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「有害情報」の起源

2008/07/08

Permalink 02:27:51, by Nobuo Sakiyama Email , 10 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

「有害情報」の起源

有害情報という言葉はもう10年以上使われている。「2002年の青少年有害社会環境対策基本法案をみたが有害情報という言葉はなかった」というのは、あの法案がメディア独立なより大きなフレームワークだったというだけなのではないかと思う。

国会では、国会会議録検索システムによれば、参議院文教委員会の平成9年05月22日が初出となる。これは1997年。現在は衆議院議員の馳浩氏の参議院議員としての国会質問となる。馳議員は、携帯フィルタリング義務化についても法案以前から積極的に動いていた議員の一人で、フィルタリング問題については長く取り組んできていると言える。

○馳浩君 最後の質問をさせていただきます。

 ホームページに私なども自分の馳浩という名前で情報を載せておるわけですが、匿名で有害情報、これは最近問題になっておりますけれども、わいせつな映像などを載せて、あるいは写真などを載せてしまうということで、これはもしかして大変子供たちに対する悪影響を及ぼすのではないか。

 というのは、このインターネットということで考えますと、オン・ディマンド、見たいときにいつでも見ることができるということでありますから、この辺の規制というものは、これはやはり児童生徒への影響ということを考えましたときに文部省としても考えなきゃいけないんじゃないかな。ちょっと資料を私も見ましたら、郵政省の方は法的規制は当面見送りといったようなことを言っておって、いわば自主規制をしなきゃいかぬなということだそうでありますが、最後にお聞きいたしますけれども、文部省としてはこの点どうお考えになっているのでしょうか。

参議院文教委員会 平成9年05月22日

これより前について、少なくともWeb上では、100校プロジェクト東金女子高等学校(当時)の平成8年度実施状況レポートの中でネットニュースを導入しなかった理由のひとつとして言及されている。レポートは1997年2月10日付で、「東金女子高等学校 総務部長 高橋邦夫」によるもの。高橋氏は、その後、東金女子高等学校が共学化した千葉学芸高校の学校長となっている。フィルタリングの文脈では、インターネット協会の「レイティング/フィルタリング連絡協議会」委員をやってきている(少なくとも2006年まで。SafetyOnline4 の委員に入っているかどうかは知らない)。なお、前年の平成7年度実施状況では、次年度の構想として「そのほか、有害なWWWコンテンツを排除する仕組み(w3.orgのPICSなど)が開発されるらしいので、これを含めた学校教育で生徒が安心して利用できるシステム構築技術の研究も継続していきたい。」と述べられるにとどまっていて「有害情報」という言葉にはまだなっていない。当時を思い出してみると、1995年度の時点では、この領域での高橋氏の関心は、ネチケットガイドラインの翻訳にあり、その次のステップとして有害情報という話をはじめたので、1996年からということになるだろう。

と、さすがにこれだけじゃないだろうなぁ、と思ったら、当時の郵政省で電気通信における利用環境整備に関する研究会が1996年9月から開催されていて、報告書が12月末には出ていた。3ヵ月ほどで急いで出したということになる。ここで「違法又は有害な情報」といった表現が出てくる。 また、平成8年警察白書には、「パソコンを通じて少年が有害な情報に接する機会が増加しており」と、前年度のこととして記述されている。

単に言葉ということではなくて実質面をとるならもう少し遡ることができて、一部で密かに、ということではなくて日本で世間が盛大に騒ぎ出したのはあきらかにアメリカのTIME Magazine のCYBERPORN特集(1995年7月3日)からで、これが1996年1月末のベッコアメ事件の強制捜査、そして2月のアメリカでの通信品位法成立とにつながっていった。そんな感じだったように思う。

ただ、おそらく最も古いのは児童の権利条約で、1994年に批准しているからそれまでには訳されている。外務省訳では、第17条(e)項は「児童の福祉に有害な情報及び資料」という言葉を使っている。