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あなたにも分かる児童ポルノ単純所持処罰化の未来

2009/06/28

あなたにも分かる児童ポルノ単純所持処罰化の未来

前ふたつのエントリ、児童ポルノ禁止法改正に関して、 ブロッキングが拡大する危険性と、通信の秘密が大幅に侵される危険性について書いてみたのだけれども、長くて読みにくいよ、ということらしいので、両方合わせてもっと簡単に書くことにした。簡単に書くので仮定が入ってるってことやロジックの飛躍が出るけど、それはそういうものだと思ってね。あと、微妙に新しく気づいたネタも少し入れます。


児童ポルノ禁止法の自公案は、附則で「インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置」の技術の開発の促進というのに言及して、三年後改正で技術開発の状況をみて、「必要な措置」つまり義務化を法改正で盛り込みたいっていっていて、これがトンでもなくヤバい。この技術的制限、というのが、一般には「児童ポルノブロッキング」と呼ばれている。

それから、国会質疑であきらかになったように、自公案の目的は、児童の被害を防ぐことではなく、「ペドファイルとのたたかい」だ。これもヤバい。

まず、自公案でも民主案でも同じなのだけれども、改正後の摘発には、必ず「ケータイ児童ポルノサイトの利用者の摘発」が含まれてくる。だって、ケータイってドコモとかAUとかソフトバンクのシステムの中に、Web閲覧履歴が残ってるんだもの。これをURLベースで総ざらいするのって、技術的には簡単だし、令状はきっと出るよ。

次は、「ケータイだと徹底して取り締まれるのにPCだと取り締まれない」という不満の声が警察から出るよ。一部マスコミも同調するよ。そのころには、ブロッキングが現実の日程に入ってきているので、「PCからのWebアクセスも全部ISPでログ取れ」という話になっていたりするだろうよ。ブロッキングのシステム構成によっては、これは簡単。

同時に、「ペドファイルとのたたかい」の「国際標準」にあわせろという声として「未遂・予備」を取り締まれという話になるよ。「自己の性的好奇心を満たす目的」が認定できれば、例えばブロッキングされてばっかりで一枚も児童ポルノを入手できていなくても、逮捕すべき、という議論だ。FBIおとり捜査とかって、そういうことだし。そういう面も、「全部ログ取れ」の主張を補強するし、ブロッキングされて児童ポルノを入手しなかったからといって安心できず、むしろブロッキングされたらそのうち警察から人が来て捜索・逮捕がおかしくない、ぐらいになるよ。

そして、そもそも、ブロッキングって憲法的にどうなの、みたいな話、推進派のひとたちは、問題だと思ってないみたいだよ。「児童ポルノはとっても悪いからやれ」とは言っていても、「原則ダメだけど、児童ポルノだから例外」とは言ってないみたいだよ。

ブロッキング推進派のひとたちは、被害児童の人権だけじゃなくて、「社会的法益」もよく言っているよ。でも、社会的法益でブロッキングしていいなら、児童ポルノだけじゃなくて、創作物はもちろん、あちこちのオトーサンが楽しんでいたりするカリビアンコムとかの海外無修正ポルノサイトだってブロッキングしていいっていう話になるよ。海外無修正ポルノサイトを見たりそこからダウンロードしたりすること自体は、今は違法性を帯びないけれども、刑法改正でそのへん微妙になってくるし、その延長の法改正が提案される可能性もあるよ。

で、今の関税法の輸入禁制品の一覧をみるとわいせつ物輸入を禁止しているのは「公安又は風俗を害すべき」物品というカテゴリーだから、そもそも、「違法コンテンツ」ですらないものだって、法的に海外からの流入を阻止してもいいっていう議論は必ず起きて、エロ以外にもブロッキングの対象は広げられる危険はあるよ。

ここまで全部の話、憲法の表現の自由とか通信の秘密とか、いったいどこへ行ったんだ、って感じだけれども、暴走されたら日本の裁判所が「法令違憲」と言って仕組を全部吹っ飛ばす可能性は、たぶんないよ。コンテンツ単位の「適用違憲」はありうると思うけどね。