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日本における政治的フィルタリングの例

2008/08/06

Permalink 01:23:06, by Nobuo Sakiyama Email , 2 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

日本における政治的フィルタリングの例

一月ほど前にネットスターのフィルタリングのカテゴリ分類で新左翼党派や各種の右翼団体がほとんどテロリスト扱いである件についてふれたのだけれども、つい先日ネットスターがカテゴリ分類をチェックできる専用サイトを改めて公開していたので、ふと思いついて調べてじつに興味深いことが分かった。

前回調べたとき、革マル派のサイトが(他の党派とは異なり)「主張一般」というカテゴリに分類されていることについてふれた。このカテゴリはネットスターの定義によれば、「サイト主宰者の主張の場としての情報提供一般」とのことで、一見、かなり幅広いようにとりあえずは見える。しかし、これには

個人情報の売買や「別れさせ」工作など、社会通念的に不適切と思われる行為を助長、促進する主張や各種情報の提供を含みます。

カテゴリ一覧 - ネットスター株式会社

という注釈がついている。本文の定義に自然に「社会通念的に不適切と思われる行為を助長、促進する主張」が自然に含まれているという話なのか、それとも、「社会通念的に不適切と思われる行為を助長、促進する主張」という価値判断にコミットした分類が実は主眼であるところ、それを定義としてしまうと分類されたサイトの主宰者やその主張の支持者からつっこまれること大なので曖昧にぼかしているのか、実は問題だ。同様のカテゴリは他のフィルタリングソフトでもしばしば存在する。実データとして、極めて穏健なものもふくめて市民団体などを全部突っ込んである場合も多い。企業における生産性管理ツール、といった位置づけでのフィルタリングソフトでは、主張の質を問わずにブロックする需要も多いだろうから、それはそれでアリ、とは言える。

さて、ネットスターの「主張一般」の場合だが、ケータイの子ども向けフィルタリングでブロック対象とされていること、PC向けでも推奨設定で基本的にブロック対象であることから、文字通りの主張一般というよりは、「社会通念的に不適切と思われる行為を助長、促進する主張」についてのブロックを目的としているのではないか、というふうに思われるふしがある。事実として、多くの穏健な反グローバリゼーション団体のサイトは含まれていないし、グリーンピースジャパンやアムネスティ・インターナショナル日本といった団体のサイトも含まれていない(個別ページについて調べてはいないが少なくともトップページについての話)。

そういった前提の上で創作物の規制/単純所持規制に反対する請願署名市民有志について調べてみたら…「主張一般」に分類されていた。当該サイトは最近作られたものだから、他の市民団体にはネットスターのクローリングが及んでいないがここには及んだという偶然が存在するとは考えにくいだろう。内容面では、当該サイトは児童ポルノ禁止法の改正などにあたって「実在の児童を被写体としない(中略)創作物を規制の対象としないこと」「児童ポルノの単純所持を刑事罰の対象としないこと」を請願する署名を集めるサイトだ。新鮮なコンテンツに新鮮なレイティングがされたということになる。ネットスターの価値判断では、前記のような主張は「社会通念的に不適切と思われる行為を助長、促進する主張」なのだろうか。

追記: 日本ユニセフ協会の実在の児童を被写体としない「子どもポルノ」の違法化と児童ポルノの単純所持処罰を求める署名運動サイトは(もちろん)カテゴリ付けされておらずフィルタリングの対象にはならない。