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2008/05/15

Permalink 02:23:27, by Nobuo Sakiyama Email , 5 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 言論・表現の自由

高市法案がいまだ死んでいないらしい件

高市早苗議員がここにきて「青少年をインターネット上の有害情報から守る為の法律案骨子について」とか「インターネット関係業者による法案反対記者会見への回答」とか、自分のサイトに上げる事態になっていて、必死になっています。で、まだこの線が完全には死んでいないという困った事態らしいです。

この骨子、自分で載せてるんだから過去のものと違って間違いなく最新版でしょう。もうほんとにこの線の息の根は誰か止めてほしいなぁ。ただ、本人が何を維持したいのかは、分かりやすくはなった。

「青少年有害情報等の定義」から。青少年条例と一緒だろ、と高市議員はおっしゃるわけなんだけど、「著しく」というのが情報内容の程度にかかっているのか、「影響」にかかっているのかで、全然違う話になる、というのは、以前書いた。さらに5月1日のMIAUシンポで話した内容(資料はここに。MIAUのサイトでの公開も他の発表者資料とあわせて追ってあるはず)をふまえていうと、これにCOPA違憲訴訟再審の地裁違憲判決のロジックを使って突っ込むことができるように思う。「十八歳に満たない」青少年には、17歳も、12歳も含まれる。もちろん、乳幼児も含まれる。高市法案の「青少年有害情報」の定義では、個々の表現の程度は問われていない。青少年に対し「著しい」影響があるとするとき、その「青少年」は総体として問われているので、16、7歳程度にとって「著しい」影響があるとまではいえない内容に対しても、「著しい」影響があるといえてしまう場合があるだろう。より細かくいえば、そういう判断をすることを政令で定める基準として設けることを排除しない内容になっている。そして、とくに「性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼすもの」という表現は客観的なものではなく、広範に18歳未満の者の情報へのアクセス権を阻害する可能性がある。「その他の性欲を興奮させ又は刺激する内容の情報」についても程度を問わないということになれば、性教育や避妊に関する情報を広く規制対象とすることすら可能だろう(「青少年インターネット環境整備審議会」の意見聴取で一定の配慮をしているつもりなのだろうけれども、そういう問題ではない)。

「ウェブサイト上の青少年有害情報が青少年に閲覧されないようにするための措置」は、ISPの責任制限は入ったが、ISPに罰則つきで義務を課している点は相変わらず。携帯電話フィルタリングについて、親が外すオプションを許さない点も変わらず。

「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」について「青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できる」ことを求めているのは、法案の定義する「青少年有害情報」にまで至らないものを対象としていて、「青少年有害情報」はカスタマイズによらず「閲覧が制限されないものをできるだけ少なくする」ことを求めている。

高市議員は、「保護者の子どもの教育に関する決定権」について「配慮」しているとしつつ、しかし、制限することを肯定している。表現の自由に対する制約の面も現状認められている程度だとしているけれども、すでにみたように同じ程度でもない(カテゴリも増えているし)。「削除義務」ではない、とするけれども、「フィルタリングソフトへの連動措置」でさえも言論表現一般に対して求めるのは表現の自由への大きな制約だろう(風営適正化法を改正して、すでに規制対象の商業的アダルトサイト(映像送信型性風俗特殊営業)に関してサイト入り口を含めた「フィルタリングソフトへの連動措置」を求める程度であれば、出会い系サイト規制法の改正案がすんなりと全会一致で衆議院を通過しているように、おそらく大きな抵抗はないだろうから、そうじゃなくて広汎な規制をしたいんですよねぇ…)。

2008/05/07

Permalink 00:04:17, by Nobuo Sakiyama Email , 4 words   Japanese (JP)
Categories: 児童ポルノ問題

児童ポルノ単純所持違法の国での無罪判決

児童ポルノ禁止法の単純所持処罰の改正の動きで、与党PTから「性的好奇心を満たす目的」に処罰するという案が出ているという報道について、奥村弁護士が「ほんとにできれば、性欲刺激要件とダブルので、限定にならないような気がします」と述べている。実際問題、全体からみればごく一部であろうとはいえ、成人ポルノと児童ポルノを確たる区別なく配布しているネット上のサイトはそれなりにあり、要件を「性的好奇心を満たす目的」としたところで、成人ポルノを目的としてアクセスして児童ポルノを所持してしまった場合、処罰される恐れがあるように思う。

最近、アイルランドで興味深い事例があった。 アイルランドのウェストミース州アスローンの地元紙 Athlone Advertiser によると、190枚の静止画と7つの動画で児童ポルノ所持罪に問われていた男性が無罪となった。この男性、実は「巨乳が好き」ということで、検索して出てきた有料サイトに登録して画像を自動的にダウンロードしてハードディスクに溜め込んだりCD-ROMに複製したりしていたところ、その中に児童ポルノが混ざっていて罪に問われた、ということのようだ。そして、「アジア系の(女子高生に見える)制服姿の女性」の画像について、しばしば大人が演じているから、そのような姿だからといって児童ポルノだと判断できるわけではない、と主張した。また、大量の画像について、そもそも中身を確認しないで複製することが少なくなかったとしている。こうした主張が通り、また、動画のほうは少なくとも1つがアイルランドの国内検閲制度を通過した映画からのものだ、ということが分かり、無罪となった(ただし、この訴追を通じて男性が職場である大学のネット環境をポルノ入手のために濫用していたことも明るみになってしまい、辞職に追い込まれている)。

楠さんが簡単にふれている英米の場合のような過酷・過剰な制裁を伴う場合もあれば、この例のように、非常に慎重な「疑わしきは被告人の利益に」を地で行く判断を陪審が下す環境にある国もあり、その程度は様々だと言える。日本での単純所持罪も関しても、その気がない人を罰するような定義が成されてはならないと思う。

2008/04/28

Permalink 02:54:47, by Nobuo Sakiyama Email , 1 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 言論・表現の自由

宗教右翼に対する懸念は現実のもの

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2008/04/26

Permalink 02:12:52, by Nobuo Sakiyama Email , 12 words   Japanese (JP)
Categories: 言論・表現の自由

もっとくどく検閲について

bewaadさんの、ある意味無意味なMIAU批判が続いているのだけれども、あえて反論。

そもそも、「検閲」という言葉を、厳密に憲法における「検閲」という語の解釈についての最高裁判例に沿って使わないといけない、と誰が決めたのだろうね。

辞書で「検閲」をひけば、第一の意味としては「しらべあらためること」ぐらいの内容が普通は載っている。そして、歴史的にみれば、検閲という語は、圧倒的に軍隊用語として用いられてきた。近代軍において、兵器や練兵が要求水準を満たしているかどうか検査すること、あるいは軍人個人を試験すること、そういった用法が多い。 自衛隊において現在も用いられている用法だ。「日本法令索引〔明治前期編〕」で「検閲」というキーワードでの検索結果でのそのほとんどは軍事用語。最初のものが「検閲使職務条例 明治8年6月13日 太政官第100号達」で、その後ほとんどが軍隊における上記の意味での検閲。それ以外のものは「〔留萌支庁被廃ニ付宗谷出張所ノ文書等留萌出張所ノ検閲ヲ経ル義〕 明治8年6月20日 開拓使本庁達」「法律規則等ヲ外国語ニ翻訳発布ノ前外務省翻訳局ノ検閲ヲ経セシム 明治18年8月17日 太政官第45号達」であって、両方とも行政内の文書について「しらべあらためる」話。明治19年2月公文式公布以降を「日本法令索引」で検索した場合も、出てくるのは圧倒的に軍隊関連となる。ここまでくると、民間における表現の事前抑制としての検閲を法令名にもつものも入ってくるが、同時に貿易に関する検査なども検閲と呼ばれていて、また、郵便物や電話などの、今日的には信書の秘密や通信の秘密に関わって禁止されるような内容規制についても、検閲と呼ばれている。 なお、Wikipediaの日本における検閲の沿革にある代表的な諸法令では、必ずしも検閲の語は使っていないようだ。ちなみに、中国語で検閲といえば、もっぱら軍隊の話であって、censorshipの訳語は「検査」「審査」(のそれぞれ簡体字)であって、検閲ではない。

また、表現の事前抑制としての検閲を昔はどう呼んでいたかというと、江戸時代の浮世絵等の出版物については寛政の改革で株仲間における民間事前審査の強制があり、それが天保の改革では株仲間が解散ということで名主による直接規制となり、その後またもとに戻っているが、これらは「改(あらため)」と呼ばれ、検閲済証明としての印が「改印」「極印」「名主印」などと時期に応じて呼ばれてきたもので、「検閲」という名称の制度ではなかった。そして、「改」というと、日本において発行される出版物の事前チェックに限定されず、長崎の出島からの蘭学書の国内持ち込み時の検査(キリスト教禁制等のため)や、関所での検査も「改」であり、「江戸時代の検閲制度」の研究者は、なにも浮世絵等の改に限定して検閲と述べているわけではなく、普通に出島の検査や関所の検査も検閲に入れて扱っている。

私は、MIAUはユーザー利益をうったえる団体であって、法解釈をたれるための団体ではないのだから、プレスリリース程度の粒度のさいに、厳密に憲法における検閲という語の解釈についての最高裁判例に沿った用法で検閲という語を用いる必要はなく、censorshipの訳語として用いられる程度の幅で検閲という語を用いて問題ないと思うので、当初の声明にとくに問題を感じていない。だいたい、プレスリリースのどこにも「憲法」の文字はない。「法解釈的に誤解を招く、厳密さを欠く表現」と言われたらそれはそうだが、間違っているという批判を受け入れる必要があるとも思わない。個人で文章を書くならそういう場合は「(広義の)検閲」とかやる場合が多いけどね。

また、えのさんと議論になっている中身のほうだけれども、青少年条例の図書自販機規制をめぐる攻防は、最高裁判例のころとは全く違う状況が生まれていて、ネット規制の文脈で取り上げるのは、いろいろと微妙なものがあるという気がする。最高裁判例のもととなった事件のころは、自販機と言えば金を持っていれば誰でも購入できたものなのだが、タバコの自動販売機のtaspo導入でもわかるように年齢識別/認証装置つきの自販機というのは開発されており、タバコよりも図書等のほうがはるかに先行して導入され、それでまた攻防がある。過去の事例では「免許証読み取り機能はあるが購入者本人との対応が認証されていない」とか「遠隔監視装置(監視カメラで人間が青少年でないことを確認する)の画像が不鮮明」であるとか、運用が適切でないとか、そういった理由で年齢識別/認証装置や遠隔監視装置つきの自販機での有害図書販売を摘発して有罪が維持された下級審判例がある。しかし、さらなる技術の向上を背景にむしろこうした装置を条例上位置付けて義務化する自治体もあり(例えば東京都)、その一方で、まさに「青少年向けの規制の形式をとりつつ広範に流通ルートからの排除を試み青少年以外の者に対する販売すら」大きく制限する、萎縮させる意図を含んで、いかなる水準の年齢識別/認証装置つきの自販機であろうとも、有害図書の収納を禁じ、あるいは図書自販機の設置自体を禁止するという方向に動く自治体もある、というのが現状のようだ。そして、それに挑む事業者も存在する。このあたり、自動販売機と地域経済というブログがとても詳しい(開設者は、書斎研究家ではなくて、県レベルの条例がない長野県でフィールドワークをされている方)。

ところで、ここまで書いて気がついたんだけど、bewaadさんが「広範な代替的コミュニケーションチャネルが開かれていること」が「表現の自由の制約が許される一要件」だとされているロジック、あまりに酷いんじゃないかと思うんだ。だって、引用されているアメリカの最高裁判例の引用部分だけでも、それは「内容中立規制」の場合だってことは明らかなんだもの。その一部分だけ取り出して「規制ok!」と強調するのはどうかと思うよ。さらにいえば、引用されている判決は、裁判所の建物と敷地内の内容中立規制は合理的理由もあるし ok だが、そのまわりの歩道は、他の場所の歩道と区別がつかない "public forum" だし、そこに問題の内容中立規制を拡大解釈して適用してビラ配りとかピケを張ったのとかを検挙したのは違憲だよ、という判決だったりするわけで。

2008/04/24

Permalink 00:58:58, by Nobuo Sakiyama Email , 58 words   Japanese (JP)
Categories: 監視社会, 児童ポルノ問題

FBI児童ポルノおとり捜査は(あまり)影響ないのでは

児童ポルノ単純所持がらみのFBIおとり捜査が日本在住者に与える影響の件だけれども、個人的にはこれはそれほど心配するほどのことではないと思っている。逆に、心配しなければいけないレベルの法改正が行われるとすれば、それは現在の単純所持処罰の検討でされている議論をはるかに越えた、広範な行為を処罰対象とする議論として、より大きな問題としなければならないと思う。

どういうことかというと、そもそも最近話題になった「おとり捜査」では、えのさんが書いているような「サムネイル画像」のもとになる画像がFBIから提供されたわけではない。児童ポルノは被害児童がいる犯罪である以上、麻薬と違っておとり捜査でも現物を用いることは許されない(直ちに検挙できなければ、さらなる画像の拡散を招くことが確実)。

事実関係をGIGAZINE記事(元ネタはCNETのDeclan McCullagh記事)でみれば分かるが、この件は、児童ポルノが存在しないサイトをFBIが用意し、そのサイトに児童ポルノがあるよという偽記事をリンク込みであちこちにばらまいて誘導した、偽リンクによるおとり捜査となっている。アメリカの連邦法で具体的にどのようなことになっているかというと

(b) (1) Whoever violates, or attempts or conspires to violate, paragraph (1), (2), (3), (4), or (6) of subsection (a) shall be fined under this title and imprisoned not less than 5 years and not more than 20 years, but,...

US CODE: Title 18,2252A. Certain activities relating to material constituting or containing child pornography

という具合に、明示的に未遂や共謀を含めた形で処罰対象としている。ここでは(州間通信における)受信の「未遂」(attempt)を容疑として強制捜査の端緒としたことになる(2259A(b)(2)が一定条件での単純所持(未遂など同様に含む)の罰則だが、これは問題のおとり捜査での家宅捜索令状請求の根拠とはならない)。

仮に当該おとり捜査のIPアドレスを警察庁が保持していたとして、そのアクセスでは児童ポルノの取得は行われていないのだから、それ自体が単純所持の原因とはなりえない。また、仮に児童買春・児童ポルノ禁止法の改正において単純所持処罰に加えて未遂罪をも入れたとして、それで処罰することは法の不遡及ゆえに許されない。万一、当該のおとり捜査のデータで強制捜査が行われたら、それ自体が違法だと思う。だから、現時点ではあまり心配しても意味がないのかなというところだ。ただし、おとり捜査のリンクをばらまいた場所が常習的な児童ポルノ交換用のフォーラムなどに限定されていたら、上記の理由付けは通らないかもしれない。正確なところは刑法や刑事訴訟法の専門家や弁護士に尋ねるべきかな。

あと、ひっかかったっぽい人が現状で何も心配しなくていいかというとそういうことはなくて、日本とアメリカの間では日米刑事共助条約が結ばれていてすでに批准されており、ここでは「双罰性」が緩和されている。アメリカで犯罪であれば日本で犯罪でなくてもアメリカからの要請で任意捜査まではできることになっている。捜査関係事項照会書での個人情報開示は警察にとっては任意捜査だから、ISPがそれで開示すれば、アメリカに出かけて入国したら逮捕、という展開が待っている可能性が、現状でもありえないわけではない。

2008/04/22

Permalink 01:52:45, by Nobuo Sakiyama Email , 12 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

はてダのゲストコメント制限はiモード公式サイトだから

はてなの中の人に確認をとったわけじゃないが、「モバイル版はてなダイアリーのゲストコメント制限について」という発表とその3日後の「モバイル版はてなダイアリーでのゲストコメント制限を実装いたしました」という発表は、直接には、携帯フィルタリングというよりは、昨年の7月17日からiモードの公式サイトになっているからだと思うよ。

多くの他の国内市場向けのブログサービスは、同等の制限をしているかというとしていない。それらのサイトも、一般のサイトとしての携帯電話対応をしているものは多いし、未成年携帯フィルタリングの影響を受けていないはずがないけれども、今回のはてなの動きに沿う話がとくに出てきているともいえない。

その一方、iモード公式サイトとしての「ポケットはてな」は、NTTドコモのiMenuからたどった「メニューリスト」の中では「コミュニケーション/SNS」というカテゴリに分類されていて、そこで一覧されているサイトをみると、網羅的に確認したわけではないけれども、会員登録無しに書き込みやコメントが出来るサイトは存在していないように見える。NTTドコモのサイトのiモードメニュー掲載基準というページには、「iモードユーザーが安心して利用できるサービスであること」という項目の細目として

  • コンテンツがコミュニティの要素を含む場合は、以下の規定を充足していること

    • チャット・掲示板等、コンテンツのサービス利用者間でのコミュニティの形成を目的とするサービスについては、個人のプライバシーの保護に特に配慮し、他のメンバーに対する中傷を避け、トラブルが発生しないよう、適切に運営すること

iモードメニュー掲載基準

とあり、具体例としては「電話番号、住所等」をプライバシー侵害して晒すような問題をシステムとして防止するというような話が載っているのだけれども、それに限定されるわけではなく、どういう水準の管理・運営が必要かは、NTTドコモの解釈や指示がコンテンツプロバイダに対してあるのだろう。これは、今回のはてなの発表の

モバイル版はてなダイアリーはこれまでも安心してお使いいただけるサービスとして提供して参りましたが、今後も低年齢層のユーザー様でもより安心してお使いいただけるサービスを目指し

モバイル版はてなダイアリーのゲストコメント制限について - はてなダイアリー日記

という表現と符合する。はてなの収益源として、有料サービスの利用料よりは広告収入のほうがはるかに大きいというのは、よく言われている話だし、その状況で「iモード公式サイト」であり続けることを諦めて自由を取る、というのは、ページビューの実利の上でも、イメージの上でも、とれる選択ではなかったのではないかと推測する。そう思うと、この急すぎるとも言える動きにも納得がいく。ただ、この推測が正しいとして、今回はてなが発表している内容は説明不足が過ぎるというのは状況からして明らかで、きちんとした説明があるべきだろうね。NTTドコモとの契約上、難しいのかもしれないけれども。

2008/04/19

Permalink 23:39:38, by Nobuo Sakiyama Email , 12 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 言論・表現の自由

未成年者の判断力を補うのは親権者の仕事

小倉さんは未成年者の判断力が一般に成人のそれに劣ることは議論の前提だとして、ネットの「有害」法規制に反対する人々を批判しているわけだけれども、具体的に「MIAUの皆さん」と名指し対象に入っているので言っておく。

MIAUとしても個人としても、未成年の判断力が成人に劣るとされていることそれ自体は否定していない。しかし、そもそも、未成年者が保護されるのは、直接に「判断力が劣っているから」ではない。実体的な判断力がどの程度あって、どの程度ないか、というのは、そもそも年齢できれいに切れるようなものではなく、人の発達程度というのは個人差が大きいし、判断力の指標そのものも設定困難だというのが事実。その上で、法的な制度では、特別な場合を除けば、個別的な線引きを公平に行う手立てもないから、未成年者とか、児童とか、段階的にいくつかの年齢で線を引いて、能力が劣っているとみなしているだけ。そして、刑事責任のような代行しえないような責任を除けば、基本的に親権者が、足りない部分を補う(という言い方が悪ければ、例えば、法定代理人が許した範囲内で法律行為ができる、とでも言えばいいのでしょう。正確な言い方は、弁護士の小倉さんのほうがよほど詳しいはず)。

保護者が子どもを監督し、その一環としてフィルタリングを活用する、といったこと自体は、MIAUとしても、私個人としても、否定はしていない。ただ、それを実際どうするかは、家庭内の私的自治の問題だ。長所と短所を比べて、使うか使わないか、使うとしてどの程度のものにするか、あるいは携帯電話のネット機能をそもそも使わせないか、それは保護者が判断すればいいのであって、国家が判断することではない。青少年条例の図書規制の画一的な規制を容認するとしたら(私はその「程度」については必ずしも賛成ではない。もっと緩くていいと思う)、それは、未成年者とて、保護者の与える小遣い程度の金銭は自由に使えて(民法第五条第三項)、その程度の金額の範囲での図書等の購入のコントロールが保護者には出来ないから、だと、個人的には考える。そういう主張が法学的に過去なされたかどうかは知らないが、情報技術が個別的なコントロールを可能にしている以上、一律規制は個別的なコントロールが出来ない従来メディアに対するものであって、個別コントロールが可能なメディアではそれを前提に考えるべきだと思うのだ。少なくとも、総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」は、その意味では、いかに個別的な判断をサポートするシステムを作り上げるかという真っ当な落とし所を探っていると思う。

しかし、現時点のネット規制法案のトーンは、保護者の自律的判断を一定部分について否定し、国家の判断基準を押し付けるものになっている。「青少年健全育成」と「児童の保護」では対象範囲が異なり、前者が後者よりはるかに幅広いものとなりうることも問題で、小倉さんは後者を理由に前者を押し付けるのを是としている。児童の保護という観点では、私自身、「悪い大人を取り締まる」道具を増やす方向で一部でかなり顰蹙を買っているらしいぐらい厳しい規制を提案してみているし、ネットに関する統合的な政策パッケージは(MIAUではないが)楠さんが取りまとめている(私の提案が統合的でないのは、彼がいろいろやっていることを前提として深堀りしてみたため。また、彼は私があえて厳しめに書いた部分までは採り入れていない)。いわゆる高市法案は、「青少年健全育成」をテコにして成人の情報アクセスにまで障壁を設ける方向になっていて、CDAの違憲無効部分ほど迂闊な書き方をしていないし、おそらくCOPAの違憲判決を、さらには、SafeSurfが提案しただけで終わったOnline Cooperative Publishing Actあたりも研究して書かれたもので、技術的には違憲判断を迂回しまくる方向で努力しているが、だからといって効果としてCDA路線やそれ以上のところを狙っているとしかとれないものを、趣旨ごもっともと賛同するわけには到底いかない。

で、小倉さんが私や楠さんの対案について現時点でスルーしてるのは、いったいなんでだろうなぁ。

2008/04/13

Permalink 11:01:46, by Nobuo Sakiyama Email , 5 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 言論・表現の自由

表現を縛るのではなく悪意の行動を縛る方向へ

「有害コンテンツ規制」の法案を押し止めるためには、楠さんが書いている通り、実効的な対案は確かに必要ではあるのだ。

現状、違法コンテンツについての法執行が明らかに徹底されていない状況というのがあり、さらにいえば、ネット上からの排除についても、優先順位もつけずに処理が溢れているというのが現状。2月に行われたインターネット・ホットラインセンターの運用ガイドライン改定案への意見募集の結果が『「ホットライン運用ガイドライン改訂案」に関する意見募集の結果及びホットライン運用ガイドラインの改訂について』として3月末に出ているのだが、提出された意見に対するホットライン運用ガイドライン検討協議会のコメントとして、「児童ポルノを優先処理したりはしません」というのがあって、要は全ての違法情報は平等に処理しますよ、ということである。ひとくちで「違法情報」といっても、その性質はさまざまであり、緊急性・重要性の高いものもあれば低いものもあり、正直どうでもいいものもあるといった状況にある。わいせつ画像の基準で「モザイクを容易に外せる」というのがあり、そりゃ判決はそうだが、モザイクが容易に外せるかどうかのチェックなんかに時間かけている場合なのか、というのが普通に生じる疑問ではるのだが、その基準は堅持するという。通報実績もほとんどないそうだが。そして、通報がオーバーフローしていても、ISP通報後の対処について実効性の乏しい「公序良俗に反する情報」の処理対象はむしろ拡大しているし、対象外情報についての分類作業、例えばどうやら今回の児童ポルノ禁止法改正では外れることとなった「まんが子どもポルノ」の分類なども、このままではやめないのだろう。そんな暇どこにあるのという気がするのだが。

今回、児童ポルノ禁止法改正で単純所持規制の方向が検討されていて、どこまでの規制するかという議論はあるにせよ、改正を完全に見送るのでもなければ、児童ポルノの大規模な収集行為が規制の範囲に入るのは間違いないだろう。そうすると、インターネット・ホットラインセンターは、現状のような民間法人の警察庁の受託事業でよいのだろうか、という問題が生じてくる。罪に問われるかといえば、ホットラインセンターの業務は刑法35条の正当業務だということになるだろうが、そのままでよいかというと疑問だ。個人的には、児童ポルノに限定した業務を扱う機関として、独立行政法人ないし国の機関とするのがいいと思う。こうすることで、業務や取扱い範囲を根拠法に列挙し、情報公開法や独法情報公開法の対象とすることにより運営を透明化し、中立性も確保する。違法でない情報については取扱い範囲外とすることは必須だ。現状のインターネット協会の中の機関はフロントエンドの窓口として残すことも考えられる。児童ポルノを特別扱いするのは理由があって、国際的な要求が高いこともあるし、表現の自由との緊張関係が薄い(全くないわけではあるが)上に、他の違法情報と異なり引用も基本的に許されない特別な性質があるからだ。わいせつ物は、基準をめぐって表現の自由との緊張関係があり、また日本の基準では性器描写を除去・修正すれば引用できる。社会的法益としての性質を考えれば、ゼロ・トレランスに摘発する必要があるものでもない。その他の違法情報は広告・誘引であって、文脈を違える形で合法的に引用できる。だから、機密保持の必要性は薄いし、国の機関で扱うことで表現の自由や検閲といった問題になりやすいので、児童ポルノ以外は民間でよい。ただ、インターネット・ホットラインセンターで独占して扱う必要があるとは思わないし、違法な活動についての広告・誘引などは、むしろ個々のサイト、特に大規模コミュニティサイト事業者であればユーザーからの直接の通報を受け付けて直接警察に通報する体制を自主的に作ったほうがいいのではないだろうか。処理に月単位の日数がかかるホットラインはホットラインと言えないだろうし。

また、公序良俗に反する情報について、対処がなされないからと「有害情報規制」へとつきすすむのは間違った方向で、むしろ個別の領域で違法化すべきものを違法化するべきだろう。ホットラインセンターのガイドラインには「情報自体から、違法行為(けん銃等の譲渡、爆発物の製造、児童ポルノの提供、公文書偽造、殺人、脅迫等)を直接的かつ明示的に請負・仲介・誘引等する情報」とあるが、それぞれの領域で「直接的かつ明示的に請負・仲介・誘引等する行為」を違法とすべきかどうかを検討すべきだ。「児童ポルノの提供の直接的かつ明示的に請負・仲介・誘引等する行為」については、日本ユニセフ協会言うところの準児童ポルノの違法化が見送られる方向となったこともあり、文字だけでは判別がつかないし、アメリカでも PROTECT Act of 2003 違憲問題として争われて控訴審で違憲と出た領域でもあり、なかなか難しい問題があるけれども、その他のものについて構成要件を明確化して違法化することは可能なのではないかと思う(その場合、そもそも立法事実が存在するかは問われるべきで、「爆発物の不正な製造を直接的かつ明示的に助長、教示」なんてのは、事例もあまり多くないのではと思うが。爆発物は正当業務のために製造されることも多く、その情報をコントロールできないしするべきでもなく、原材料のコントロールが徹底されるべきものだろうし)。自殺サイト問題も、自殺の請負広告や集団自殺の呼びかけなど、個別に違法化できる部分はあるはずだ。

青少年の保護、という観点からは、これらだけでは済まないのだが、そこについても、現行法の穴を埋めるのが優先されるべきだろう。例えば、現行の児童買春、児童ポルノ禁止法では、児童買春、児童買春周旋、児童買春勧誘、児童買春等目的人身売買等といったものが処罰対象になっているが、児童を自身の買春の相手方となるように誘引する行為自体は、処罰対象から外れている。議員立法での法律作成のさいに売春防止法をベースに作ってしまって抜け落ちたのではないか。一方で、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(出会い系サイト規制法)では、児童を性交等の相手方となるように誘引することや、対償を供与することを示して、児童を異性交際の相手方となるように誘引することを禁止しているが、その範囲は「インターネット異性紹介事業」の利用に関してに止まっている。この法律の改正案が今国会に提出されているが、業法としての規制が大幅に強化される一方で、「インターネット異性紹介事業」の定義が広汎でとくにユーザープロフィールが検索可能で個々のユーザー間で自由に連絡あとれるようなSNSが、とくに異性紹介を目的としていなくても該当と判断されてしまう可能性がある状況は変わっていない。警察庁はガイドライン見直しを表明しているが、その具体的内容は明らかではない。児童の保護の観点からはなるべく広くとったほうが児童を誘引する大人を処罰できることになるが、一方で、広くとる方向に解釈することは、コミュニケーションサービスの事業やその利用者の(性的誘引に関係しない)萎縮を招くことにもなりかねない。ここは、児童買春禁止法のなかで、児童を(児童と知って)買春の相手方となるように誘引することや、児童買春の相手方となる児童を募集する広告を(ネット限定ではなく)罰則つきで禁止するべきだろう。その上で、児童をユーザーとして抱える大規模コミュニティサイトなどでは、サイト上での当該誘引行為について、児童からの通報を積極的に受け付けて、問題ユーザーの退会・資格停止処分に止まらず、警察への通報(通信の秘密の観点からは、個人情報の提供は通報を受け付けた警察からの照会によって行われるべきだろう)を行っていく体制を自主的に作っていくのはどうか。常習的な児童買春目的ユーザーは、ピンポイントに相手を見つけているとも思えず、買春の相手となることを望まない児童にも少なからず誘引のためのメッセージを送っている可能性が高いだろうから、その段階で通報が行われるとなれば、常習的な児童買春目的ユーザーに対する萎縮効果は高いはずだし、それが他の正常な利用への萎縮となるとも思われない。

児童買春以外の児童を性関係に誘う行為はどうなんだ、という話もあるんだけれども、それにはまず、青少年条例での淫行処罰規定を廃止する一方で、性的同意年齢についての見直しをするべきじゃないかと思う。日本の刑法では13歳がひとつの線となっていて、条例での淫行処罰規定における淫行は、最高裁判例で「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似制為をいうもの」と限定解釈されているので、一時の相手を求めることが多そうな出会い系サイトについての規制はともかく、サイト一般、あるいはネットに依存しない誘引へと規制を安易に広げると、「社会通念上およそ処罰の対象として考え難い」性行為への誘引などに処罰対象が広がってしまう。それを法律として行うことには無理がある。現行刑法の線引きは100年遡るわけで、前提とする社会状況が大きく異なる。100年前となると、学校における性教育はほぼ期待できない一方、義務教育といえば尋常小学校のみであって、村落共同体のなかでは若衆宿や娘宿があり、共同体の 閉じた関係のなかで、年齢差のある関係での性行為が共同体内では逸脱と考えられることもなく多く行われていたことは知られていて、民族学者の赤松啓介の著作に詳しいが、その他にも文献などはあるだろう(ただし、実際に何が行われていたかは集落での差異もあり、また、社会階層での差異もあるだろうから、全員が一律にそういう環境にあったとも言えない)。こうした状況が本格的に壊れていったのは戦後の高度成長期と思われる。地方によっては、祭などの行事のなかに痕跡をみることができるかもしれないが、風習の存在を前提とした配慮の必要性は薄れているのではないかという気はする。いまどき、近所のおっさん(昔と違って、濃密な共同体空間のなかの隣人のおっちゃん、ではなくて、郊外的な空間のよく知らないおっさん、ということ)が中学生の娘に「性のてほどき」をすること(近所のおばさんが中学生の息子、というのももちろん対応づけとしてはあるだろう)を容認する親、というのはあまりいないんじゃないか、ということ。性的な要素を含め、コミュニケーションはフラット化・グローバル化していることを前提として、「青少年健全育成」ではなくて、「児童の保護」の観点から、どの程度の規制が適切なのかを考えるべきじゃないかと思う。そこで諸外国の状況をみると、18歳未満のティーンエイジャーに関しては、性的同意について年齢差で規制をかけている事例が多い。例えば2歳以内とか、4歳以内とか、5歳以内といったものを、段階に応じて広げていくアプローチだ。金銭などの報酬によらなくても、年齢差が大きいとコミュニケーション能力の違いなどから、問題のある同意に至りやすいということが規制の理由となる。例えば、13歳以上16歳未満は2歳以内、16歳以上18歳未満は5歳以内年上であえば合意とみなすが、それ以上の年上であれば法定強姦とみなす、という形がありうる。個人的には16歳以上の規制は必ずしもいらないのではないかと思うが、どの程度の線引きが望ましいかはいずれによ専門的な議論が行われないとなんともいえないと思う。カナダでは、2月に性的同意年齢が14歳から16歳に引き上げられたが、14歳以上16歳未満については年齢差規制という形になった(以前は12歳以上14歳未満が年齢差規制の範囲だったが、そこがどうなったかは確認していない)。

年齢差規制のいいところは、これが極めて客観的な規制だということで、それを前提にすれば、容認される年齢差を越えた、あるいはそれを前提とする違法な性行為への誘引などをネットに限定せずに違法とすることに問題は少ないと思うし、前述の児童買春誘引と同じく、大手コミュニティサイトでの自主的通報体制で対処できるのではないかと思う。

有害コンテンツ規制を求める声に対応する別のアプローチということでは、上記で網羅しきれているかというとそうでもない気がするのだが、とりあえずこんなところまでは考えてみました、ということで。

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