もうひとつ、楠さんの児童ポルノ禁止法改正についての意見について。まず、「親告罪」というのは、処罰感情への対応になっていないし、そのわりに幅広い範囲を違法化しようという意見なので、スジが悪すぎるように思う。日本の援交ビデオはともかく、世界的にみれば、被害児童は「親告罪」で訴え出ることができない場合が多いだろう。遠い日本に訴えるすべがない場合もあるだろうし、殺されている場合もあるだろう。アメリカで児童ポルノ通報窓口を運営しているNCMECの正式名称が National Center for Missing and Exploited Children であることを思い出そう。「行方不明児童」が親告することなどできない。その一方で、「創作でモデルにすること」にまで広げるのは、児童ポルノの定義として広げすぎだ。実在人物をモデルにすることは、それ自体は非難に値するが、それは「モデルにする行為」を刑法の名誉毀損罪などに問えばいいだけではないのか。リアルでない絵柄、あるいは文章の創作物をみて、それに実在モデルかいるかどうかなど普通は分からないわけで。
「実写をレタッチで創作であるかのように加工することもできる」という問題であれば、以前言及したイギリスで審議中の法案のように「実在児童児童ポルノに由来するもの」を定義に入れるという方向はありうる。これと、「区別できないもの」や「擬似」を定義に入れるかどうかは、独立の問題だと考えられる。「由来するもの」は、「区別できないもの」や「擬似」よりも、むしろ保護法益にマッチするようにも思う。「区別できないもの」や「擬似」を定義に入れるべきかどうかは、思弁的な問題ではなく、「実在児童ではない」抗弁を考慮して立証コストが高すぎる事態に陥っているという立法事実があるかどうかが問題で、もし日本の司法上問題になっていない(被告が争わないとか、運用として立証のハードルが高くないとか)なら、とくに急ぐ理由はないように思われる。
なお、単純所持については、単純所持全体を処罰化するのか、特定の類型に限るのか、そもそも全部反対するのか、大きくわけて3つ、さらに特定の類型といってもそのバリエーションもあるわけだが、私は「全体を処罰化」するのには反対だが、長期的なビジョンとしては、それ以上は絞れていない。ただ、現状は実在児童について「先進国」内においてさえも国際的な定義の不一致問題があるわけで、それがもうちょっとまともに解決されないと、萎縮効果が大きすぎると考えている。また、先に述べた「由来するもの」を違法化する場合には、一目見れば分かるものではない場合、単純所持や単なる複製や配布などを処罰対象とするのは、問題があるように思う。「単なる複製や配布など」でも、情を知って、みたいなセーフガードがあったほうがいいような気がする。
http://blog.sakichan.org/htsrv/trackback.php/58738e60005a4faebbfda7b967792122859ec4ef1b7b084ac00b48244e7ddcb4
この投稿への コメント/トラックバック/ピンバック はまだありません...
日々の意見やコメント、出来事などを書いていきます。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| << < | > >> | |||||
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
| 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
| 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
| 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
| 27 | 28 | 29 | 30 | |||