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改正出会い系サイト規制法のもとでは中立的なCGMプラットフォームは否定されるのだろうか

2008/08/25

Permalink 01:02:04, by Nobuo Sakiyama Email , 10 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

改正出会い系サイト規制法のもとでは中立的なCGMプラットフォームは否定されるのだろうか

先の国会で「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」いわゆる出会い系サイト規制法の改正があっさりと成立し、その結果、警察庁から「「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン案」及び「インターネット異性紹介事業者の閲覧防止措置義務(いわゆる削除義務)に関するガイドライン案」に対する意見の募集についてインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する規則案に対する意見の募集についての2本の意見募集が開始された。前者は任意の意見募集であり、後者は行政手続法に基づく意見募集であるため、締切りが前者は9月5日、後者は9月20日と、後者には若干余裕があるが前者はほとんど時間がない状況だ。

今回の出会い系サイト規制法改正でもっとも大きいのは、サイト開設者に事前届出の義務が罰則つきで課されている点で、後者のパブリックコメント募集はその具体的な手続きを施行規則として定める部分が中心となっている。ただ、今回問題にしたいのは前者の「ガイドライン」について。なかでも「「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン案」のほうだ。

従来から、出会い系サイト規制法には「インターネット異性紹介事業」の定義が曖昧だという批判があった。コミュニティサイト一般を含みかねない、ということだ。ただ、従来は、サイト開設者の観点では、問題になるような18歳未満がかかわる書き込みが放置されるかどうかが問題であって、自身の事業が定義にあてはまっているかどうか、というのは、大きな問題ではなかった。

今回、届出義務が発生することで、そのような曖昧さはそのままに出来ない。18歳未満を排除する運営をきっちりやっていようが、削除義務が発生するような書き込みを積極的にパトロールして削除していようが、「出会えないサイト」とする努力をしていようが、該当性判断でインターネット異性紹介事業となるものが届出していなければ、刑事罰の対象となる。もっとも、コミュニティサイト関連の事業をむやみやたらと萎縮させることが法律の意図ではないはず、というのが法案が国会に出る前から議論されていて、従来のガイドラインを上書きする形で新しいガイドラインの案が意見募集という形で公表された、というのが今回のものになる。

ということで、今回のガイドライン案の具体的な中身だが…、やっぱりダメではという感じがする。

基本的な骨格は、従来と変わっていない。「異性との交際」というのは、「男女の性に着目した交際」であり、異性であることへの「関心が重要な要素となっている感情」に基づくものであれば、「他人と知り合い、交流する行為全般」が対象であり、リアルワールドで対面しないものを含む。つまり、サイト内で完結する関係でも該当する。そして、「サイト開設者がサイトの運営方針として、「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供している」ということが「インターネット異性紹介事業」にあてはまるかどうかの要件であって、個々の利用者の意図にはかかわらないとしつつも、

なお、異性交際目的での利用を禁ずる規約等に反して利用者が異性交際目的で利用している実態がある場合でも、サイト開設者が異性交際を求める書き込みの削除や当該投稿者の利用停止措置を行っていれば、当該サイトは、 基本的には「インターネット異性紹介事業」に該当しませんが、当該書き込みを知りながら放置するなど、サイト開設者がその実態を許容していると認められるときは「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があります。

ということで、「異性交際目的での利用を禁ずる規約等」を設けて、notice and takedown の手続きをとるなどしていなければ、いつのまにか「インターネット異性紹介事業」に該当しうる、ということは、従来のガイドラインと変わっていない(なお、積極的な監視義務までは負わせてはいない)。

以下、該当性判断の具体例をみていく。

問 いわゆるSNSは、「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。

(答)

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)とは、一般に、会員制をとり、参加者が互いに友人を紹介し合うなどして、共通性を持つ新たな友人関係を広げるサイトのことを言います。このようなサイトは、サイト開設者がサ イトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していない限り、「インターネット異性紹介事業」には該当しません。

なお、サイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していないことを明らかにするためには、利用規約等においてその趣旨を明確にし、これに基づく措置がとられていることが望ましいと考えられます。

日本に拠点はないが、facebookのアプリケーションには出会い系機能をもったものもあったような気がするが、どのように評価されるだろう?

問 あるサイトが、開設者が知らないうちに実質的に出会い系サイトとして利用されていた場合、そのサイトは「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。

(答)

自らが運営するサイトが知らないうちに、実質的にインターネット異性紹介事業に利用されていた場合、サイト開設者はサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していないことから、基本的には「イ ンターネット異性紹介事業」には該当しませんが、異性交際を求める書き込みを知りながら放置するなどサイト開設者がその利用実態を許容していると認められるときは、「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があります。

従来のガイドラインにもあった項目だと思ったが、閑古鳥が鳴いてるサイトならともかく、ある程度の利用実態があるところで「知らずに放置」がありうるかというと、サイト利用者の誰かがサイト開設者に「通報」すれば知らなかったという実態はなくなり、もし「異性交際を求める書き込みを禁止」する項目が規約にないということで放置しておくと、該当する可能性があるということになる。

問 サイト開設者は「異性交際」を目的としないサイトとして開設しているものの、当該サイトの中に利用者が異性交際希望者を対象としたジャンルを設け、サイト開設者が提供するサービス(利用者間で一対一の連絡をす ることができる機能等)とあわせて実質的に出会い系サイトとして利用されていた場合、当該ジャンルは「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。

(答)

サイト開設者ではなく利用者が当該ジャンルを設けている場合でも、サイトを更に細分化したジャンルがサイト開設者が提供するサービスとあわせて独立した一つのサイトとしての機能を果たしており、かつ、当該ジャンルの存在や 異性交際を求める書き込みを知りながら放置するなどサイト開設者がその利用実態を許容していると認められるときは、当該ジャンルのみについて「インターネット異性紹介事業」に該当し、サイト開設者が「インターネット異性紹介事業者」に該当する場合があります。

ここの最大のポイントは「「インターネット異性紹介事業者」に該当する場合があ」るのは、そのジャンルを設定した利用者ではなく、サイト開設者だという点。また、「サイトを細分化したジャンル」が「独立した一つのサイトとしての機能を果たして」いれば、当該ジャンル部分のみに限定して「インターネット異性紹介事業」に限定可能ということであって、独立性がなければ「インターネット異性紹介事業」にならないかというとそうではなく、おそらくは全体がそうみなされうるという点だろう。コミュニティーサイト開設者としては、「ジャンル」や「コミュニティ」の設定を完全にユーザーに開放すると、「インターネット異性紹介事業」に該当することになる危険があることになる。しかも、「異性交際」であれば、「リアルに出会う目的かどうか」は問題にならないから、インターネット異性紹介事業者として届出をしない前提では、かなり幅広いものを禁止する必要がある。もっとも、すでにある程度の事業規模があれば、18歳未満ユーザーと18歳以上ユーザーが出来ることに大幅に違いをつけて、後者の部分について実態にかかわらずインターネット異性紹介事業として届け出ておくという割り切ったアプローチもありうるのかな、とは思われる。

問 複数の事業者が分担してインターネット異性紹介事業を行っている場合には、各事業者は「インターネット異性紹介事業者」に該当するのか。

(答)

例えば、A会社がサイトの運営を、B会社が顧客管理をそれぞれ担当し、両社が共同してインターネット異性紹介事業を行っている場合、共同して行う事業が全体として「インターネット異性紹介事業」に該当することから、両社と もに「インターネット異性紹介事業者」に該当します。なお、「共同してインターネット異性紹介事業を行う」というには、それぞれの者が、一のインターネット異性紹介事業を共同して行う意思を有していることが必要です。

OpenIDとか使って出会い系サイトを作ると、どうなるんだろうね。「共同して行う意思」がないからサイト運営者だけがインターネット異性紹介事業者で、OpenID プロバイダーは関係ないということなのか、「共同して行う意思」がないからそもそも許容されない形態という意味なのか。mixi OpenIDなんかは、mixiプロフィールページへのリンクをサイト側で設定できて、そのプロフィールページに性別の記載があるので例としてうってつけかもしれない。現実に現れたらmixi はガイドライン の「その他」の項にあるような形で「認証を停止」するんじゃないかと予想するけど、ね。