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政府の役割

2008/06/02

Permalink 01:57:06, by Nobuo Sakiyama Email , 57 words   Japanese (JP)
Categories: セキュリティ, 情報社会, 児童ポルノ問題

政府の役割

むしろ政府の役割は、着実に違法行為を摘発することだ。

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この問題は確実にあって、特定の違法行為がろくに摘発されず、自主規制のメカニズムからもこぼれ落ちていれば、おそらくはアンダーグラウンドの評判メカニズムが働き、弱い場所を確信的な違法事業の業者は徹底的に利用する。現状だと、アンダーグラウンドとまで行かず2ちゃんねるに出ていたりするが。

以前、12月下旬にホットラインセンターに通報した児童ポルノDVD販売サイトの情報が2月下旬に通報としては処理されて3月上旬にサイトの閉鎖に至ったという話を紹介したが、その後、このサイトはどうやら数日のうちにまったく同内容で復活していたようで、4月29日に再通報した。まだ再通報の処理はされていない。ドメイン名でググると、2ちゃんねるその他の掲示板で大量に宣伝的にURLが貼られていたことが確認でき(つまり、誰も知らないマイナーなサイト、という状態とは言えない)、また、サイト自体は、ごく最近、日本からの通報ではなくイギリスの Internet Watch Foundationからの通報で Google の検索結果からは除外されるようになった。

ドメイン登録情報のうち、サイトを特定しないよう一部を伏せ字にした情報を出すとこのようになっている。

Domain Name: *****.com
Registrar: GMO INTERNET, INC. DBA ONAMAE.COM AND DISCOUNT-DOMAIN.COM
Whois Server: whois.discount-domain.com
Last Updated On: 2008-03-1* **:**:**.*
Status: ACTIVE
Registrant Name: Domain Management Representative
Registrant Organization: paperboy and co.
Registrant Email: privacy@whoisprivacyprotection.info

COMドメインだが、レジストラは国内で、直接の登録にはどうやらムームードメインサービスを使っているようだ。料金支払いがコンビニ決済や銀行振込やゆうちょ振替でできるため、クレジットカード支払いよりもはるかに匿名性が高いし、whois情報はサービス会社のものとすることができるので、この Registrant Email でググるとスパマーや詐欺的なサイトにも愛用されてきたようだ。

その上で、サーバーは別の国内の会社のホスティングサービスとなっている(これは公表しない)。最初の通報のときとは、異なる業者だ(これも国内)。最初のサーバーではたしかに take down したが、すぐに別のサーバーで同内容を再現してDNSも変更した、ということになる。

通報が法執行につながっていればこのようなことにはならないはずで、ホットラインセンターからの通報を受け取った法執行機関が強制捜査を行っていない、あるいはそれが不十分だったことは明らかだ。COMドメインのレジストリこそ海外だが、レジストラやドメイン取得代行業者は国内なのだから、基本的に国内に閉じた問題と言える。

ここで、それではレジストラやドメイン取得代行業者もホットラインセンターのスキームに入れればいいか、というと、そう簡単ではない。ムームードメインサービスのWHOIS関連の見解にあるように、ドメイン利用自体の停止はサーバー提供の停止に比べて法的にハードルが高い。フィッシングに関するJPRS堀田氏の講演でも、現状では課題があることが述べられているし、また、違法性と高さと緊急性の高さは必ずしも一致するものではないから、緊急性が高い場合に認められる措置が、違法性が高い全ての場合に認められるかどうかは自明ではない。といって、ドメインの場合、幅広い違法情報の発信について(情報に対する管理可能性のない)レジストラやドメイン取得代行業者に義務を課したり登録者に対する責任制限を認めたりする立法をするというのは問題が多いという話にもなるだろう。

そう考えると、やはり、これは警察・検察がきちんと摘発をする、ということが必要だろう。そうすることで、はじめて民間事業者が動ける部分もあるわけで。単にかけ声で終わらせるのではなくて実効的なものとするには、現状行われるべき法執行がなぜすすまないでいるのか、ということに焦点をあてて調査研究が行われて、それに基づいた政策立案が行われるべきだろう。