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2006/09/08

Permalink 13:01:35, by Nobuo Sakiyama Email , 1 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

NTTドコモからの回答

前のエントリについて、今時間がないのでとりあえず来たものをそのまま掲載するにとどめます。一行が長くて表示が崩れるかもしれませんが、ブラウザでフォントサイズを調整したりCSSを解除したりして頂ければいいかと。

崎山 伸夫 様

平素は、弊社製品・サービスをご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。
この度は、ご連絡が大変遅くなりましたことを深くお詫び申し上げます。

8月31日に弊社ホームページへご質問いただきました件につきまして、
次のとおりご回答申し上げます。

キッズiモード(アクセス制限機能)は、
iモードメニューサイト以外へのアクセスを制限する「キッズiモード」、
ネットスター株式会社が一定のカテゴリーに該当するものとして提供している
URLデータベースに登録されているサイトへのアクセスを制限する「キッズiモードプラス」、
および22時から翌朝6時までの間のアクセスを制限する「時間制限」の
三つの機能から成り立っております。

このうち、キッズiモードプラスについては、
従来よりご提供していましたキッズiモードでは、
学校、地域コミュニティ、PTAなどのサイトへのアクセスが制限されてしまい、
使い勝手が悪いというお客様のご要望が多くございましたので、
そのようなご要望に応え、iモードメニューサイト以外のサイトでも、
一定のカテゴリに該当しないサイトへのアクセスは許容することを可能とする目的で
提供させていただいている機能になります。

弊社としては、キッズiモードプラスにおいてアクセス制限の対象となっているサイトの全てが、
お子様にとって有害なサイトであると考えているわけではなく、
どのサイトについてお子様のアクセスを制限させるべきかについては、
ご利用になるお客様それぞれにより価値判断が異なることと考えております。
従って、個々のお客様毎にカテゴリを自らご選択いただいて
アクセス制限機能をご利用いただくという方法が採用できれば良いのですが、
電気通信システムへの負荷などの関係から、現状では、弊社で一定のカテゴリをお示ししたうえで、
当該カテゴリに従ったアクセス制限機能をご利用になるかどうかを
お客様にご判断いただく方法を採用しております。
カテゴリの決定にあたりましても、お子様にとって有害であるかどうかではなく、
携帯電話をご利用のお子様の親御様のニーズにより近いカテゴリは何かという観点で決定しております。

弊社としては、今後とも、お客様に安心して携帯電話をご利用いただくために、
弊社として取り組むべき課題に正面から取り組んで参る所存ですので、
何卒ご理解をいただきたくよろしくお願いいたします。

2006/08/31

Permalink 01:36:42, by Nobuo Sakiyama Email , 6 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

NTTドコモへの問い合わせ

前のエントリに関連して、次のような問い合わせをNTTドコモのWebサイトの問い合わせ機能から送ってみた。

キッズ iモード プラスとボーダフォンの同種サービスを比較したところ、キッズ iモードプラスではボーダフォンのサービスとは異なり「ライフスタイル(同性愛)」「宗教(伝統的な宗教、宗教一般)」「政治活動・政党(政治活動・政党)」をアクセス制限の対象にしているとありました。御社グループのCSRにおけるキッズ iモードプラスの位置づけとあわせて考えると、御社は、同性愛者等の生活スタイルの情報、伝統的なものを含めた宗教の情報、国会に議席をもつ政党の活動を含めた政治の情報について、子どもの健全な育成を妨げるおそれがある有害なものとしてアクセスを制限するサービスを提供することを企業の社会的責任と認識している、ということでよろしいのでしょうか。また、これはドコモグループ倫理方針に沿うものだと考えてよいでしょうか。

文中の「ドコモグループ倫理方針」には、送信したものではリンクを設定していない(その機能もない)。

2006/08/29

Permalink 01:55:56, by Nobuo Sakiyama Email , 21 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲

NTTドコモ曰く、同性愛と宗教と政治は有害

前のエントリに続き、バーチャル社会のもたらす弊害 から子どもを守る研究会の資料がきっかけなのだが、全然違う話を。研究会の第2回資料が公開されたとき、そこをみて、携帯電話でのネットサービスについてのコンテンツフィルタリングサービスが実運用に入っている、ということに、今さらながら気がついた。その話は、第4回でも再び登場している。

まず話の前提として、NTTドコモとボーダフォン(もうすぐソフトバンクにブランドが変わるけど)が、類似のサービスを行っていて、auは異なる、という状況がある。NTTドコモとボーダフォンは、いずれも、インターネット上のサイトへのアクセスを提供しつつ、これにフィルタリングを適用する、というサービスを行っている。一方、auの場合は、いわゆる公式サイトのうち一部のみへのアクセスを提供する、というサービスになる。auの場合、例えば、公式サイトのなかでも、例えば酒・煙草に関するものへのアクセスは提供しないようなサービス、といったものではないかと想像される。いずれにせよ、他社と比較できないので、以後の議論の対象からは除外する。

NTTドコモのキッズ iモード プラスと、ボーダフォンのウェブ利用制限と、いずれも、ネットスター株式会社のデータベースを利用したフィルタリングであると明記してある。つまり、両者の違いは「どのようなものを対象とするか」という設定のみである。ここで、両者の対象カテゴリを比較すると、NTTドコモのほうが対象カテゴリが多い。何かといえば、

  • ライフスタイル(同性愛)
  • 宗教(伝統的な宗教、宗教一般)
  • 政治活動・政党(政治活動・政党)

である。これらは、ネットスター社の分類基準によれば、

同性愛
ゲイ・レズビアン・トランスジェンダーの生活スタイルに関する各種情報の提供
伝統的な宗教
キリスト教、仏教、イスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教、神道など、伝統的な宗教に関わる情報の提供
宗教一般
伝統的宗教に分類されない宗教や、宗教全般に関する情報の提供、宗教を巡る議論・論争
政治活動・政党
政党・議員・それらの支援団体を含む、政治活動や政党に関わる情報の提供

といった内容である。ちなみに、NTTドコモはフィルタリングサービスの提供開始にあたってのプレスリリース

フィルタリング機能により、出会い系サイトやギャンブル系サイトなど特定のカテゴリに該当するiモードメニューサイト以外のサイトへのアクセスを制限することで、お客様にさらに安心してiモードをご利用いただくとともに、モバイルインターネットの健全な普及を推進することを目的とします。

とうたい、さらにドコモ「あんしん」ミッションというCSR(企業の社会的責任)の主要な内容のひとつとして、

子どもが利用する場合を想定して、健全な育成を妨げるおそれのあるサイトへのアクセスを制限することができます。

と唱っている。これらをつなげた論理的な帰結は

NTTドコモは、ゲイ・レズビアン・トランスジェンダーの生活スタイルに関する各種情報の提供や、 キリスト教、仏教、イスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教、神道など、伝統的な宗教に関わる情報の提供や、伝統的宗教に分類されない宗教や、宗教全般に関する情報の提供や、宗教を巡る議論・論争の情報の提供や、政党・議員・それらの支援団体を含む、政治活動や政党に関わる情報の提供を、子どもの健全な育成を妨げるおそれがあるとしてこれらへのアクセスを制限することがモバイルインターネットの健全な普及を推進することに資するものであり、それを実施することが企業の社会的責任と認識している。

というものである。もっと簡単にいえば、「NTTドコモは同性愛と宗教と政治は有害だと宣言している」ということになる。

こういうのは「いちゃもん」のように思われるかもしれないが、そうではない。フィルタリングソフトのビジネスというのは、既に紹介したネットスター社の分類基準のページの注に

ネットスター株式会社は、URLフィルタリング製品等で利用いただくためにURLデータベースの収集・分類とお客様へのご提供を行なっており、その分類について、倫理的道徳的な価値判断をおこなったり推奨したり、厳密な司法的判断を提供するものではありません。製品を用いたURLフィルタリングやアクセス分析等の実施にあたっては、それぞれの組織の定める基準に沿ったかたちで、アクセスポリシーの制定と組織内への適切な告知・教育等を実施されることをお勧めします。

とあるように、データベース会社は「あくまで分類しているだけだよ」というスタンスを貫くことで、価値判断に関する責任問題を回避する一方で、典型的には、それを利用する機関では、私的自治として、ある価値判断に基づいたフィルタリングを実施するものだ。だから、スポーツやレジャーといったカテゴリもあるし、企業内利用では、単に「業務外だから」というフィルタリングをしたりもする。その基準は、一般論としては公共的な議論の対象とならなくなる。アメリカなどでは、Privatized Censorshipなどと呼ばれたりする所以である。

しかし、逆にいえば、こういったものを利用して公衆サービスを提供する場合、とくに末端利用者が設定を制御できないサービスの場合は、まさに価値基準をプロバイダが提供することになり、公共的な議論の対象となりうる。まして、これはマイナーなISPのサービスではなく、免許制度によって参入制限があり、事業者の数が極めて限られている携帯電話事業におけるサービスについての話であり、しかもそのシェア1位企業のサービスについてである。そして、NTTドコモほどの大企業がこのようなサービス提供をするのであれば、当然、そのポリシー決定がどのような意味をもつのかは、十分に事前の検討が行われているのであろうから、うっかりしているということは考えなくていいだろう。確信をもってやっていると考えていいだろう。

2006/08/27

Permalink 16:46:05, by Nobuo Sakiyama Email , 32 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 児童ポルノ問題

規制強化へ煽る前にやるべきことをやったらどうか

警察庁のバーチャル社会のもたらす弊害 から子どもを守る研究会がすでに数度の会合を重ねている。委員が表現の自由をはじめとする憲法規範を無視したような規制を渇望する意見を重ねて述べていたりすることは、委員の顔ぶれからはいわば想定内なのでそこはとりあえずおいておいて、事務局、つまりは警察庁の態度にあまりに頭を抱えてしまったので。

問題は、第4回会合。ここで、事務局からのネタふりで資料4 関西援交シリーズと称する児童ポルノ製造・販売・氾濫状況についてといったものが提供されている。これをふまえた議論は議事要旨の48ページ目以降、終わりまでに見られる(事務局説明というタイトルのみの項と、それに続く自由討議)。

資料では

「関西援交」と「DVD」で検索すると、118,000件のサイトがヒット」

という説明とともに、GoogleのWeb検索のスナップショットをぼかしたものが出ている。これについて、自由討議中の事務局説明では

【事務局】 この場合は、完全にこれは、刑法のわいせつ物公然陳列なり、児童ポルノ法の児童ポルノ公然陳列に当たります。これは捜査の対象になりますので、警察としてのアクションは捜査をやっていると。ただ、雨後の筍のようにどんどん出てくるので、それが追いついていないという状況です。

としている。なるほど、懸命にやっているけれどもおいつかない、というのは、さらに強力な規制を包括的に求めるには効果的な言い方だろう。しかし、実態はどうなのだろう?

ひとつは、GoogleのWeb検索ではなくて、イメージ検索の問題。文字列のみのWeb検索の場合と違って、イメージ検索の場合は、Googleがサムネイル画像を提供している。ここに違法なものがあれば、それ自体を問題にするべきだが、現状はそういう取組が積極的に行われているようには見えない。Googleのイメージ検索は、デフォルトではフィルタつきの検索だ。Googleの検索には SafeSearch と呼ぶフィルタリングがあり、strict filtering (文字と画像の両方を対象)と moderate filtering (画像のみを対象)、そして完全にフィルタをオフにする機能がある。Google.com ではこれらの設定を変更する機能が提供されているが、Google.co.jp では、moderate filtering のデフォルトから変更する UI は提供されていない。とはいえ、URLのなかに引数を指定してやれば、フィルタリングをオフにすることはできる。日本の警察の管轄内のみを考えるとして Google.com の状況を無視するにせよ、Google.co.jp でもフィルタをオフにした状況で問題を評価する必要があるだろう。こうして「関西援交」のみでイメージ検索を行うと、約1850件、という数が表示されることとなる。ただし、実際にはデフォルトで132件、同等結果のフィルタを外した全件表示で946件となる。現実には、これらの画像全てが「関西援交」と関係あるとはいえない。すでにその単語はその方面のSEOキーワード化しているだろうから、無関係と思われるサイトもひっかかっているようである。とはいえ、問題のものであるような画像もひっかかっている。サムネイル画像であっても、これはストレートに疑いなく児童ポルノ禁止法違反ではないのだろうか。

もうひとつは、「おいついていない」というのがどこまで事実なのだろうか、ということ。懸命にやっている、という事実があるのかどうか、ということだ。たしかに、上記のイメージ検索の結果からたどろうとして、すでにサイトが存在していないケースも多い。だから、「何もやっていない」というつもりはないし、また、新規サイトが存在するのも事実だろう。しかし、検索結果のサイトのひとつをWay Back Machineでチェックしてみると、遅くとも2004年には存在していて、その当時から問題の作品群を扱っていたことがわかる(そして、サンプル画像も当時から現在に至るまで存在している)。こういうのをもれなく摘発してサイト閉鎖に至らせることを徹底して、はじめて「おいつかない」ほどに児童ポルノを扱うサイトが増加しているか否かを論じうる状況になるのではないだろうか?

2006/08/19

Permalink 04:49:28, by Nobuo Sakiyama Email , 0 words   Japanese (JP)
Categories: 言論・表現の自由

東北大学大学院での情報教育の実態

東北大学大学院情報科学研究科の浜田良樹講師の「情報法律制度論」の授業資料のひとつ

ネットでの言論にネットで反論してはいけない

と赤字で力強く書かれていた(70ページ目)。とりあえず批判は削除依頼か訴訟で潰すのが正しい、と教えていると解釈していいのだろうか?(疑問形)。

まぁ、こういう疑問をここで書いても、その中身のとおりに、無視されるかいきなり訴訟を起こすと脅されるかのどちらかになるかもしれませんね。以前もそういう脅しをした人だし(無視したけどさ。だいたい、私が出てない研究会で彼がでっちあげの中傷をした上にその後も中傷を繰り返していたのが先だったし。あれからもう10年か)。

なお、この資料の存在は同研究科の情報基礎科学専攻 シラバスとして公開されているページからのリンクで存在を知ったものであるので、その入手に全くやましい点はないし、プライベートな資料でないことは自明。

2006/08/01

Permalink 01:55:47, by Nobuo Sakiyama Email , 12 words   Japanese (JP)
Categories: コンピュータとインターネット, 政治,

「インターネットの法と慣習」を読んだ

Blogを書かないまま2ヵ月が過ぎて、久しぶりに書いてみることにした。今回の話題は、白田秀彰氏による新著、「インターネットの法と慣習ーかなり奇妙な法学入門」(ソフトバンク新書)について。

献本頂いたのが昨日届いたのだが、実のところ出版記念パーティに招待頂いたのでその場で先に購入してようやく読み終わったところだ。献本頂けるのがわかっている状況ではあったのだが、担当編集のかたにすすめられて「ダブっちゃうなぁ」と思いながら買ったのだけど、買って先に読んでよかった、というのが端的な感想。正直、もとになったHotWiredの連載の内容をちょっと直したぐらいで出てきたら、内容に不満は無くても読み捨てる感じだなぁ、と思っていたのだけど、意外にも、感動的な出来映えと言えるぐらいの名著だった。

書かれている内容についての範囲と射程は、レッシグのCODEと同様だと思う。もちろん、CODEはかなり厳密な議論をしようと考えて実例を豊富に引用し、そして後に幾度となく参照されることとなる法・(慣習的)規範・市場・アーキテクチャによる規制構造の提示などのパイオニア的な本である一方、「インターネットの法と慣習」は、くだけた文体の新書で、例のひきかたも学術的とは言えず(「どこかで聞いた」というのが多い。ググれば厳密な引用が出来たものもあるように思う)、強烈な新しさがあるというわけでもない、という意味では、両者は比較できるものでもない。にもかかわらず、「インターネットの法と慣習」は、少なくとも日本に住むネットが大事な人にとっては、CODEと同様に重要な本だ。

CODEは、なんといってもアメリカの法の伝統の中で書かれている本だ。英米法的な考え方が絶対的な前提としてあり、そして、「憲法の伝統」を臆面もなく召喚できる環境のなかで、CODEは書かれている。CODEの内容を日本社会における問題を考えるための処方箋としてそのまま使えるかというと、かなり無理がある。法体系の違いもあるが、伝統として憲法を呼び出すことでほとんどの人に対して説得力を持ち得る議論ができるかというと、それが厳しいのが日本の現実だ。何よりも、「憲法改正」によって、日本国憲法、というより近代国家の憲法の原則そのものを毀損しよう、ということを言っている党が与党であり、多数の支持を得ている現実がある。理性的・専門的な議論はともかく、日常的な価値基準として、憲法の理念をネガティブなものとしてしか参照できない人々が少なくない現実、そういう状況がある。白田氏もまた英米法に軸足を置く人だが、しかし、それが日本の法体系ではないことに自覚的であるし、またそのことによって、日本の現実に立脚しながらも、日本法や大陸法に軸足のある人よりも幅広い視点からものをみることができていると思う。さらに、インターネットのこととなると一国で充足しがちであり、また政治的にも一国で全てを決めてしまいがちなアメリカで書かれたCODEと異なり、ポリシーロンダリングへの言及を含めて、国際的な視点が確保されている。また、根源的なところからものを考える、という意味では、憲法を強く出すCODEよりもさらに深い部分もあると思う。憲法が参照軸となりにくい国において、これは重要だ。

最後の政治参加・変革について、CODEと「インターネットの法と慣習」は、一見、全く逆の結論を述べているようにも見える。しかし、これは立脚する前提の違いがあるからで、相補的なものと考えるべきだろう。そして、CODE程度の処方で済む国と違って、日本における現実は「インターネットの法と慣習」が提示する、一見明るい未来にみえつつ、実のところ茨の道を選択することを我々に強いることになる可能性は、やはり高いのだろうなぁ。

2006/05/18

Permalink 03:17:05, by Nobuo Sakiyama Email , 2 words   Japanese (JP)
Categories: 政治, セキュリティ

漏洩した国家の秘密と報道

先月

ただ、私の意図は「個人情報を除く」ことにあるのではなく、「重要情報」というネーミングで別の要素が入ってくることについて、どうなんだろうか、ということでもある。この点、後日別のエントリで書きます。

と書いて放置していたのだが、武田氏がまさにちょうどいいエントリを書いていたので、これに反論する形で書いてみようか。

武田氏は朝日新聞の報道について次のように述べている。

このような報道は必要以上に情報の拡散を広め、国民に対する有事のリスクを高めることにつながらないだろうか。より詳細な情報が一般にも報じられていることで何らかの対応施策が必要となった場合、そのための費用は結局国民が担うことになる。このような報道で流出当事者である政府官庁だけが困ると思われがちだが、実際にはそのしわ寄せは一般国民にも及ぶ。

国家が秘密としてきたものは、漏洩・拡散が広がるとその対処で税金が使われるぞ、という形で国家の秘密保持には民間も協力するのが筋で、いわんや漏洩したものを晒し上げるのなどけしからん、という御趣旨のようだ。なるほど、一見納得させられてしまいそうだ。この報道だけでは。

しかし、これは朝日新聞も説明不足だと思うのだが、この記事は単独で出てきたものでは決してないと思われる経過がある。というのは、この記事は、Winnyで流布している「有事演習計画」の中身が偽ファイルじゃなくて本物だったということを防衛庁側から裏をとれた、という面をもつからだ。そして、Winnyで自衛隊の「有事演習計画」が流布しているということについての報道は初めてではなく、すでにその詳細な内容は「スクープ」として報道されていたりする。

月刊現代6月号の『自衛隊 (秘) 作戦計画 「憲法違反」の核心』(斎藤貴男、取材協力 瀬下美和)がその記事だ。この記事によると、問題の有事演習計画では、そのフェーズ1において「周辺事態」だということで公海上で自衛隊が米軍と共同で「船舶検査」(=臨検)を行うということだ。さらにフェーズ2においては陸から100海里(=領海のはるか沖)を作戦領域としての兵力の配備や「不法行動等の兆候を察知した場合」の、速やかな兵力の集中による対処といったことが基本方針とされているという。さらに、前田哲男氏の解説として、自衛隊が戦端が開かれる前に行動を起こしている、といった話も出ている。そういったことをまとめると、記事表題の「憲法違反」という評価になるのだろう。

さて、こういう情報が加わると、武田氏の文章だけを読んだ場合とは、何か違った光景が見えないだろうか。私は、武田氏がこういった事情を知った上でそれを隠して朝日新聞を非難した、とは思わないが、しかし、国家が秘密にしていること、というもののなかには、往々にしてこういった、国民全てが必ずしも国家と利害を同じくするとはいえない情報があり、報道というのは、そういうものをえぐっていくことに存在価値があると見なされている、ということぐらいはおさえてほしいと思う。

2006/05/09

Permalink 02:37:31, by Nobuo Sakiyama Email , 1 words   Japanese (JP)
Categories: セキュリティ, 共謀罪

まずいのは「共謀罪」だけではなく…

私としては新ネタが無かったのでふれていなかった共謀罪審議の動向ですが、いよいよ今週、衆議院法務委員会でまずいことになりそうな状況。日弁連の法務省への反論にもあるように、与党修正案では、結局のところ団体について限定をかけることができていないということで、私がこのblogで過去に提示してみた具体例は、すべて、ほぼそのまま有効です。企業活動への影響について、大企業全体を該当する団体とすることは難しくなっても、新規事業のために設立された部門等は、まさに共謀罪の団体要件を満たしてしまうでしょう。ある事業を行おうとして部門を設立し、その事業が共謀罪の対象になる違法性を帯びていることが事業開始の前に判明して止めた、とすると、その部門はまさに「当該犯罪を実行する目的のために」設立されているわけですから。企業内組織だけではなくて、例えば具体的なアイデアをもとに起業しようとしてベンチャー企業を設立したりしても同じですね。

さて、世の中のほとんどは共謀罪の攻防と考えているわけですが、これは一括の大きな法案の一部に共謀罪がある形で、じつはサイバー犯罪条約がらみの刑法・刑事訴訟法の改正法案でもあるわけです。で、そのなかのひとつ、不正指令電磁的記録作成罪の問題について高木さんが以前から言及していることについて、これが問題であるという点については私も全くそのとおりで、説得力ある具体例を使った説明に、とりたてて付け加えることはないのだけれども、やはり、こういう水準の議論が国会で行われないまま法案が可決されていくというのは、非常に拙速なのではないかと思う。

ぶっちゃけてしまうと、「作成罪」部分を法案から削ったところで、また、さらに「供用罪」部分をも削ったところで、サイバー犯罪条約は留保つきで批准可能だ。留保できない部分は、すでに不正アクセス禁止法で担保されている。「不正指令電磁的記録」に関する問題は全く議論が足りてないから、いっそいったん全部削除し、十分な議論を行った上で別途法案化するむねの付帯決議をつける方向にするべき、といったぐらいのことを野党は言い出してほしい。

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