『ハイテク犯罪捜査入門 ―基礎編―』(大橋充直、東京法令出版、2004年3月、ISBN:4809010813)のもつ問題について、
前回の続き。
次の問題箇所は「図表61 ハッカーによる通信犯罪研究の一例」(P.257-258)である。ここには
が引用されている(全て日本語)。
"Cellular Secrets" について。出典が「某URL (省略)」となっており、出所表示が意図的に行われていない。"Cellular Secrets" は 英語の原文が存在する。原文については、もともと WWW のために書かれたものではなくモデム接続によるオンラインBBSで配布されていたため、複数のWebサイトに転載されている。このため、URL表示が正確な出所としてあまり意味がない状況である。著者の "BOOTLEG" は、同名義での活動で知られるアメリカ国内在住の Mike Beketic氏であると推測される。一方、日本語訳掲載のWebサイトについては現時点では確認できていない。ひょっとしたら、Mike Beketic氏から出所表示を行わない条件の転載許諾を得た上で大橋氏自ら翻訳されたのかもしれない。
"BeigeBox" について。出典が「某URL (省略)」となっており、出所表示が意図的に行われていない。直接の引用元は "Japan UnderGround F.A.Q -- Hack / Crack / Phreak Guide for Newbies" というドキュメント("Produced by DEF-CON ZERO" となっている)であり、
現在は http://www.scenecritique.com/museum/lib/defcon0/faq/phone.htm
でのみ確認できた。オリジナルは http://www.ugtop.com/defcon0/faq/phone.htm に存在したと考えられるが、現存しない。なお、BeigeBox の原文は "High Tech Revenge: The Beigebox" という文章で複数バージョンあり、著者名は "The Jolly Roger" とされているものと "Exodus" とされているものが存在する。これも WWW 以前からBBSでの配布が行われているものだが、オリジナルは1980年後半以降に "Jolly Roger's Cookbook" ないし "The Anarchist Cookbook" という名称で配布されたファイルのアーカイブに含まれたものだと思われる。余談だが、"The Anarchist Cookbook" というと著者が William Powell で 1970年に出版されたものが
由緒正しいものであり、ファイルで配布されているものは Powell版の中身をパクって、
電話やコンピュータ関連の記事を中心に追加したシロモノのようだ。
そして次に "The Shadow Penguin Security - Special Archive -" のことになるのだが、これはまた次回に。
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