Pages: << 1 ... 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 ... 29 >>

2006/05/08

インターネット協会「ホットライン運用ガイドライン」等に対する意見

以下、「ホットライン運用ガイドライン」等に対する意見を述べます。

私は、ホットラインの枠組そのものに重大な欠陥があると考えますので、 まずはホットライン全体についての意見を述べ、その中で、及び次いで、 募集要項にある

  • 第3 プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する違法情報の送信防止措置依頼
  • 第4 プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する公序良俗に反する情報に関する対応依頼

に関する提案、意見を述べることとします。

1. ホットラインの目的・背景などについて

ガイドライン案では、おもに国内事情を中心として、ひろく「違法・有害情報」 への対応を推進するためにホットラインセンターを設置するとしている。しか し、広汎な情報規制を意図した通報窓口の設置は、有効な通報の動機付けとな らない上、一方で無効な通報により有限なリソースが浪費される可能性がある。

インターネットはその国際的越境性から、国内において違法であると考えられ る内容が、かならずしも別の国ではそうではないわけで、それゆえ、一国にお ける対応が困難で、そのことは多くのインターネットユーザーが知っている。 そして、現実にそのような形で国内で違法とされるコンテンツを、多くのイン ターネットユーザが亨受しうる環境が存在している。

そのような中で、いわば国内サーバ提供コンテンツにかかる「ネット浄化」を 思わせるような形で通報窓口を設置しても、そもそも問題となるようなコンテ ンツに接する可能性が高いユーザの支持を得られそうにもないし、また一方で、 正義感からなされる多くの通報が国外サーバ提供コンテンツにかかるものとな り、多くの通報が無駄となる一方で、調査に人的・計算機的リソースが余計に かかる、ということが考えられる。

一方、国際的な背景をみれば、INHOPEを中心として、「インターネットの自由」 を価値として掲げつつ、おもに児童ポルノなど、児童への直接の人権侵害とな るコンテンツへ対応するホットラインが主流であり、このような流れへの国際 的な対応が必要である。児童ポルノは、被写体の年齢や単純な裸体写真の扱い などにおいて国によって扱いの異なる境界事例が存在するにしても、その中核 となる要素においては多くの国でその提供が違法とされるのであり、かつ児童 への重大な人権侵害であることから、積極的な対応が必要である。さらに、国 際的な児童ポルノ通報は、国内サイトに関するものでも、Googleをはじめとす る画像検索サイトや Way Back Machine などの Web アーカイブからの画像・ 映像除去の観点からも必要であろう。

ホットラインの目的・背景としては、このような部分を中心として掲げて、現 実のインターネットユーザ、とくに疑われる情報に接する可能性のある人々の 支持を得る必要がある。そのためには、重大な人権侵害である児童ポルノにつ いての通報以外は、インターネットで情報を受発信するユーザの利益を考慮し た、自主規制の枠組であることが明確であるようにする必要がある。法的秩序 の完徹をめざす法執行機関と一体化した下請け的組織に見えることことはマイ ナスである。

児童ポルノを中心課題とすることは、他の違法情報についてホットラインで取 り扱うことを否定するものではないが、情報の種類にかかわらずひとつの枠組 で扱うべきとは思えず、それぞれの情報に適した枠組を作るべきではないかと 考える。

2. フィルタリング事業者に対する情報提供に関する問題

ホットラインは扱う情報の性質上、機密性が求められる(INHOPEの会員資格で も明記されている)。

一方、フィルタリング事業者への情報提供は、通報されたサイト情報が、ホッ トラインの外に出ることを意味する。フィルタリングソフトの種類によっては、 ブラックリストの情報が暗号化されてエンドユーザのパソコンに格納されるも のがあり、これはエンドユーザによって解読される可能性がある。実際、米国 のCyber Patrol について、解読プログラムがオープンソースとして流通し、 Cyber Patrol の権利をもつ会社が 解読プログラム作者を訴え、和解により作 者が会社側にプログラムの権利を譲渡し公開を停止した、という事件もあった。 公開されない形でこのような解読行為が行われる可能性は常にある。また、フィ ルタリング事業者によっては透明性の観点からユーザにブラックリストを公開 することもあるだろう。

INHOPE への加盟は国際的な児童ポルノコンテンツの流通抑止への対応として 必要なことであるから、このような機密性を毀損する可能性は排除しておく必 要がある。少なくとも、INHOPE経由で通報されたサイト情報がフィルタリング 事業者に提供されることは避けるべきである。

この点、INHOPEの主要団体のひとつである英国の IWF は、フィルタリング事 業者への情報提供を行っているものの、それは、IWF に通報され、英国法で違 法だと判断されるものの英国外のコンテンツである場合に限定されており(英 国内の場合は違法であれば警察とISP等への通報で対処され、違法でない情報 については扱わないため)、INHOPE経由の通報はサイトが英国内の場合に限ら れることから、問題がおきない形となっている。

INHOPE 経由で通報された情報がフィルタリング事業者に渡らないためには、 専用のフラグを用意して扱う方法も考えられるが、そもそも違法情報のみに限 定して扱うこととすれば、問題は起こりえない。

3. 扱うべき情報の範囲について

すでに述べたように、ホットラインは児童ポルノなど児童への重大な人権侵害 を中心として扱う必要がある。このような観点からみると、ガイドライン案 「第3」「第4」は、違法・有害といった線のひきかた、児童ポルノについて 「わいせつ情報」とまとめるまとめ方など、あまりに問題が大きいと考える。

まず、概念として、「違法コンテンツ」と「違法利用」を分ける必要がある。 「違法コンテンツ」は、そのコンテンツを引用・複製してもやはり違法コンテ ンツだが、違法利用は、使い方の問題であって、内容を第三者が引用・複製し た場合、文脈によって必ずしも違法なものではない。

ガイドライン案では、「わいせつ物公然陳列」と「児童ポルノ公然陳列」が違 法コンテンツに該当し、その他の広告的な情報は違法利用に該当する。

3.1 違法コンテンツ

違法コンテンツについて、「わいせつ物公然陳列」と「児童ポルノ公然陳列」 は大きな差がある。「児童ポルノ」は、表現ではなく、表現において実在の児 童を性的に虐待して用いているという問題であり、その要件は客観的なもので あり、重大な人権侵害であり、徹底かつ迅速な対応が迫られるものである。こ の場合、警察への通報が基本的な手続きとなり、送信防止措置依頼手続きなど は捜査の妨害とならない形で行われるべきである。

その一方、「わいせつ物」は、表現の問題であるため、規制は常に表現の自由 と拮抗し、歴史的にも何がわいせつ物に該当し、あるいは該当しないのか、争 われ続けてきた。ホットラインが自主規制機関であり、また、従来メディアの ように限られた数の企業が明確な合意において自主規制機関を利用しているわ けではないため、ホットラインが情報発信者に対して行いうるのは、あくまで 「わいせつ物」に該当する疑いがあるという指摘に留まるはずであり、それを 受けて該当すると判断するか、判断しないかは情報発信者と法執行機関の間の 問題であり、刑事裁判においても常に情報発信者は該当性について争う余地が あるところである。従って、違法情報であることが確かであるかのような通知 を情報発信者に対して行うことは問題がある。さらに、自主規制機関としては、 表現に関する警察への通報は行うべきではないと考える。

3.2 違法利用

一方、広告的な違法情報は、インターネット上で散見されるものの多くは、単 に管理されないまま放置されている掲示板やブログなどへの迷惑コメント(コ メントspam)がそのままになっていて、spam業者は放置サイトに既に集積して いるspamコメントの内容に応じて自動投稿し、あたかもサイトが違法広告に乗っ 取られたような形になるものが少なくない。これらについて、ホットラインの 送信防止措置依頼手続が行われると、サイト管理者とホットラインの双方にとっ て過大な負担となると考えられる。従って、コメント spam についてはホット ラインとは別に、より簡便な、自動化・半自動化された対処が可能となるよう な枠組やシステムの普及を図ることとして、送信防止措置依頼手続の対象とし ないこととしておくべきである(コメントspam対処のシステムから、違法情報 を抽出してまとめあげてホットラインに通報する連携は検討されてもよい)。 送信防止措置依頼手続などは、サイト管理者と違法情報発信者が等しいと考え られる場合やサイト管理者が積極的に違法情報流通に関与していると考えられ る場合に、捜査の妨害とならない形で行われるべきである。

4. 判断基準について

4.1 児童ポルノ

児童ポルノに該当するかどうかの判断として、まずは前提として児童ポルノ禁 止法の定義する児童ポルノであることを明確にするべきである。これが明確で ないため、18歳以上の俳優のみを用いたフィクションやアニメなどの架空のも のが該当するのではないかという誤解が存在している。ガイドライン案 第 3(2)(2)「児童ポルノ公然陳列」に記述されている判断基準は、児童ポルノ 禁止法の要件を前提とした作業上の基準であると定義すべきである。

つぎに、個々の判断基準について。児童に該当するかどうかの判断基準である が、対象者の外見のみからの判断については、小児科医などの専門家による鑑 定を基準とすべきである。担当者・責任者のみの判断では、担当者や責任者の 専門性についての規定がガイドライン中にないため、適切な判断がなされるか どうか不明であり、疑似児童を誤って児童と判断する可能性を否定できない。

附随情報を用いた該当性判断も、摘発逃れのための虚偽、あるいはフィクショ ンとしての疑似と両方の面で誤った情報がつく可能性があるため、あくまで参 考にとどめ、いずれにしても専門家鑑定を必要とするべきであると考えられる。

専門家鑑定を基準とする場合、ホットラインの処理能力の低下が容易に予測さ れるが、そもそもデジタルデータが複製容易であることなどから、インターネッ ト上の多くの画像・映像は複製されたものであることや、現実の児童ポルノの 摘発事例などを考慮すると、既知の児童ポルノ作品、および、18歳以上の俳優 のみを用いた非児童ポルノであるがまぎらわしいポルノ作品についてのデータ を蓄積し、これらと照合することで、専門家鑑定は未知の画像等のみを対象と することができるため、問題ないと考えられる。既知データとの照合は、判断 が難しい、画像等からのみの判断が一般に困難であると考えられる16〜17歳の 被害児童の画像等を判別するためにも有効であろう。

もちろん、児童ポルノ作品そのものをホットラインセンターが蓄積して視認照 合作業のベースとすることは妥当ではないと考えられるが、作品タイトルや児 童の作品中の呼び名、作品と照合可能な顔画像、過去の通報や警察の押収で得 られた児童ポルノ画像・映像ファイルのハッシュ値などを機密の保たれる環境 でデータベース化し、通報された画像等と照合するなどの方法が考えられる。 警察から機密保持契約に基いたデータ提供を受ければ、ホットラインセンター 稼働初期の段階から、十分なデータは保持できると考えられる。

また、児童ポルノ禁止法では公然陳列のみではなく提供が犯罪とされているの で、通報内容に基いてホットラインセンターが画像等にアクセス可能であれば、 公然陳列は必ずしも満たす必要がないと考えられるため、公然陳列は該当性判 断の基準から削除してよい。

なお、ガイドライン案では違法情報該当性が「明らかである」情報と「疑いが 相当程度認められる」情報とで扱いを分けているが、既に述べているように警 察への通報を基本とする場合は、その判断は警察に期待することとして、とく に区別せずに扱ってよいと考える(警察に先行して送信防止依頼を行うと、相 手によっては証拠隠滅の機会を与えてしまうことになる)。その場合でも、 「明らか」あるいは「疑いが相当程度認められる」といった判断は、未知のも のについては専門家鑑定に拠るべきである。

4.2 わいせつ物公然陳列

すでに述べたようにそもそも単なるわいせつ物についてホットラインで扱う積 極的な意義は存在しないと考えるが、児童ポルノとして通報されたものが児童 ポルノでないもののわいせつ物に該当する可能性が高いと考えられるケースに 無視もできないであろうから、扱いを定める必要は存在するとは考える。

しかし、これもすでに述べたようにわいせつ物については表現の自由との関係、 自主規制機関としての性質を考慮した場合、違法情報であると决めて通報・送 信防止依頼を行うのは適切ではない。あくまで、違法情報に該当する可能性が あるとしての対応依頼に留めるべきであり、違法性が明らかかどうかの判断を 行うべきではない。

そのような前提をおくにしても、ガイドライン案はあまりに単純な該当性判断 であり、合法のものとして一般に解されているもの(例えば、医学的な学術情 報として性器が確認できる画像、芸術作品として合法のものと一般に判断され ている写真・絵画・彫像などにおける性器の描写など) が含まれてしまう可能 性が高く、不適切であり、もっと細かい基準をつくるべきである。

4.3 出会い系サイト規制法違反

実際の出会い系サイトの多くが会員制サービスの形態をとっていることから、 該当性判断をホットラインセンターで行うことができるとは必ずしもいえない。 出会い系サイト規制法では事業者が義務を負っているので、該当性はサイト内容 ではなくホットラインへの通報内容のスクリーニングに用いることとして、 事業者への対応依頼は通報に基くのみで内容を現認していないことを前提とした 固有の形式とするべきである。

4.4 広告

売春防止法違反の広告、規制薬物の広告、預貯金通帳等の譲渡の誘引等、携帯 電話の匿名貸与業等の誘引等が違法情報とされ、けん銃等の譲渡の請負等、公 文書偽造の請負等、児童ポルノの提供、殺人・障害・脅迫・恐喝の請負等が公 序良俗に反する情報とされて扱いが異っているが、これらはいずれも、いわゆ るコメントspam など掲示板等への迷惑書き込みとして多くの場所でみられ、 対応依頼が過大なものとなりかねない一方、現実に問題となるのは情報そのも のではなく広告への応募の結果として重大な違法行為が行われる可能性である (売春広告は一般に単純売春であるとは限らず、刑事罰のある管理売春や売春 斡旋の可能性がある)。

従って、対応は情報そのものの違法性によって扱いをかえるのではなく、いず れも警察への通報を基本とするべきである。その上で、ガイドライン案にある ような書式での対応依頼は、サイト運営者が情報発信者であると判断できる場 合のプロバイダへの依頼や、掲示板への書き込みについて同様のものが集積し て、もっぱらそのような情報を掲示する場と化している場合に一括した対応を 依頼することを前提としたものに限り、散発的な迷惑書き込みがたまたま該当 しているようなケースについてはホットラインでの対応外とするべきである。

4.5 爆発物の製造

ガイドライン案は、学術的な言論や、リアリティを求めた文学的記述をも対象 とする表現規制に踏みこみかねない広汎さをもっている。爆発物の製造には販 売が規制されている原材料の入手が必要になることを考えると、規制されてい る原材料入手のための不正手段の明示など、より限定的なものとなる内容を加 える必要があると考える。

4.6 自殺勧誘・誘引

単なる情報発信の事後抑制が問題を解決するとは思われない。状況によっては 警察への通報が必要であり、また別の状況によっては自殺防止の技術をもった 専門家のコミュニケーションへの介入が必要とされると考えられる。ホットラ インセンターとは別の専門性の高い組織を用意し、ホットラインセンターは通 報の仲介をするにとどめるべきである。

5. 書式

送信防止措置依頼、対応依頼とも、人間がそのまま目を通すマニュアル対応前 提の書式が示されている。しかし、多くの通報を受けるプロバイダなどとの連 携を考慮した場合、個別の内容はマニュアル対応が必要となるとしても、定型 的な情報まで「依頼書」からマニュアル処理で抜き出す必要があるとすれば、 それは大きな負担となりかねない。

従って、依頼書の書式をXML-Schema や Relax-NG などのスキーマ言語で明確 に定義することを前提とし、ガイドライン案にあるような書式例は可読性を考 慮した変換結果であるとするべきである。そのようにしておけば、大規模プロ バイダでは多くの依頼をXML文書として電子的に受け取り、電子署名の認証を 行った上でデータベースに自動的に入力することができ、迅速な対応ができる ようになる。

6. 「違法情報の送信防止措置依頼」についての意見

判断基準については、4.1, 4.3, 4.4 で述べた通りである。そして、「わいせ つ物」については4.2で述べたように「違法情報の送信防止措置依頼」の対象 から外すべきである。

書式については、5. に述べた通り。

7. 「公序良俗に反する情報に関する対応依頼」についての意見

判断基準については、4.2、4.5, で述べた通りである。「わいせつ物」はこち らで扱うべきであると考える。また、4.1 で述べたように、児童ポルノについ ては警察の判断を待つことで「違法情報」に扱いを一本化し「公序良俗に反す る情報に関する対応依頼」の対象からは外すべきである。自殺勧誘・誘引につ いては 4.6 で述べたように専門性の高い別の組織に委ねるべきである。

書式については、5. に述べた通り。

以上。

2006/05/07

「ホットライン運用ガイドライン」等に対する意見の書きかけ

前エントリで問題点を述べた「ホットライン運用ガイドライン」などについて、意見を書いているのだけど、最後まで書いて仕上がるまでもう一日かかるかな、というところ(体調の都合で一日中パソコンの前に居られないのだ)なのだが、〆切も近いので他の方の参考になるかな、と書きかけのところでとりあえず公表しときます。まだ募集要項の本題にもたどりつかないものであることに注意。なお、これを書くにあたっては、山口貴士弁護士の意見も参考にした(ただし、山口弁護士の論点に細かく立ち入る部分は未了)。


以下、「ホットライン運用ガイドライン」等に対する意見を述べます。

私は、ホットラインの枠組そのものに重大な欠陥があると考えますので、 まずはホットライン全体についての意見を述べ、その中で、及び次いで、 募集要項にある

  • 第3 プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する違法情報の送信防止措置依頼
  • 第4 プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する公序良俗に反する情報に関する対応依頼

に関する提案、意見を述べることとします。

1. ホットラインの目的・背景などについて

ガイドライン案では、おもに国内事情を中心として、ひろく「違法・有害情報」 への対応を推進するためにホットラインセンターを設置するとしています。し かし、広汎な情報規制を意図した通報窓口の設置は、有効な通報の動機付けと ならない上、一方で無効な通報により有限なリソースが浪費される可能性があ ります。

インターネットはその国際的越境性から、国内において違法であると考えられ る内容が、かならずしも別の国ではそうではないわけで、それゆえ、一国にお ける対応が困難で、そのことは多くのインターネットユーザーが知っています。 そして、現実にそのような形で国内で違法とされるコンテンツを、多くのイン ターネットユーザが亨受しうる環境が存在しています。

そのような中で、いわば国内サーバ提供コンテンツにかかる「ネット浄化」を 思わせるような形で通報窓口を設置しても、そもそも問題となるようなコンテ ンツに接する可能性が高いユーザの支持を得られそうにもありませんし、また 一方で、正義感からなされる多くの通報が国外サーバ提供コンテンツにかかる ものとなり、多くの通報が無駄となる一方で、調査に人的・計算機的リソース が余計にかかる、ということが考えられます。

一方、国際的な背景をみれば、INHOPEを中心として、「インターネットの自由」 を価値として掲げつつ、おもに児童ポルノなど、児童への直接の人権侵害とな るコンテンツへ対応するホットラインが主流であり、このような流れへの国際 的な対応が必要です。児童ポルノは、被写体の年齢や単純な裸体写真の扱いな どにおいて国によって扱いの異なる境界事例が存在するにしても、その中核と なる要素においては多くの国でその提供が違法とされるのであり、かつ児童へ の重大な人権侵害であることから、積極的な対応が必要です。さらに、国際的 な児童ポルノ通報は、国内サイトに関するものでも、Googleをはじめとする画 像検索サイトや Way Back Machine などの Web アーカイブからの画像・映像 除去の観点からも必要でしょう。

ホットラインの目的・背景としては、このような部分を中心として掲げて、現 実のインターネットユーザ、とくに疑われる情報に接する可能性のある人々の 支持を得る必要があります。そのためには、重大な人権侵害である児童ポルノ についての通報以外は、インターネットで情報を受発信するユーザの利益を考 慮した、自主規制の枠組であることが明確であるようにする必要があります。 法的秩序の完徹をめざす法執行機関と一体化した下請け的組織に見えることこ とはマイナスです。

児童ポルノを中心課題とすることは、他の違法情報についてホットラインで取 り扱うことを否定するものではありませんが、情報の種類にかかわらずひとつ の枠組で扱うべきとは思えず、それぞれの情報に適した枠組を作るべきではな いかと考えます。

2. フィルタリング事業者に対する情報提供に関する問題

ホットラインは扱う情報の性質上、機密性が求められます(INHOPEの会員資格 でも明記されている)。

一方、フィルタリング事業者への情報提供は、通報されたサイト情報が、ホッ トラインの外に出ることを意味します。フィルタリングソフトの種類によって は、ブラックリストの情報が暗号化されてエンドユーザのパソコンに格納され るものがあり、これはエンドユーザによって解読される可能性があります。実 際、米国のCyber Patrol については解読プログラムがオープンソースとして 流通し、Cyber Patrol の権利をもつ会社が 解読プログラム作者を訴え、和解 により作者が会社側にプログラムの権利を譲渡し公開を停止した、という事例 もあります。公開されない形で、このような解読行為が行われる可能性は常に あります。また、フィルタリング事業者によってはユーザにブラックリストを 公開することもあるでしょう。

INHOPE への加盟は国際的な児童ポルノコンテンツの流通抑止への対応として 必要なことですから、このような機密性を毀損する可能性は排除しておく必要 があります。少なくとも、INHOPE経由で通報されたサイト情報がフィルタリン グ事業者に提供されることは避けるべきです。

この点、INHOPEの主要団体のひとつである英国の IWF は、フィルタリング事 業者への情報提供を行っているものの、それは、IWF に通報され、英国法で違 法だと判断されるものの英国外のコンテンツである場合に限定されており(英 国内の場合は違法であれば警察とISP等への通報で対処され、違法でない情報 については扱わないため)、INHOPE経由の通報はサイトが英国内の場合に限ら れることから、問題がおきない形となっています。

INHOPE 経由で通報された情報がフィルタリング事業者に渡らないためには、 専用のフラグを用意して扱う方法も考えられますが、そもそも違法情報のみに 限定して扱うこととすれば、問題は起こりえないはずです。

3. 扱うべき情報の範囲について

すでに述べたように、ホットラインは児童ポルノなど児童への重大な人権侵害 を中心として扱う必要があります。このような観点からみると、ガイドライン 案「第3」「第4」は、違法・有害といった線のひきかた、児童ポルノについ て「わいせつ情報」とまとめるまとめ方など、あまりに問題が大きいと考えま す。

まず、概念として、「違法コンテンツ」と「違法利用」を分ける必要がありま す。「違法コンテンツ」は、そのコンテンツを引用・複製してもやはり違法コ ンテンツですが、違法利用は、使い方の問題であって、内容を第三者が引用・ 複製した場合、文脈によって必ずしも違法なものではありません。

ガイドライン案では、「わいせつ物公然陳列」と「児童ポルノ公然陳列」が違 法コンテンツに該当し、その他の広告的な情報は違法利用に該当します。

3.1 違法コンテンツ

違法コンテンツについて、「わいせつ物公然陳列」と「児童ポルノ公然陳列」 は大きな差があります。「児童ポルノ」は、表現ではなく、表現において実在 の児童を性的に虐待して用いているという問題であり、その要件は客観的なも のであり、重大な人権侵害であり、徹底かつ迅速な対応が迫られるものです。 この場合、警察への通報が基本的な手続きとなり、送信防止措置依頼手続きな どは捜査の妨害とならない形で行われるべきです。

その一方、「わいせつ物」は、表現の問題であるため、常に表現の自由と拮抗 し、歴史的にも何がわいせつ物に該当し、あるいは該当しないのか、常に争い があるものです。ここで、ホットラインが自主規制機関であることをさらに細 かく考えると、従来メディアのように限られた数の企業が明確な合意において 自主規制機関を利用しているわけではないため、ホットラインが情報発信者に 対して行いうるのは、あくまで「わいせつ物」に該当する疑いがあるという指 摘に留まるはずであり、それを受けて該当すると判断するか、判断しないかは あくまで情報発信者の問題であり、刑事裁判においても常に情報発信者は該当 性について争う余地があるところです。従って、違法情報であることが確かで あるかのような通知を情報発信者に対して行うことは問題があります。さらに、 自主規制機関としては、表現に関する警察への通報は行うべきではないと考え ます。

3.2 違法利用

一方、広告的な違法情報は、インターネット上で散見されるものの多くは、単 に管理されないまま放置されている掲示板やブログなどへの迷惑コメント(コ メントspam)がそのままになっていて、spam業者は放置サイトに既に集積して いるspamコメントの内容に応じて自動投稿し、あたかもサイトが違法広告に乗っ 取られたような形になるものが少なくありません。これらについて、ホットラ インの送信防止措置依頼手続が行われると、サイト管理者とホットラインの双 方にとって大きな負担となると考えられます。従って、コメント spam につい てはホットラインとは別に、より簡便な、自動化・半自動化された対処が可能 となるような枠組やシステムの普及を図ることとして、送信防止措置依頼手続 の対象としないこととしておくべきです(コメントspam対処のシステムから、 違法広告を抽出してまとめあげてホットラインに通報する連携は検討されても よい)。送信防止措置依頼手続などは、サイト管理者と違法情報発信者が等し いと考えられる場合やサイト管理者が積極的に違法情報流通に関与していると 考えられる場合に、捜査の妨害とならない形で行われるべきです。

4. 判断基準について


(以下未完)

2006/05/04

Permalink 17:14:00, by Nobuo Sakiyama Email , 42 words   Japanese (JP)
Categories: 検閲, 言論・表現の自由, 児童ポルノ問題

インターネット協会「ホットライン」は役に立たないかもしれない

インターネット協会が「ホットライン運用ガイドライン」等に対する意見の募集についてという文書を発表して以来、 さまざまな批判がネット上で起こっている。

といったところで主要な論点は出ているだろうか(鎌やん氏による批判もあるが、これは細かい論点というよりは大きな規制への動向についての批判だと思う。)

意見募集の期限が迫っているので、とりあえずは、上に挙げた意見では出てこない論点について触れておくこととしたい。

そもそも、なぜホットラインといったものを設けるのか、ということについて、インターネット協会の説明が足りないのだけれども、これには国際的な流れがある。ホットラインという違法情報通報システムを民間で設けるというのはヨーロッパ発のものなのだ。 なぜ警察でなくホットラインかといえば、通報されたものがどこにあるか、といった分析が、現在ならともかく当初は警察の手ではなかなか困難だったことや、またイギリスなどでは児童ポルノの単純所持が違法であるところ、直接警察に通報してしまうと通報者も取り調べの対象となりかねないので、通報者保護のための仲介者が通報促進のためには必要と考えられたといったことがあるだろう。 それらの国際的な連合体としてthe International Association of Internet Hotlines(INHOPE)というものが作られている。ヨーロッパ中心ではあるものの、それ以外でもアメリカやブラジル、韓国、台湾、オーストラリアと参加団体の所属する国は広がりをみせている。そういうなかで、日本にも、ということが事情としては大きいだろう。

INHOPEがネットワークとして扱っているのは、主として児童ポルノに関する通報のようだ(画像や映像のみとは限定されず、場合によってはチャットルーム等での未成年者の誘惑なども通報されている可能性はあるとは思う)。国際的にどこでも違法なコンテンツというと児童ポルノぐらいだからだろうか。いずれにせよ、ここで重要なのは、INHOPEの国際的な通報メカニズムが「違法」なコンテンツや利用についてのみ機能する、ということ。A国において通報された内容がA国内において違法である場合に、コンテンツ等の所在がA国内であれば、そこで閉じるが、別のB国にある場合に、A国にあるホットラインはB国にホットラインがあればそこに通報する。今度はB国では独自に違法かどうか判定して、違法なら処理する、という形だという。

INHOPEの各加盟団体のホットラインがカバーする範囲はさまざまであって、児童ポルノ限定の団体も多いが、オーストラリアや韓国のように、幅広いコンテンツを対象とするところもある。ただし、オーストラリアや韓国にしても、是非はともかくとして、コンテンツの中身に応じた提供範囲(年齢などによる)について法的規制が存在するなか、それに違反している状況を扱うものだ。

こういう前提をみると、インターネット協会のホットラインが、「違法」の枠を越えて問題を扱おうとすることのあまりの独自性が浮かびあがる。また、いろいろな問題を盛り込もうとすれば、「何のため」に、事業を行うのかというところが、ずれていくことになる。INHOPEはその説明文のなかで、価値として最初に「インターネットの自由」を掲げた上で、子どもを守る、という話をしている。しかし、インターネット協会のホットラインセンター関連の文書は、むしろ社会的法益を全面に出す言葉遣いが目立ち、ネットの自由や子どもの保護、といったことがあまり見えない。現実に通報を多数受けようとするのであれば、児童ポルノについての情報が現れがちとなる、アダルトサイトの利用者や、あるいは出会い系サイトを成人を対象として利用する成人などからの通報が欠かせないはずだが、インターネット協会のスタンスは彼らからの信頼を得られるものなのか、疑問が生じる。

もうひとつ、より問題になりうる点、それはデータのフィルタリング事業者への提供だ。それは、通報メカニズムからその外へ情報が出ることを意味する。フィルタリングソフトで扱われるデータは、Cyber Patrol で前例があったように、エンドユーザのディスクに書かれた照合用データベースがクラックされてその内容が明らかとなる場合もあるし、また、個別のURLについてラベリングデータを提供するサービスを透明性の観点から行う場合もあり、フィルタリング事業者へのデータの提供を行う場合、通報されたデータの機密性を保てるとはいえない。これが、日本国内で閉じている話なら、そういうものだと割り切ればいいのかもしれないが、INHOPEの会員資格を得て国際的な通報ネットワークに参加する場合、

  • make a commitment to maintain confidentiality

という条件がある。問題は、インターネット協会の枠組では他国の団体から通報された情報の機密を保てないのではないか、ということだ。「違法でない」コンテンツを対象とする場合、そのコンテンツが当該URLのところから消される可能性が低いので、この問題は重要だろう。単にフィルタリング事業者への情報提供、ということでは、例えばINHOPEの主要団体のひとつである、イギリスのInternet Watch Foundation(IWF)でも行っているが、ここで扱う範囲は違法なものに限定されていること、Web上の理事会議事録を読む限りでは、フィルタリング事業者への情報提供は「通報されたがコンテンツがイギリス国内にないため独自対処ができないもの」に限定されているということなので、国際的な通報を受けて問題を生じる可能性はない。しかし、インターネット協会の運用上の説明図では、国際的な通報を受けたものが違法でないと判定される一方でフィルタリング事業者へ提供されて流出する可能性が残る。これで参加実績を積んだ後にINHOPEに参加できるのだろうか、疑問が残る。

ホットラインの必要性そのものは、110番通報やICPOによる国際通報に至らない領域(例えば、Googleのイメージ検索で、一般紙含めマスコミ報道で有名になった児童ポルノタイトルを検索すると大量のサムネイルがひっかかる現状は、適切な通報さえあればほとんど削除されてChilling Effects Clearinghouseのエントリが増えると思うのだが、今のところは IWF から若干の通報があったのみのようだ) を補完するような意味で必要だとは思うが、インターネット協会が現状提案の枠組に固執すると、それは役立たないものになるのではないかと思うが、どうだろうか。

2006/04/11

他人の「重要情報の漏洩・拡散の防止」につき合う義務はあるのか?

Winnyを利用したウィルスなどによる情報漏洩については、武田圭史氏が、積極的に規制推進の議論を行っている。武田氏の議論は、「個人のプライバシーの暴露の問題よりは に焦点を当てつつも、そこからさらに(個人情報を含む)重要情報の漏洩・拡散の防止」にまで重点を置いて論点を拡大している。

しかし、問題は、それらの「重要情報」の漏洩・拡散防止のために、漏洩元とは別の組織や個人多数が、はたして基本的人権を制限されてまで、協力する義務ってあるのか、ということだろう。一般に、漏洩した情報を拡散させたとして、それはどういう法的問題が、「他人」にとってあるのだろう?個人情報漏洩ウィルスによる漏洩ファイルは、流出元のPCに格納される個人情報を含むから問題だ、という議論はひとつありうるだろう。しかし、では含まれる個人情報を「洗浄」した場合はどうだろう?そういう機能をもつ情報漏洩ウィルスも理論上はありうるだろう。

端的にいって、政府レベルで(そして武田氏が)問題にしている「重要情報」というのは個人情報ではないと思うのだが、そういう情報を第三者が拡散させたところで、現状で刑法上の問題になるのは、「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」が定める特別防衛秘密ぐらいじゃないだろうか?自衛隊法には防衛秘密があるが、これを漏洩・拡散させない義務は一般の国民には存在しない。

「重要情報」の拡散防止につきあう義務が一般に存在したとしよう。あるいはそういう法制化でもいい。そうすると、それはWinny等匿名P2Pファイル共有ソフトの規制でとどまるのだろうか?そもそも、そういう規制が正当化される政府のもとでは、漏洩・拡散情報に基づく、住基ネットの運用状況についての批判報道であるとか、Nシステムの運用実態についての批判報道であるとか、警察における裏ガネ作り目当てと思われる架空調書の存在についての報道であるとか、警察のISPへのユーザ情報照会についての実態についての報道であるとか、この間行われてきたさまざまな報道自体が規制・禁止されていくことになるのではないだろうか?我々の国はそのような国となるべきなのだろうか?

追記: コメント欄にあるように、武田氏の認識では、個人情報と重要情報は別のものではなく、個人のプライバシーは重要情報にふくまれ、そのなかで「対応が急務」なものだそうだ。そのむねは訂正。ただ、私の意図は「個人情報を除く」ことにあるのではなく、「重要情報」というネーミングで別の要素が入ってくることについて、どうなんだろうか、ということでもある。この点、後日別のエントリで書きます。

Permalink 04:10:57, by Nobuo Sakiyama Email , 17 words   Japanese (JP)
Categories: セキュリティ, プライバシー, 検閲, 監視社会

「管理できない」システムは悪か?

今さらながらWinnyを利用する情報漏洩ウィルスや、それに伴う「規制」の是非について軽く書いてみたいと思う。

すでに、Winnyの作者の金子勇氏が、研究会・シンポジウムや公判の席などで、流れた情報の管理が出来ないことは欠陥である、という主張をしていて、それは報道もされている。個別のソフトウェアについて、その作者の見解としてそうだ、ということであれば、ここで私はそれについて是非を問うつもりはない。ここで論じたいのは、では、「情報流通を管理しない情報拡散システム」は全て欠陥なのだろうか、ということ、より具体的には、「情報発信者以外が情報流通を管理できない」ケースについて考えたい。

この問題は、1月にGLOCOMで行われたP2Pインフラ研第1回の公開シンポジウムの席でも簡単に扱われたのが最初だろうか。金子氏がその問題にふれた最初ということもあったと思われる。そのとき高木浩光氏は、「どういう管理か、というのも問題」としながら、慎重にもその中身がどうあるべきかについては、言及しなかった(と思う。私は予定終了時刻には他の用事で帰ったので最後まで議論を聞いてはいなかった)。が、金子氏自身の公式の場での発言や、その他の人々のその後の議論では、何らかの「第三者」が情報流通を管理する必要性がある、という前提が置かれているように見える。

しかし、それって一般論としてはどうなのだろうか、と思うのだ。情報流通ウィルスのようなものが特定のP2Pファイル共有ネットワークを利用するのは避けがたいとしても、その情報を削除する操作については情報流出元から出来れば、情報漏洩問題の大半は片付くのではないだろうか。それと、ネットワーク中に情報発信元とは異なる「管理者」を置き、そこで情報の削除などができるようにする、というのは、根本的に異なる管理だ。その管理者は、情報の「内容」に介入して、情報発信元の意志とは別個の意志で情報を削除することになるだろう。それでいいのだろうか?

ここで問題にしたいのは、個別のP2Pソフトウェアやシステムの作者が実際にどうするか、という話ではない。後者のようなものしか許されないとか、そうでなければ欠陥だ、ということにしていいのか、という問題だ。

P2Pインフラ研で話を聞いていたとき、実のところ、私が思い出したのは、暗号ソフトウェアにおけるキーエスクロー導入の議論だ。「テロリストも自由に暗号が使えてしまう。危険だ。国家に鍵を預託するべきだ」というかつて行われた議論と、「なんでも情報が流れて取り返しがつかない。管理者が情報を削除できるようにしておくべきだ(そして、政府が情報削除を管理者に強制することは刑法改正案によって可能になる)」という今の議論は、どこかパラレルなものがあるのではないだろうか。もちろん、キーエスクローにおける「暗号システムが脆弱なものになるリスク」と、P2Pネットワークへの管理強制における「公開した情報が削除されるリスク」は同等ではない。 しかし、安易に「管理できないP2Pネットワークは悪だ」という議論がはびこれば、横滑べりに「管理できない暗号システムは悪だ」という議論の再燃も起こりかねないと思う(そういう議論をしたい人は911テロの後、増加している)。例えば高木氏は、この二つを峻別して議論できるし、実際しているような気もするが、全ての論者がそうではないと思う。

このエントリで、私は結論を述べるつもりはない。だが、「管理できないP2Pネットワークは悪だ」と、安易に主張することはできないし、安易な主張をするべきでもないと思うので、もっと厳密な議論を人々にはお願いしたい、というところだ。

2006/04/03

Permalink 02:06:22, by Nobuo Sakiyama Email , 6 words   Japanese (JP)
Categories: 個人的なこと, 情報社会

CPSR日本支部の副会長になりました

正確な日付は知りません:-)が、 CPSR Compiler 2006年3月号でアナウンスされていたのでこれまたお伝えしておきますと、 CPSR日本支部のVice-president(副会長かな?)になりました。 日本支部役員のひとりだった伊藤穣一さんがCPSR本部の理事になったことや、 他にいろいろやっていてCPSR日本支部に積極的にコミットする状況でもなくなっていたので、 改選時期に手を挙げてこうなったということで。

現在、体調もそうよくないので、ゆるゆると支部会長の山根さんをサポートしていこうかという感じで。

Permalink 01:54:01, by Nobuo Sakiyama Email , 12 words   Japanese (JP)
Categories: 個人的なこと, 情報社会

JCA-NETの理事を退任しました

このところ体調不良が続いてすっかりblog更新を御無沙汰していました。

ひとつ広くお知らせしておくべきことがあったので、ここに書いておきます。 2006年3月5日をもって、私はJCA-NETの理事を退任しました。同日開かれた総会における理事選挙において、立候補を取り下げたことによるものです。

事情を端的に言うと、私を含む前理事の大半は、前理事会の提案として JCA-NET というひとつの市民団体を1年程度の時間をかけて混乱を避けながら手仕舞いしていく方向で提案を行っていました。私は、起草した中心メンバーの一人でした。しかし、それを是としない方が proxy fight を仕掛けてこの提案をつぶしたので、次の理事会には入らないという判断をした、というところです。

現在は、いまだ残務処理(といっても内部MLの管理権限の委譲ぐらいか)が若干残っているのですが、それが終わったら、多分、私は今後、JCA-NETの運営に携わろう、とは思わないでしょう。提案内容そのものは非常にネガティブなものでしたから、それがつぶされたからといってただちにそう考える必要はないのです(例えば、画期的なアイデアによって組織の今後について展望が開ける、といったことは一般論としてはありえます)が、総会での議論を振り返っても、そもそも、JCA-NETという団体ができて約9年間の間に起きた、さまざまな社会の変化、ネットの発達、それに伴う「やるべきこと」の変化などについて、それらがあたかも存在しないかのような、そういう感覚によって、上記の「活動停止提案」はつぶされ、また、独自ドメイン利用の提案(現在は、JCA-NETが加盟しているAPCという国際NGOのサブドメイン)さえもが、取り下げに追い込まれたという状況でした。総会後も、議決権をもつ会員が登録しているMLで、問題意識について補足的に書いたけど、新執行部も、他の会員も、ほとんどの人達は関心が全くない様子。もういいや、という感じですね。つきあいきれないのでやるべきことは他のところでやるということで。

2006/01/01

Permalink 02:55:50, by Nobuo Sakiyama Email , 3 words   Japanese (JP)
Categories: プライバシー

個人情報過保護という神話

読売新聞系はじめ一部マスコミが個人情報保護法で個人情報が過保護になっている、というキャンペーンをはっていることもあって、それに同調する意見の方が増えてきている。 blogで直接に知っている方の例だと、砂田薫さんの意見がそれに当たるだろうか。

しかし、問題になっている事態は「過保護」というのとはちょっと違うのではないか、と思うのだ。個人情報保護法などは、個人情報を適正に扱うことを求めているだけであって、そのなかに本人同意がいくつか出てくる。決して、個人情報を常に出せないとか集められないとか、そういうものではない。多くの問題は、本人の同意のもとに行う、という手続きをとることを単にサボっているだけと言える。ただ、サボるのは必ずしも悪いことではなくて、 手間に見合うだけの利益や意義を見出せないのであれば、やめるのが正しいのではないか。

「災害時に助けが必要な一人暮らしのお年寄りの情報が地域の民生委員に知らされない」というのは、同意手続きをとる仕組みが作られていないという問題に過ぎず、作ればいいだけと思われるし、「学校が児童・生徒の緊急連絡網を廃止した」というのも、連絡網の一覧できるものが作成されなくなったということだとすると、緊急連絡のためにクラス全員の個人情報をクラス全員に配る必要があるかというとない、というのはひとつの判断だろう。クラス全体に連絡先個人情報を提供することが個人情報保護の観点からみて「安全」かどうか、というのも、現実には否定的に考えざるをえないのではないだろうか。

少し違う例としては「役所が懲戒処分の職員の氏名や退職者の天下り先を公表しなくなった」といった、最近よくみる例で、個人情報保護は単に言い訳じゃないか、という気がするものだが、こういう「公共性の確保のために必要な強制的な個人情報開示」は、なるほど法改正が必要かもしれないが、個人情報保護法ではなくて、行政機関個人情報保護法や、公務員法の問題のように思う。

あと、警戒すべきは、個人情報保護法への過保護バッシングのなかで、便乗的に出て来る声だ。例えば、大木豊成氏のblogから、評価なしに紹介されている「調査会社の社長ブログ」がそうだ。調査会社としての利害から、戸籍と住民票の閲覧や取得が制限されることに反発しているエントリが並んでいる。が、2005年にも行政書士が差別を目的とした調査会社の身元調査に荷担して戸籍謄本を不正取得していたことが発覚するなどしている、といった問題がいまなお残っているという背景事情もあることを述べていないことを考えると、かなり身勝手な主張とみえる(なお、上記blogの社長の経営する調査会社では部落差別に関係する調査は一切受け付けていないと表明しているし、業界の自浄努力にかなり貢献してきた会社のようにも見える。が、それでも、現実に差別的な身元調査が根絶されていないことに目を逸すべきではないだろう)。調査会社のいう、戸籍や住民票の「公開原則」のもつ利益と、悪質な業者が起こす差別(部落差別に限定されない)のもつ害悪の防止と、天秤にかけてどちらが優先されるべきだろうか?

<< 1 ... 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 ... 29 >>