警察庁が7月にコメント募集を行い、8月に結果発表を行った『インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に 関する法律における「インターネット異性紹介事業」の定義について』(警察庁サイトにはすでに文書がないようなので「(キタノ)」氏サイトにあるHTML化したものにリンク)への意見募集に対して送付した意見は以下の通り。なお、問題の法律そのものについては、法案として国会に提出される直前の時点で私が理事であるJCA-NETと、会員である CPSR日本支部とで 共同声明を出して反対しました(が、あえなく成立)。警察庁の結果発表をみても、言論表現の自由に対する過剰な萎縮効果を防ぐという意識は全く持っていないようです。
法律の目的は、買春や暴力、誘拐などの物理的に高い犠牲を払うことになるリ スクから児童を保護するためにその前段階において異性である児童と成人の物 理的接触につながる「出会い」を規制することにある。
個々の用語や事業の定義にあたって広汎すぎる定義を適用することはインター ネット上の商業的および非商業的な活動を萎縮させる効果をもつ危険があり好 ましくないので、児童の保護のためには何を真に規制すべきかをふまえて個々 の定義を行うべきであると考える。そのような観点からみて、意見募集文書に おける個々の用語や事業の定義は広汎すぎる。
インターネット上のメッセージ交換のみで完結することを前提とした「交際」 に関して定義から排除されておらず、広汎すぎる。最終的には対象異性と物理 的に近接する(文字通りお互い手の届く範囲に近付いて顔をあわせるような) 形での交際となる前提が存在する状況のみに限る必要がある。
「異性交際希望者の利用を排除せず、異性交際希望者の利用を積極的に許容し ている実態があれば」あてはまるとしている点について、定義が広汎すぎる。
このような定義がなされる場合、「排除しない」「積極的に許容」の基準がき わめて曖昧であるため、サイト管理者は異性交際希望者の利用の禁止を明示し、 異性交際希望者の利用を日々排除する作業を人力で行わない限り、現実には異 性交際の仲介を意図していなくても自己のサイトが該当すると判断されるリス クを負うことになる。
インターネット上でメッセージ交換が可能なシステムを提供しているのは商業 事業者のみではなく、個人が無料配布されている簡単なプログラムを用いてと くにコストもかけずに設置しているものが極めて多く、その多くは異性紹介事 業とは何の関係もないが、広汎な定義からもたらされるリスクはそのような多 くの非商業的なインターネット利用に対して強い萎縮効果をもたらす危険があ る。
さらに、異性交際を目的とせず、ごくまじめなやりとりを前提とする場合にお いて、インターネット上でのみ用いる仮名ではなく、本名など実生活に結びつ いた個人情報を公開した上でメッセージをやりとりすることは実際には極めて 多いが、そのようななかで個人情報属性のひとつとして「性別」が設けられて いるだけで定義にあてはまるかのようなリスクが生じるのは不合理である。
従って、意見募集文書にあるような広汎な定義を採ることはさけ、サイト管理 者の異性紹介への積極的意思が客観的に確認できることを条件とするべきであ る。
電子メールで連絡可能にすることが含まれている点について、広汎すぎる。連 絡手段としての電子メールは極めて一般的なものであり、メールアドレスを単 に文字列として記述することさえできれば、掲示板上の文字列をメールソフト 上にコピーするだけで返信は可能である。このような定義を逃れるために電子 メールの形式のアドレスを掲示板で記入不可能とすることが必要であるとする と、異性交際と関係のないコミュニケーションを大きく阻害することになる。
意見募集文書における意図がもうすこし限定的であって、掲示板上のリンクや ボタンなどを操作することによってメール送信が可能であるように構成される ような場合を意図している場合についても、それらはごく一般的なインターネッ ト上でのコミュニケーションサイトにおける機能であって、他の用語の定義が 広汎であることと組合せて考えると、あまりに広汎な異性交際と無関係のサイ トの運用にあたって強い萎縮効果を招きかねない。
従って、連絡手段となる電気通信役務についても対象事業者自ら提供している ことを前提とするべきと考える。
要約とはいえ、このまとめの内容はあまりに広汎であり、前記の内容をふまえ てより限定された内容とする必要があると考える。
1、2の場合について、運営側に積極的に「交際の相手方を求める目的」への 利用を推奨しているのでなければ定義にあてはめるべきではないと考える。
3の場合について、単にユーザの自由意思に任せていることをもって 定義にあてはめるべきではないと考える。
4の場合について、「メル友」というのは物理的に近接する「出会い」がない ことが前提の名称であり、定義にあてはめるべきではないと考える。
6、7、9の場合について、サイト運営者が積極的にサイトで異性交際の相手 方を求めることを推奨していない限りは、定義にあてはめるべきではないと考 える。
10の場合について、「運営方針に反して」いる場合にはじめて定義からはず れるという回答となっているが、異性交際の相手方を求める行為についての明 示的な排除を条件とするべきでないと考える。
11の場合について、一般的に情報管理が行われているなかで異性交際につい ての情報が放置されている場合と、単に情報管理一般が行われていない結果と して異性交際についての情報が放置されている場合とは区別するべきであり、 前者はともかく後者については「異性交際希望者の求めに応じ」と解釈するべ きではない。単に情報管理一般が行われないケースとしては個人サイトにおけ る管理者の怠惰、無能力、病気などによる管理不能の状態が含まれうる。
12の場合について、「たまたま10通程度」の偶然のケースにおいて、積極 的に異性交際を運営方針として排除していないことをもって定義にあてはめる のは不合理であり誤っていると考える。
13の場合について、前提においては「すべてに目が行き届かない」実態がま ずあるのであって、それに対して「合理的理由がない限り」は定義にあてはま るとするのは過剰な萎縮効果を招く。サイト管理者が知りうる状況になっての ちの状況のみを議論の対象とするべきである。
15の場合について、事例と関係なく「異性交際希望者の求めに応じ」の定義 が広汎すぎるため、不適切である。http://blog.sakichan.org/htsrv/trackback.php/63395f324551a9040833a02c20e3ee3e098d7655011bbc6b3222ed5a1db9afe9
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