは「わいせつ児童ポルノ」(米国連邦法典第18編第1466A条: Obscene visual representations of the sexual abuse of children)であって、その射程は「子どもポルノ」よりも狭い。そして、その定義のうち、「わいせつ」という言葉を使っていない1466A(a)(2), 1466A(b)(2)の定義は、「わいせつ」でない、実在しない子どもの描写に適用された場合の違憲の疑いが出ている(米国議会調査局レポートRL31744、同95-406 A、同95-804 A。また、"The Aftermath of Free Speech: A New Definition for Child Pornography", Brian Slocum and Wendy Waldron, The United States Attorneys' Bulletin volume 52 Number 2, 2004にも指摘がある)。また、適用レベルでは、「2006年の有罪判決」の被告Dwight Whorley は、そもそも過去の性犯罪歴(実在児童ポルノ所持)で有罪になった後の仮釈放中に条件にいろいろ違反して子どもの集まる場所をうろついたあげくに図書館で問題の画像にアクセスしてプリントアウトして捕まったというかなり特異な事例で、捜索では問題の「日本製の子どもポルノマンガ・アニメ」以外に実在児童ポルノ画像の多数所持も発覚している。そして、「日本のマンガ子どもポルノ」については、1466A(b)(1)の「わいせつ」該当だと判定されているという事例である。1466A(b)(1)だけであれば、実はわいせつ物単純所持の処罰は違憲判例があるので争う余地がありそうな気がするのだけれども、本件は実在児童ポルノの所持もあったのでそうはなっていない事例と思われ、そもそも「日本製の子どもポルノマンガ・アニメ所持」が有罪になったとして宣伝するのが適切なのかどうか疑問がある(もちろん、摘発側は宣伝に使えることを狙ったはずだけど)。

実のところ、単純所持の問題を置いておくとすれば、アメリカの事例のような「わいせつ」なものであれば、日本での頒布や公然陳列は刑法175条が適用できるから、そもそも法改正は要らない。

2008/03/18

Permalink 00:40:45, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1318 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 児童ポルノ問題

ユニセフ協会に緊急にメールしてみる

前のエントリの話から続きの話をする前に、Yahoo! Japanとユニセフ協会に緊急に連絡したほうがいい件に気づいてしまったので連絡してみるよ。以下、その内容。

日本ユニセフ協会担当者御中

今般の「子どもポルノ問題に関する緊急要望書」の件に関連しまして、緊急にお伝えしたいことがありましてご連絡差し上げる次第です。

緊急要望書の求める法規制強化などについて、私個人としては賛成できませんが、要望書の(1)にある「子どもに対する性的虐待を性目的で描写した写真、動画、漫画、アニメーションなどを製造、譲渡、貸与、広告・宣伝する行為に反対します。」という内容について、(3)にあるように自主規制として対応する、ということについては、自由な社会においてそのような取り組みを行う意思を持つものが自主規制するという限りにおいては、とくに反対するところではありません。

そのような前提で今回のユニセフ協会特集ページ http://www.unicef.or.jp/special/0705/index.html をみて、この点について重大な問題があることに気がつきました。

それは、『「子どもポルノ」の現状についてYahoo!でも特集されています』というバナーです。そのバナーをクリックすると、Yahoo!JAPAN セキュリティ特集 2008春 http://special.security.yahoo.co.jp/ というページであることは当然ご存じだと思いますが、問題は、そこの「子どもが危ない 性暴力の被害現場の画像を世界中にばらまかれる少女たち」というページです。1ページ目 http://special.security.yahoo.co.jp/stpchpor/1/index.html に、特定の児童ポルノのシリーズのタイトルがあり、次のページ http://special.security.yahoo.co.jp/stpchpor/2/index.html の終わりに、もう2つの児童ポルノのシリーズのタイトルがあります。

堂々と頒布することが許されない違法な児童ポルノタイトルに人がインターネットでたどり着くのには、検索サイトでの検索が有効に働きます。特定の児童ポルノタイトルは、検索に資するキーワードとなります。つまり、児童ポルノのタイトルを明記することは、児童ポルノを「広告・宣伝する行為」になりえるという問題があります。1ページ目のシリーズ名については、あまりにも広く報道され、警察庁の研究会の公開議事録にも記載されるほどなので、このページの内容が必ずしも児童ポルノへのアクセスの増加に実質的な意味で資するとは言い難いかもしれません。しかし、2ページ目のシリーズ名2つは、1ページ目のものに比べれば一般の認知度は低いもののはずです。従って、当該ページの内容が児童ポルノへのアクセスの増加に実質的に資する可能性があります。

問題の記事は、そもそも月刊総合誌で報道されたものの転載ですが、さまざまな問題について扱った紙の雑誌でのタイトル記載と、「子どもポルノ問題」を特集するサイトでのタイトル記載では、インパクトが全く異なるもので、これは重大な問題ではないかと考えます。ユニセフ協会サイトからのバナーの除去、あるいは、ヤフーのサイトでの記事の修正や差し替えを検討したほうがよろしいのではないでしょうか。

なお、本件について、ヤフー株式会社の担当部署への送付もよろしくお願いします。ヤフーのサイトの問い合わせフォームでは、うまく送れませんでした。


追記: 日本ユニセフ協会からは何の返答もなく、ヤフーのサイトにも変化が無かったので、内容を簡略化して、問い合わせフォームで送信不能だった原因と考えられる本文でのURL記載をすべてやめて、あらためてヤフーのサイトの問い合わせフォームで連絡した。

2008/03/17

Permalink 01:31:09, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1846 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 言論・表現の自由, 児童ポルノ問題

児童ポルノの定義拡大問題について(3)

前の記事からの続き。ほんとはOCED各国ぐらいについて調査したほうがいいんだろうけど、そろそろしんどいのであとはアメリカの件で各国動向はいったん締め。というか法学系の人がやったほうがいいと思うし。

アメリカの場合、わいせつ物規制とアメリカ合衆国憲法修正第一条の関係は、1973年の連邦最高裁判決で提示された、Miller test というのを基準として判断することになっている。現実の児童を使った児童ポルノ禁止の合憲性はNew York v. Ferberという1982年の最高裁判例で示されている。児童は18歳未満。その後、Child Pornography Prevention Act of 1996(CPPA)という法律が作られて、これで連邦法典における児童ポルノ罪が「バーチャル児童ポルノ」に拡大された。具体的には、児童に「見えるもの」と、児童のような印象を与える形で宣伝などがされたり頒布されているものが対象となった。この法律は、直ちに違憲訴訟の対象となって、2002年にAshcroft v. Free Speech Coalitionとして知られる連邦最高裁判決で、前記の「バーチャル児童ポルノ」に関する部分は違憲無効となった。これを受けて、Prosecutorial Remedies and Other Tools to end the Exploitation of Children Today Act of 2003(略称 PROTECT Act of 2003)という、かなり大きい法律の中に、関係する部分を再改正する条項が盛り込まれた。

現在の連邦法典から定義の部分をみると、「児童に見えるもの」ではなく、「児童と区別がつかないもの」になっていて、絵画や漫画などは該当しないことが明記されている。また、内容としては性器・胸・陰部があらわになった性交等のほか、獣姦、自慰、サドマゾヒズム、性器や陰部の露出、といったものが挙げられている。その上で、何が罪になるかをみると、児童ポルノの頒布や受け取り・所持などが対象になる。この場合、含まれている「児童と区別がつかない人物」が現実の18歳以上の人物か、架空のものであることを訴訟の一定の段階までに証明すれば、訴追対象とはならない。この条文に含まれるもので、他にPROTECT Actで追加されたものをみると、児童に対し、違法な活動への参加を誘う目的で、児童と知って児童ポルノを提供することが罪とされていて、この条文に限っては「児童に見えるもの」が対象になっている。当該児童を性的搾取に誘い込むための材料としてのポルノの利用、ということで定義を拡大しているのだろう。もうひとつ、「わいせつ児童ポルノ」(現実児童に限定されない)か、「現実児童の児童ポルノ」を含むものと相手に信じさせるような宣伝などの行為も、罪とされている。これは憲法訴訟になっているので後述。

PROTECT Actでもうひとつ対象にしているのが、前述の「わいせつ児童ポルノ」で、これはわいせつ物規制の章に新設された条文になっている。前のCPPA違憲判決がMiller testを理由としていたので、それならMiller testによっても修正第1条で保護されない領域については禁止しよう、という方向で作られた。児童の性的に明白な行為の描写でわいせつなものであれば、製造・頒布・所持を、現実の児童ポルノと同様の罪とするもの。さらに、「わいせつ」の解釈の州間でのブレがあるためか、「児童や児童に見えるものが獣姦、サドマゾ行為、性交などをしている画像の描写で、まじめな文学的、芸術的、政治的、あるいは科学的価値を欠くもの」もこれに含めている。

[追記: わかりにくい!という指摘があったので追記すると、上記の「わいせつ児童ポルノ」は現実児童に限定されず、マンガなどを含む定義になっている]

現実の児童の性的搾取に関する内容は児童ポルノ罪とは別の条文で規定されている(こちらが元からある条項)。現実の児童ポルノの製造そのものは児童の性的搾取罪に含まれる。なお、これらの児童ポルノ罪全般について、リンク先の各条文を読めば分かるのだが、実はもいろいろ限定がついて、州間や外国とのやりとり、メールや通信などがからむ必要があり、純粋に州内のface to faceの中で完結しているものは含まれていないのだが、それは連邦法典と州法典の管轄の問題から来ると思われ、実際には各州の法典も見ないと全体像はつかめないのだが、それはとりあえず省略。

とりあえず現行法の説明は以上だが、このPROTECT Actが現在違憲訴訟になっている問題についても簡単に。問題は上述の「宣伝」の罪で、これが現実の児童ポルノの存在を必要としていないので、修正第1条違反に問われる状況になっている。United States. v. Williams という訴訟として知られていて、連邦第11巡回区控訴裁判所で違憲判断が出て、連邦最高裁で審理中になっている。最高裁での原告・被告双方、および法廷助言人による意見書もAmerican Bar Associationのサイトで公開されている。

このほか、アメリカでは州憲法レベルでの違憲訴訟もあった。フロリダ州の16歳の女性と17歳の男性が合意の性行為をして、それを二人でデジカメで撮り、女性のコンピュータから男性のメールアドレスへ電子メールで送付した、という件について、女性が児童ポルノ製造・提供罪、男性が児童ポルノ単純所持罪にそれぞれ問われ、それぞれ有罪となったもの(双方とも保護観察程度で済んだらしいが)。ここでの児童ポルノ罪はフロリダ州のものであって連邦犯罪ではない。女性の弁護側が州憲法のプライバシー権侵害で違憲無効だと控訴していたが、州第1区控訴審の判決では、複製容易なデジカメでの撮影や、コンピュータへの格納、電子メールでの送付といった一連の行為それぞれがプライバシー権の期待を放棄するものとみなして、合憲とされた。Declan McCullagh によるCNET記事が状況をもう少しわかりやすく説明している。

国外事例の説明はこんなところだろうか。最後のフロリダ州の事例は、児童ポルノ禁止をどこまで厳しくするべきか、というのを考えさせられる事例だと思う。

2008/03/16

Permalink 17:59:37, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 2270 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 言論・表現の自由, 児童ポルノ問題

児童ポルノの定義拡大問題について(2)

前の記事からの続き。

アイルランドは小国だけれども、日本ユニセフ協会のキャンペーンサイトに登場するDr. Ethel Quayleがアイルランドということで。アイルランドの憲法40条第6項1-iでは表現の自由をうたってはいるけれども、マスメディアなどを通して「公共の秩序、モラルや国家の権威」が傷つけられることがないように国家が努力すべし、としていたり、冒涜的、煽動的、あるいはみだらな出版などは犯罪として処罰すべし、としていたりして、明示的に表現の自由を制限している。実際、アイルランドには、Irish Film Censor's Office(映画やビデオ対象)と The Censorship of Publications Board (出版物)という2つの独立検閲機関(レイティング機関を兼ねる)があり、広範な言論表現を規制してきた。過去には、同性愛表現や妊娠中絶に関する情報などについても幅広く規制してきたが、同性愛表現の禁止については撤廃されているようだ。妊娠中絶については緩和されているもののまだ規制があるようだ(妊娠中絶はアイルランド憲法で違法とされていて、この条項が渡航の自由や国外での妊娠中絶情報の流通を制限するものではないと憲法に修正条項が追加されたのが1990年代)。カトリックが過去特別な地位にあった国らしいといえばらしい。といったところで本題の児童ポルノだが、Child Trafficking and Pornography Act, 1998に規定され、児童ポルノの製造・頒布・所持が罪となっている。そして、児童ポルノの定義だが、年齢は17歳未満で、視覚表現と聴覚表現の両方が対象とされていて、実際の児童の場合だけではなく、児童として描かれているものは対象になっている。描かれる内容としては、児童の明示的な性的活動のほか、児童に性的活動を見せること、性的目的で児童の性器や肛門の表現を主題とするもの、といったあたりになる。ただし、前述の検閲機関を通ったものは児童ポルノには含まれない。

カナダは、憲法ではかなり単純に表現の自由をうたっている一方、刑法典で性犯罪についてかなり「モラル」に踏み込んだ規定をもともとしている(これは英米法の国では結構多いみたいだ)。その上で、刑法163条の1、で児童ポルノ罪を定めている。年齢は18歳未満、内容についてはアイルランドとだいたい同じだが、「性的活動を児童に見せる」表現は含まれていない(文章についても違いがある)。児童の実在性は問題とされていない。処罰の対象は製造・頒布・所持・アクセス。ただし、カナダでは児童ポルノ禁止の範囲について複数の刑事事件で憲法問題になっていて、その結果、条項が無効とはなっていないものの、一定の範囲で制限をかける解釈が判例で示されている。1つは、カナダで児童ポルノ罪が定められてまもない1993年に、トロントの画家のEli Langerが子どもの性行為を描いた作品を展示したものが罪に問われたもので、1995年に、 児童を現実的に害するものでもなく、芸術的価値がある、ということで、そういうものは憲法が保護するものだから、と無罪になっている。その後、別の事件に関して、2001年にR. v. Sharpeとして知られる最高裁判決があり、想像の産物の個人的利用目的の製造と所持と、合法的な性行為(例えば14歳以上18歳未満同士のもの)を、行為者自身が撮影し自身で所持している場合、の2つの場合は表現の自由とプライバシーの権利で保護されるので児童ポルノ罪に含まれないとされている(被告自身は、新しい解釈基準での差し戻し審で、数は減ったがそれでも児童ポルノ所持はあったということで有罪になっている)。前者の例外は、その前からの「芸術的価値」のテストが外れているというのがポイントになる。

オーストラリアは、憲法で明示的に表現の自由をうたっていない(もし主張するならコモン・ローに頼ることになるようだ)。オーストラリアでは、Classification Act という、レイティングのための法律があり、ここでRefused Classification となると、頒布や上映は禁止される。もうひとつ、オーストラリアは連邦国家として、権限が連邦と 州・特別地域で分離されているので、話が複雑になる。州などをまたぐ頒布や、インターネット経由のアクセスなどは連邦の権限だけれども、州内はもっぱら州政府などの管轄になる。連邦の刑法では、児童ポルノの定義は18歳未満で実在は問わず、性的ポーズをとったり性的行為をしている場合や性的行為などをしている人物と一緒にいる場合の表現、性器や肛門、女性については胸の表現、といったあたりになる。しかし、実はこれはもっぱら通信サービス(事実上インターネット)経由での頒布やアクセスを禁じるに留まる。Classification ActのRefused Classificationに何が分類されるかは、法律本体ではなくてガイドラインになるが、ここでの年齢基準も18歳になっている(しかし、以前は16歳だったようだ)。 リアルワールドでの児童ポルノの製造や所持、頒布の取り締まりは、もっぱら州レベルとなる。 ここで実は基準がさまざまで、クィーンズランド州刑法では、child explotation material としては、16歳未満の実在の児童を基準として、製造・頒布・所持を罪としている。非実在の場合は、わいせつ物頒布罪の中で、16歳未満、12歳未満を描いている場合にそれぞれ罪を加重しているに留まる。ニューサウスウェールズ州刑法の場合も、児童ポルノ罪は16歳未満の実在の場合。非実在の場合は CLASSIFICATION (PUBLICATIONS, FILMS AND COMPUTER GAMES) ENFORCEMENT ACT 1995で連邦のレイティングに基づく頒布・上映の規制や禁止でカバーされるようだ。と、規制のありかたは州によって違うのだが、これを他の州にもわたってみていくのはそろそろ面倒なのだけれども、どうやら、16歳未満という線が現行の規制のようだ(追記: 性交同意年齢が17歳の州があり、そこではおそらくそれが線引きの下限となる)。ただ、連邦レベルの動きをみていくと、これはいずれ18歳へと引き上げられるのではないかという気はする。

あとは、アメリカの話があるのだけれども、それはまた後でということで。

ということで続きはこちらへ

2008/03/12

Permalink 04:03:55, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 2776 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 検閲, 言論・表現の自由, 児童ポルノ問題

児童ポルノの定義拡大問題について(1)

児童ポルノ禁止法改正問題にからんで、日本ユニセフ協会のキャンペーンが、アニメ・漫画・ゲームの違法化をも訴えるものとして、ネット的に強い反発を買っている。といって、多分、そういう反発は「想定内」であり、それをも含めてのメディアキャンペーンなのだと思う。ここで必要なのは、定義拡大の主張に「事実」として含まれる内容の吟味だと思っている。

被写体が実在しない場合についての違法化について、キャンペーン側では、すでに欧米で処罰対象の国があるとしている。ここで国名が出ていないのがやっかいだが、とりあえず有名どころというとドイツ・アイルランド・カナダ・オーストラリアか。イギリスは「擬似」までは対象。

ドイツの場合、基本法で表現の自由が結構明示的に制限されているので、さもありなんといったところだろうか。ナチス関連が有名だけど、青少年保護も入っているという。その前提でドイツの刑法(リンク先は英訳)をみると、ポルノ頒布罪を定めた184条の第3項から第6項が児童ポルノ関連となっている。第3項は暴力行為、児童(14歳未満)の性的虐待、獣姦といったものを対象(object)として含むポルノの頒布などを罪としている(表現形態は問うていない)。第4項は、「児童の性的虐待」が実際のものか、真に迫ったもので、商業的な頒布などの場合に罪を重くしている(これで、第3項が実在の児童に結びつくものでないことがわかる)。第5項は、「児童の性的虐待」が実際のものか、真に迫ったものの場合の入手や単純所持を罰している。「児童の性的虐待」は第176条で規定されている。実在の児童を使った児童ポルノ製造は続く第176a条の「児童の深刻な性的虐待」の中に規定されていて、「児童の前で性的行為をすること」が含まれる一方で、単なる児童ヌード撮影は含まれないように読める。

[追記: 上記の説明の前提となる英訳はやや古いものだった。現在は、児童ポルノ罪は現実の児童に関するものの単純所持を含むように改正され、184b条(リンク先はドイツ語)となっている。]

イギリスの場合、何度も改正されているので分かりにくいのだけど、1978年に「みだらな児童(16歳未満)の写真」の頒布などが罪となり、1988年に単純所持が罪となり、1994年に「みだらな児童の擬似写真」が対象に加わり、2003年に「児童」の定義が18歳未満に引き上げられた。ただし、この年齢引き上げには、16歳以上で婚姻関係にあるないしは同棲している状況で、児童の同意があって第三者にそれが見せたり配られたりしていない状況は罪としない、という例外措置がとられている。この「みだらな児童の写真」には、単なるヌードが入ることは判例で確立している。「擬似写真」は、「写真のように見えるもの」ということで、「みだらな児童の写真」をPhotoshopなどで加工して性的虐待との関係をごまかそうとする動きを封じよう、その場合に大人を子どもっぽく加工した写真とか、空想産物のリアルな超精細CGもひっかかるけど、それは児童の性的虐待の問題を考えたら許容されるよね、ということでそうなっている。ここで、漫画やアニメは「擬似写真」に含まれていない。 その上で、イギリス内務省は、昨年、 Consultation on the possession of non-photographic visual depictions of child sexual abuseというペーパーを出している。ここでは、「児童の性的虐待を描いた」漫画やアニメの違法化について提案されている(おそらくはUNICEFやECPATの働きかけによる)が、一押しは「みだらな児童の擬似写真」の定義拡大ではなくて、独立した法律を作ることとなっている。「みだらな」では定義が広すぎるし、罪も重すぎるので、範囲を限定して罪も軽くする、ということ(ただし、これでひっかけて捜索すれば本物の児童ポルノもどうせ持ってるだろ、という見込みも入っている)。しかし、結果としては、現在イギリス議会で審議中で、もう貴族院に来ている Criminal Justice and Immigration Bill 2006-07 to 2007-08では、「写真や擬似写真ではないが、それらに由来するもの」(鉛筆やコンピュータソフトでのトレースによるものなど)を児童ポルノに含めるということで、現実の児童の性的虐待からは離れない水準での改正に留まっている。

長くなってきたし、寝かしつづけるのもなんなので以降はまた後で。

ということで続きもどうぞ。

2008/03/10

Permalink 01:21:58, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1868 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 言論・表現の自由

カルチャーファーストはどこへ行った?

小倉さんが言及している「靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画」に対する自民党の一部議員による事前試写の要求の件、文化庁の「助成金の支払われ方がおかしいと取り上げられている問題を議員として検証する」のに中身を見る、というのは、検閲を意図したもので、配給会社だけではなくて、映画・コンテンツ業界が自らのこととして抗議に立ち上がらなくてどうするのだ、と思うのだが、ちょっと前に「カルチャーファースト」と言っていた面々はどこに行った?

ちなみに、Google News英語版でcensorshipを検索というのをこのところ見ていると分かるのだが、ちょうど今、このキーワードでとてもホットなのはカナダの話だ。従来から、カナダでは映画やテレビ番組の製作について、文化振興の目的で税の減免措置をとってきたらしいのだが、今、審議が行われている歳入法案では、“offensive” あるいは “contrary to public policy”と担当官僚が認めた場合には減免措置を取り消すことができる、という改正条項が含まれていて、まさにこれを検閲だとして、映画産業挙げての反対運動が起きている。なお、日本でこの件がどれだけ報道されているかは知らないが、とりあえずGoogle News 日本版では見つけることが出来なかった。

2008/03/01

Permalink 23:31:39, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1115 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: 検閲, 児童ポルノ問題

インターネット・ホットラインセンター通報後の一例

  1. 2007年12月24日 画像検索で対象サイトを発見。児童ポルノDVD販売サイト。各タイトルにスクリーンショット画像サムネイルがありこれが児童ポルノ公然陳列に該当。児童かどうかの明白性においては、明白な画像が多数。国内のサーバー(これ以上のサイト特定に資する情報の公開はまずいと思うのでしない)。
  2. 同日 上記サイトを含めて10サイトほどインターネット・ホットラインセンターへ通報。通報後に表示される「参照番号」は上記サイトの分は1198478189-1054。
  3. 2008年2月22日 「2008年1月12日ごろまでに通報いただいた方の処理結果を見ることができます」とホットラインセンターのトップページに表示される。
  4. 同日以降 処理結果確認ページのフォームに上記参照番号 1198478189-1054 を入力すると結果が表示される。

    あなたが2007年12月24日15時36分頃に通報された情報への対応状況は以下の通りです。

    通報された情報は違法と判断しましたので、警察へ通報しました。これからも通報をお待ちしております。

  5. 2008年3月1日 警察への通報から少なくとも1週間たっているのに当該サイトにアクセスするとまだ全然生きている ←イマココ

昨日、「ホットライン運用ガイドライン改訂案」に関する意見の募集が締め切られた(コメントは出した)が、改定案は処理の迅速化に資すると思えなかったので、いろいろコメントを書いて送った。また、国会では児童ポルノ禁止法の改正の議論が持ち上がっているのだけれども、ボトルネックの解消という意味では現状の改正議論は(弊害が多いわりに)意味がない。

追記: 3月10日までにサイトが削除されたようだ。

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