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問題はトレンドマイクロだけじゃない

2009/04/18

Permalink 22:39:36, by Nobuo Sakiyama Email , 114 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

問題はトレンドマイクロだけじゃない

ネットスターの人にウイルスバスターは関係ないと言われてしまった前エントリだが、それはそれとして、「活動家グループ/反体制的団体」がフィルタリングソフトでブロックされるというのは、ウイルスバスターに限った話ではない。フィルタリングソフト業界も淘汰やM&Aがいろいろあり、新規参入もあるので昔の情報だけでは問題があるので、メジャーなものをいくつか簡単に調べて同様の状況があるかどうか見てみた。

簡単にみつかるところで、企業向けで有名なSmartFilterがある。SmartFilterを開発・販売してきたSecure Computingの日本法人サイトにはほとんど情報がない のだが、リセラーであるバーテックスリンクが用意したサイトには、カテゴリ一覧が説明つきであり、"Non-Profit Organizations/Advocacy Groups"というカテゴリがあることが分かる。このカテゴリ一覧だけだといまいち位置づけが分からないが、SmartFilter含め複数のSecure Computingで使われているデータベースであるTrustedSource(これは単なるコンテンツに対するURLリストではないとのこと)のTrustedSource Web Database Reference Guideという文書を参照すると、フィルタリング用のカテゴリについて、リスクの種類に応じたグループ分けがされていて、"Non-Profit Organizations/Advocacy Groups"カテゴリは Information というリスクグループで、ポルノなどのコンテンツが Liability というリスクグループに分類されているのとは異なる位置づけだということが明確になっている。TrustedSourceではURLがどのカテゴリに入っているかの検索機能を一般に提供していて、日本生活協同組合連合会サイトが当該カテゴリである一方、みやぎ生協はMarketing/Merchandisingになっていることなどが分かる。なお、リンク先を適宜みるとすぐに分かることだけれども、Secure Computingは昨年秋にMcAfeeに買収されていて、TrustedSourceもMcAfeeブランドに移行している。ただ、SmartFilter はMcAfee ブランドにはまだなっておらず、McAfeeサイト上にはほとんど情報がない。マカフィーの日本向けの個人向け製品の2009年版には、「保護者機能」としてURLフィルタリングを含むものが搭載されているけれども、同じ機能は以前から Parental Control として提供されているし買収時期のことを考慮すると買収効果が反映されているかというと、まだのようにも思う(判断する情報はない)。個人向け製品としてウイルスバスターと競合するものなので、「保護者機能」の詳細がどうなっているかと思ったら、サイトの説明をみる限りでは、年齢設定のみでカテゴリのカスタマイズなどはないようだ(個別のサイトをブロック対象に入れたり外したりという機能はある)。よく分からない。

もうひとつ、さらに企業向け製品として、Websenseというのがある。ここは歴史が長いところで、そもそも、ネットスターでサイト分類作業を行っている、仙台の「URLリサーチセンター」は、もともとはネットスターの設立前、親会社のアルプスシステムインテグレーション(ALSI)がWebsenseの国内代理店をやっていたころに、日本語コンテンツの分類を担当していたことに遡る。その後、ALSIはWebsenseとの契約を段階的に解消する一方で自社フィルタリングソフト InterSafe を発表し、URL分類作業とデータベース化の部分を分離してトレンドマイクロと合弁してネットスターを設立、という流れになる。そういう経緯から、Websenseのカテゴリとネットスターのカテゴリは共通のルーツをもつため似ているが、その後の双方のカテゴリ改訂で別のものになっている。Websense と InterSafe に分かれたころに聞いた話では、Websense が企業向けにフォーカスする方針の一方、ALSI は教育・家庭市場をめざした、ということのようだった。で、このWebsenseなのだが、Master Databaseといって、URLのほか、プロトコルやアプリケーションも分類したデータベースを持っている(Websenseは企業向けとして、HTTPのフィルタリング以外にも他のさまざまなプロトコルへの対応や、企業内パソコンにインストールされ動作するアプリケーションの監視といった機能まで提供している)のだが、URLカテゴリとして、次のように説明している。

Adult Material

Parent category that contains the categories:

  • Adult Content - (引用時略)
  • Lingerie and Swimsuit - (引用時略)
  • Nudity - (引用時略)
  • Sex - (引用時略)
  • Sex Education -(引用時略)
  • Advocacy Groups - Sites that promote change or reform in public policy, public opinion, social practice, economic activities, and relationships.
Websense.com — URL Categories

つまり、Websenseでは、「活動家グループ」のコンテンツは明確に「成人向けマテリアル」とされ、未成年のアクセスは制限されるべきという意味でカテゴリ分けされている。なんだか、ウイルスバスターの場合と似た状況ではないだろうか。「フィルタリング業界」的には、こういうスタンスは珍しくないということだろうか。なお、Websenseでは、MyWebsenseといって、登録ユーザにさまざまな情報を提供するサイトを用意していて、ここで個別のURLがどのようなカテゴリに属するかも確認できるそうだけれども、MyWebsenseの登録ユーザとなれるのは、製品の有効なアクティベーションキーを持っている場合に限るので、実際にどういうサイトが「成人向けマテリアル」としての「活動家グループ」に属するかの確認はしなかった(30日体験版の申し込みをして確認するという手段もありそうだけれども、製品そのものをインストールして評価する気でないのに申し込むのはどうかと思ってやってない)。ケーススタディによれば、玉川学園や東京都庁で使われているようだ。