楠さんが指摘する自主規制機関のガバナンス問題というのは、実に困難かつ深刻な問題なんだよね。
仮に第三者機関としてSafety Onlineを策定しているインターネット協会を念頭に置いているとすると、窓口機関業務に関する警察庁との受発注関係など4月末の警察庁による「硫化水素」有害指定で顕在化したガバナンスの問題を整理する必要がある。
神は細部に宿る - 雑種路線でいこう
日本の場合、インターネット協会のその出自からして、法人化のタイミングで日本インターネット協会と電子ネットワーク協議会の合併があったが、それ自体が主務官庁の強力な要請、というか財団法人としての認可の条件だったという話があり、自主規制関係の部門はほとんど電子ネットワーク協議会から取り込まれた経緯がある。
国分明男副理事長が電子ネットワーク協議会時代からその部分は一貫して統括しているけれども、彼の公的な言動からは、インターネット協会の取り組みが業界団体としての企業利益や、あるいは実際にネットを使っているネットユーザーの利益を反映する、という面は、率直にいって希薄で、ネット規制の積極推進派的なものが目立っている(もっとも、さすがに国会での参考人質疑となると法規制に慎重な態度とはなっているが)。それが、彼個人の考えなのか、そのぐらいのポジションをとらないと主務官庁からのプレッシャーに対して組織を守っていけないのかは定かではない。私が知っているインターネット協会関係者の話からすると、インターネット協会の自主規制事業(レイティング事業やインターネットホットラインセンターなど)は、主務官庁や警察庁の意向を背景として、会員企業の声を反映することなくやりたい放題と なってきた趣きがあり、携帯フィルタリング原則化騒動のあとのSafetyOnline4検討開始にあたっては、レイティング/フィルタリング連絡協議会からの宮本潤子氏(ECPAT/ストップ子ども買春の会)のパージといった、ある程度まともなガバナンスが働いた話も聞こえたけれども、NHKニュースにこの件で登場した国分氏の発言は、受信者側の自主的な選択に資する、というのとはかなり異なる方向性を向いたものといわざるを得ず、困ったものだと思った。
世界的には、イギリスの違法コンテンツ通報機関として Internet Watch Foundationが有名で、ここが児童ポルノブロッキングのURLリスト作成などもしているが、2006年末のThe Register記事によれば、イギリスでも政府の規制強化の圧力のもとガバナンス構造の変質があり、組織の透明性や説明責任は大きな問題となっているようだ。IWFは設立当初はネット業界関係者のコミットがきちんとあったのだが、実質的な規制能力の高まりと共に、ネット業界からのチェックは入れにくい形に変質し、だからといって代替できるチェックの仕組みが育っているわけでもない、という状況のようだ(なお、The Register誌のサイトは、IWFやイギリスの児童ポルノブロッキングについて良質な記事が大量にあるようなので、関心のある人にはググって一通り読むことをおすすめする)。
日々の意見やコメント、出来事などを書いていきます。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| << < | 現在 | > >> | ||||
| 1 | 2 | 3 | 4 | |||
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | |