他人の「重要情報の漏洩・拡散の防止」につき合う義務はあるのか?

2006/04/11

Permalink 04:48:08, 著者: Nobuo Sakiyama Email , 1093 回閲覧   Japanese (JP)
カテゴリ: セキュリティ, プライバシー, 言論・表現の自由

他人の「重要情報の漏洩・拡散の防止」につき合う義務はあるのか?

Winnyを利用したウィルスなどによる情報漏洩については、武田圭史氏が、積極的に規制推進の議論を行っている。武田氏の議論は、「個人のプライバシーの暴露の問題よりは に焦点を当てつつも、そこからさらに(個人情報を含む)重要情報の漏洩・拡散の防止」にまで重点を置いて論点を拡大している。

しかし、問題は、それらの「重要情報」の漏洩・拡散防止のために、漏洩元とは別の組織や個人多数が、はたして基本的人権を制限されてまで、協力する義務ってあるのか、ということだろう。一般に、漏洩した情報を拡散させたとして、それはどういう法的問題が、「他人」にとってあるのだろう?個人情報漏洩ウィルスによる漏洩ファイルは、流出元のPCに格納される個人情報を含むから問題だ、という議論はひとつありうるだろう。しかし、では含まれる個人情報を「洗浄」した場合はどうだろう?そういう機能をもつ情報漏洩ウィルスも理論上はありうるだろう。

端的にいって、政府レベルで(そして武田氏が)問題にしている「重要情報」というのは個人情報ではないと思うのだが、そういう情報を第三者が拡散させたところで、現状で刑法上の問題になるのは、「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」が定める特別防衛秘密ぐらいじゃないだろうか?自衛隊法には防衛秘密があるが、これを漏洩・拡散させない義務は一般の国民には存在しない。

「重要情報」の拡散防止につきあう義務が一般に存在したとしよう。あるいはそういう法制化でもいい。そうすると、それはWinny等匿名P2Pファイル共有ソフトの規制でとどまるのだろうか?そもそも、そういう規制が正当化される政府のもとでは、漏洩・拡散情報に基づく、住基ネットの運用状況についての批判報道であるとか、Nシステムの運用実態についての批判報道であるとか、警察における裏ガネ作り目当てと思われる架空調書の存在についての報道であるとか、警察のISPへのユーザ情報照会についての実態についての報道であるとか、この間行われてきたさまざまな報道自体が規制・禁止されていくことになるのではないだろうか?我々の国はそのような国となるべきなのだろうか?

追記: コメント欄にあるように、武田氏の認識では、個人情報と重要情報は別のものではなく、個人のプライバシーは重要情報にふくまれ、そのなかで「対応が急務」なものだそうだ。そのむねは訂正。ただ、私の意図は「個人情報を除く」ことにあるのではなく、「重要情報」というネーミングで別の要素が入ってくることについて、どうなんだろうか、ということでもある。この点、後日別のエントリで書きます。

この記事へのトラックバック アドレス

http://blog.sakichan.org/htsrv/trackback.php/afa472b45d639962c3ddf46e594c9d9e8feff7c503d2ac50ab50c63af3db54be

コメント, トラックバック, ピンバック:

コメント: keiji [訪問者]
トラックバックありがとうございます。私はむしろ個人の被害の方が深刻だと思っています。

例えば崎山さんがマンションを見に行った時に書かれた年収が誰でもダウンロードできる状態にあったとしたらあまり気持ちよくないのではないでしょうか?

あるいは自分の購入した商品のリストを人から見られるような状態が放置されているとしたどうでしょうか?

正直組織よりも個人のこうむる不利益の方がかなり大きいと思います。

我々は全ての個人情報が本人の意図に関わらずダウンロードができてしまうような世界で生きていくことを覚悟しなければならないのでしょうか?
Permalink永続的リンク 2006/04/11 @ 19:12
コメント: keiji [訪問者]
たびたびすみません。「武田氏の議論は、『個人のプライバシーの暴露』よりは、『重要情報の漏洩・拡散の防止』に重点を置いている。」というのは私の認識とは異なりますので訂正いただけると幸いです。

「個人のプライバシー」は「重要情報」に含まれ、むしろ個人に関する重要情報の方が対応が急務であると考えています。

Permalink永続的リンク 2006/04/11 @ 19:25
コメント: keiji [訪問者]
他のエントリーを見ても私が各所で講演等している内容を見ても私が個人の被害者の救済に重きを置いているのは明らかなのですが、「武田氏の議論は、『個人のプライバシーの暴露』よりは、『重要情報の漏洩・拡散の防止』に重点を置いている。」という部分を訂正または削除していただけないでしょうか?

「重要情報」と記述したのは「個人情報」と書いただけでは原発や空港など市民の安全を脅かす保安情報なども含まれなくなりますので書いたまでです。守るべき情報は個人情報だけではないのは確かでしょう。

ぜひ私のブログの過去のエントリーも含めて読み返していただけると私が崎山さんが書かれているような論調ではないことが理解できるでしょう。

政府はこのような批判を受けるから規制なんてことは考えてないのでは?でも結局それで被害を蒙るのは一般市民なのです。

困りましたね・・・。
Permalink永続的リンク 2006/04/12 @ 08:01
コメント: keiji [訪問者]
「武田氏の議論は、『個人のプライバシーの暴露』を含む『重要情報の漏洩・拡散の防止』に重点を置いている。」が正しい表現かと思いますのでそのように修正していただけると助かります。

一個人の主張を政府の主張に置き換えて批判したところであまり意味はないと思いますが、巻き込まれた人の身にもなってください。
Permalink永続的リンク 2006/04/12 @ 08:11
コメント: keiji [訪問者]
上記訂正の依頼は受け入れていただけないのでしょうか?
Permalink永続的リンク 2006/04/14 @ 10:01
コメント: keiji [訪問者]
修正対応ありがとうございました。
私自身としてはどちらかというと、友人・知人や家族から漏洩する情報の方が救われないように思っています。

政府や企業の情報がWinnyでもれ続けることについても、最終的に対策費用が税金や料金に上乗せされたり、治安が悪化したりして市民が被害を蒙ることになるので、あまりうれしくないなあとは思いますがいかがでしょうか?
Permalink永続的リンク 2006/04/17 @ 15:30

コメントを残す:

頂いたメールアドレスはこのサイト上には表示されません
頂いたURLは表示されます。

許可される XHTML タグ: <p, ul, ol, li, dl, dt, dd, address, blockquote, ins, del, span, bdo, br, em, strong, dfn, code, samp, kdb, var, cite, abbr, acronym, q, sub, sup, tt, i, b, big, small>
(改行が自動で <br /> になります)
(名前、メールアドレス、URLを記憶する Cookie を発行します)
(ユーザがメッセージ・フォームを通してあなたに連絡することを許可します (あなたのメール・アドレスは表示されません))

崎山伸夫のBlog

日々の意見やコメント、出来事などを書いていきます。

8月 2008
 << <   > >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

検索

いろいろ

XMLフィード

RSSとは?

オンラインユーザ一覧

  • ゲスト ユーザ: 23

powered by
b2evolution